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同乗者

私は今高速バスに揺られている。
同乗者はざっと数えて15名程度。
平日の昼行便ということもあり、広々と座席を使用できる。
非常に快適な旅だ。

この15人は今、私と全く同じ人物に命を預けている。
生きるも死ぬも私と共にすることとなる。
大袈裟な言い方をすれば運命共同体である。

ところが私は彼らと一切の会話を交えない。
(もう少し乗客がいるならば、謝罪や感謝くらいのやり取りはあるはずだが)

実に奇妙な関係である。

終始無関係であり続けるというのに、バスを媒介して、人生のうちわずかな数時間だけ運命を共にするのである。



話は変わるが、私は正真正銘の新規舁夫だ。
有難いことに、そんな私にも現場でお話ししてくださる舁夫様が少しばかりいらっしゃる。

神宿を媒介してできた関係である。

バスの同乗者と決定的に異なるのは、「明日また会える」ということだ。(実際に明日会うかはこの際置いておこう)

現場で会うことはもちろん、離れていてもTwitterで繋がっているかもしれない。
場合によっては食事にだって行ける。

そしてもう一つ決定的な違いがある。

「ある日突然会えなくなるかもしれない」
ということだ。
舁夫間しかり、メンバー舁夫間しかり、である。

もちろんプライベートでも交流のある方々はこの限りではないが、特段深い交流のない私は言うまでもなく「会えなくなる」側の人間だろう。

せっかく素敵なアイドルを応援し、それに仲介され出会った大切な友人である。

神宿と、友人と、少しでも濃密なオタク生活を送りたいものだ。



だから私は、体に鞭打って今日もバスに揺られる。

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