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大相撲とお笑い芸人の就職ルートの変化と共通点について。

芸人の新しいルート

M-1で「令和ロマン」が優勝して、
大学のお笑いサークルが話題になっていた。
大卒芸人の躍進がすごいみたい。

古い価値観だと、
お笑いは最底辺から成り上がるもの。
学歴なんか関係ないってのが
一般論だったような気がするが、
最近はそんな考えはどこにもない。

ネタが高度になってるから頭が必要…?
なんて言うつもりはカケラもなく、
それ以前に大学で教えてくれることが
お笑いの役に立つなんて思えない。

単純に、あの業界で成功するルートが
「プロの中で揉まれること」だけじゃない。
それがわかったということだと思う。

逆に養成所にいるのとは別の育ち方、
「教えられるのではなく考える」
「競い合うのではなく高めあう」
みたいなスタンスが伸びる秘密な気がする。
ちょっと今どきっぽいですね。

一昔前は養成所自体がエポックで、
それ以前の師匠がいて弟子に伝えていく、
という道筋からの変化があった。

今はそこからもう一段変化して、
今の流れになっているようだ。

大相撲の新しいルート

おもしろいのは大相撲でも同様な変化が
起こっていることで、昔の常識だった
「中学を出て相撲部屋に入る」という
就職ルートがほぼ崩壊しつつある。

考えてみれば当たり前のことで、
戦後の集団就職じゃあるまいし、
中卒で入社して集団で寮生活、なんて
ただでさえ子供が減ってるのに
人が集まるわけがない。

おまけに暴力的な問題も頻発している。
誰がそんなところに行きたがるか。

結果、今大相撲で活躍しているのは
大学相撲出身者、ということになる。
※ 厳密には高校相撲部出身ルートや、
 海外から日本の学校の経由ルートも多い。

こちらも芸人同様、
大卒だからいい、というわけではない。

大学運動部の恵まれた環境や指導があったり
いきなり相撲部屋に入るのはハードルが高い
というのはあるとしても現実には、
その中で頭角を表した者だけがプロになる。
それだけのことだと思う。

相撲部屋としては、
すでに実績を残している選手が欲しい。
そういう意味では野球などと同じように
スカウトが重要な意味を持つだろう。

なんかどんどんスポーツ化してるようだが
決められたルール、ドラフトなんかないから
どうしても荒っぽくなる。
当然部屋の力格差が生まれるはずだ。

小さな部屋は優れた人材の確保が難しく、
今後は部屋の存続自体が危ぶまれる。

迫られる対応

多分この流れはこれからも続く。
お笑いの養成所も相撲部屋と同じように
変化の必要性に迫られるだろう。

と、未来を語って終わればいいのだが、
気になることもある。

真逆の話ではあるが、
大学には先生や先輩はいるが師匠はいない。

師弟関係というもの、その制度が存在しない。

師匠なんかいなくても育っていける。
それが今の隆盛を作っているのも確かだが、
いろんな問題を生み出しているのも確かだ。

師匠は責任を取る立場である。
それがいないのは自由だが不安だ。
困った時に相談する相手がいない。
しくじった時に叱ってくれる人がいない。

師匠のいない芸人は人気が出ると
上から見てくれる人がいなくなる。
誰も親身には考えてくれない。
実はすごく不安なんではないか。

その点、相撲部屋には師匠がいる。
ただ大学出身だと関係は浅い。
育ててもらっている感覚が薄い可能性がある。

そして一番の問題は「師匠の質の低下」だ。

師弟関係は、弟子が頑張るのはもちろんだが
師匠が成長しないと成り立たない。
師匠が自分の重要度を自覚していないと
ダメだったりする。

多分、師匠が弟子の変化についていけてない。
この辺は芸人や相撲の世界だけではなく
一般の企業でも同じかもしれない。
部下の言動に悩む上司、同じ構造だ。

師匠は絶滅危惧種

僕らの時代は会社にも師匠がいた。
自分が弟子だという感覚は、
まだ一人前ではないという気持ちで、
辛かったが楽さもあった。

最近は若いうちから「個」が重視される。
年齢ではなく成果で評価される。
もちろんいいことではあるのだが、
最初から一人旅をしているようなもの。

自由は、少しさびしい。

師匠と弟子。
徒弟制度、なんていうと古臭いが
今いちばん必要なものなんじゃないかと
そんなことを思ったりした。

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