他人に全部決めてもらうほうが幸せ?/足下にテツガク〜Talk Log Vol.4

 昨年か一昨年か、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグといった現代を代表する起業家に共通するファッションとして、ノームコアというのが注目されました。毎朝その日何を着ていくのか服を選ぶ決断に消費するエネルギーが勿体無いので、毎日一つに決めた同じ服装でいるというファッションの考え方です。たしかオバマ大統領もそうでしたね。大きな決断をすることが仕事の経営者や大統領にとって、服を決めるエネルギーすら勿体無いという発想です。その良し悪しは置いておいて、ひとまず何か畏れ多さを感じますね。

 前置きが長くなりましたが、前回Vol.3に引き続き、「いま世界の哲学者たちが考えていること」(著:岡本裕一朗,ダイヤモンド社)」第二章をテーマにしたTalk Log。今回が最後になります。次回からは第三章を扱っていきます。

 ログの最後に、僕は一つの問いを残しています。この問いについて、皆さんはどう考えますか?

T:恋愛の相性をビッグデータから出した確率で表してしまって「この人とこの人は何%で合いますよ」という理由でセッティングしてくれるというサービスが出てきていますよね。今まで偶然的な出会いだったところを、選択を確率に委ねて意図的な出会いをするわけですが、それは果たして幸せなのだろうか、少し疑問もあったりします。

S選択を外に委ねていると、人間が決断しなくなりそうですね。全部統計で決めてもらえるから。でも、そういう心配をすると「選択に使う時間が減った分、時間をクリエイティブなことに使える」という説得を受けがちですよね。僕は、それって本当かな〜と疑問に思います。純粋に、決断しなくなると頭がわるくなりそうだなと。

A:星新一のSF小説みたいですね。イヤホンみたいなもの耳をした人間が、そこから聞こえる指示に従って全員動いている世界を描いたみたいな話があったんですが、そういう全ての選択を機械に任せた未来がきそうな気もします。

T:メディアアーティストの落合陽一さんが似たようなことを言っていました。例えば、未来の回転寿司に行ったら、ホールスタッフは人間、でもその後ろで作っている料理人はロボットになる、みたいな話で。管理職は人工知能がデータから判断すればよくて、人間はその指示に従ってホールスタッフをするだけになるという。確かに効率的で正しい気はするけど、本当にそれがいいのかな?とは感じますね。

F:そういう世界を演劇的に表現したらすごく滑稽なように感じるけれど、いざ現実になるとなんだろうね、何か違うよね。でも、人間って、そもそも自分で決断することが嫌な生物なんじゃないかとも思っていて。他者に決断してもらいたいという欲求から宗教が生まれているので、見方を変えると、決断を委託する対象が、宗教から人工知能に代わっただけとも言えるなと。

T
決断したくない性分は、日本人の国民性なのか、それとも人間本来の性分なのか、どっちなのかな。以前デンマークに行ったときに「日本人って何でもジャンケンで決めるんでしょ? それってどうかと思うよ」と言われたんですよ。「リーダーを決めるときにじゃんけんで決めてしまって、あとで組織が崩壊したときに誰が責任をとるの?」って言われました。「デンマークでは全て話し合いで決めていくよ」と。どうなんですかね、人間そのものが、自分で決めずに誰かから指示を受ける方が楽な生き物なんでしょうか?

 本トークログで最後に残された問いは「人間は自分で決断するのは好きじゃなく、他者から指示を受ける方を好む生き物なのか?」というものでした。

 人それぞれですよね、というのが率直な回答だとは思いますが、マクロに見たときに、決断を外部に委託しがちな性分を、僕たち人間は本来的に持っているかもしれないとは思えませんか? 水は低きに流れる、という言葉があるように。

 次のリモート読書会は「いま世界の哲学者たちが考えてること」(著:岡本裕一朗,ダイヤモンド社)」の第3章から。また後日トークログをお届けします。

つづくのです。

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