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鳥取×福岡×宮崎を繋いで1hourのリモートな輪読会/「サピエンス全史」思索日記Vol.4

良い本に出会ったとき、それを自分自身の感性だけで受け取ってしまうのはもったいないと思うときがあります。

「ほかの人はこれをどう受け取るんだろう?」

そんな想いに駆られたときにお勧めしたいのがリモート輪読会です。

今回の初の試みがちょっとした思いつきで始まり、
鳥取、福岡、宮崎と住む場所も違えば、
福祉、教育、ITと働く業界も違う3人が集まりました。

学生時代からいろいろ語り合う機会もあり、お世話になりまくりのお二方でしたが、アイスブレイクもほどほどに早速サピエンスの議論に。

※ちなみに利用したのはスカイプではなくzoomというツール。
 僕も教えてもらって初利用でしたが、ログイン要らずで気軽に使えてとても便利でした。

サピエンス全史(上)が今回のテーマ。(下巻はまだ読み切れていないので次回です)

1時間だけと時間を決めて、お互いに本との出会い、感想、気になった部分を共有しあいました。いろいろと面白い話が出たのですが、特に印象に残っている点だけ記しておきたいと思います。


正義も人権も信条も全て虚構にすぎないと捉える超客観的視点なんて、持たない方が幸せだったんじゃないか?

この本は非常に刺激的な視点を与えてくれます。超メタ的(=超客観的と言ってもいいはず)な視点で、あらゆる宗教(僕たちが信じているヒューマイズムや資本主義を含めて)を外した立ち位置から話を展開しています。

著者は、貨幣や資本主義はもとより、国民や正義、人権や自由の概念でさえ、サピエンスが信じ込んでいる共通の神話であり、想像上の虚構であると言い切るのです。(Vol.1参照)

これには、理知的な納得感を覚えながらも、心のどこかで反論する自分に出会います。人権は虚構だ、正義は神話だと言われると、どうしても感情的に否定したくなってしまうのです。

このあたり、3人とも同じ感想を持っていました。
この理性と感性が内なるところで無自覚にバチバチ火花を散らしてしまうところが、この本が刺激的であると思ってしまう理由なのかもしれません。

でも、自分の信じているものが虚構だと気がついたところで、それに何の意味があるのでしょうか?
もはやそんなメタ的視点は持たずに、目の前の大事な神話を信じ続けているほうが幸せなのではないでしょうか?

「こんな視点持たなければよかった!><」

そう思ったとしても不思議ではないな、と僕は思ったのです。
今回の輪読会には教育分野の友人もいたので、議論はおのずと教育のほうに向かいます。そのなかで話して納得が言った見解がありました。


貨幣や資本主義は単なる共通の神話であり、想像上の虚構にすぎないと考えられるようになれば、それらに囚われて不幸にならずにすむかもしれない。

貨幣も資本主義も、成功しないといけないという思い込みも、自己成長しないといけないという風潮も、全て虚構です。
そのことを自覚できる意味では、この本が与えてくれる圧倒的メタ視点も悪くはないなと感じたのです。

お金や名誉に溺れて人生を台無しにしてしまう人はいつの世にもいると思いますが、お金も名誉もサピエンスが勝手に信じているだけのもの。自然界には実体のない虚構にすぎません。

最近は「成長」や「成功」という言葉に溺れている人も多いように感じます。それもまた虚構にすぎないのです。

生きていく上でどうしても依存していまいそうになる概念に対して、取るに足らないものだと教えてくれる視点に、ある意味で救われるような想いもするのです。

僕なりに今日の議論でわかったことをまとめると、サピエンスの歴史を全て客観的に見ていくことには、

■自分たちが信じている信条が虚構だと暴かれることによる恐怖感
■自分たちが依存している世界の仕組みが虚構でしかないと判明する安心感

この2面性を持った学びがあるのだと感じました。

そしてそれこそが、《学ぶこと》の意味かもしれないと思ったのです。

恐怖と安心という根源的で衝動的な感情が揺さぶられる学びの場をもっと増やせれば、《学ぶこと》はもっとエキサイティングな体験になる気がします。
このあたりまた改めて考えて、ちょっとやりたい企みがあるのでいずれ形にしたいですね。


<リモート輪読会のいいところ>

今回は3人で1時間、ITツールを使ってリモートで行いましたが、ひょっとしたら、直接会って行うリアルな読書会よりもGoodな点があるように思ったので3つほどあげてみます。

①会場選びをしなくていい
 僕も学生時代に読書会をやっていたのでわかるのですが、実際に場をセッティングするとなると会場選びに困るものです。リモートだとその手間がありません。

②1時間でピシャッと終わることができる
 実際に場を作って集まってしまうと、なんだかんだと雑談があったり気を使ったりして、1時間という時間設定をしてもピシャッと終わることは難しいものです。その点リモートはオフラインにするだけでピシャッと終わることができるので、忙しい方にこそぴったりだと思いました。

③どんな人でもどんな場所からも参加できる
 やはり一番のGoodはこれですね。鳥取と福岡と宮崎と離れていると、集まって話すなんてまず難しいことです。場をセッティングするとなるとどうしても近場の人ばかりになってしまいます。一方でリモートだとSNS上の気軽な呼びかけから始められるので、この幅の広がり方はいいなと思いました。


次回は下巻でリモート輪読会第二回を開催予定です。たぶん8/22(火)19:00〜になりそうかな。
3〜4名くらいが限度かなと思っているので、興味ある方がいればご連絡ください^^


P.S.

思いつきで始めた会にすぐに興味を持って参加してくださった西嶋さん、龍興さん、ありがとうございました!

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!