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#7三井聡のポテンシャル

前回までのあらすじ

スタジオ公演のリハーサルで使ったCDデッキを持ち帰る事になった三井聡

・Myバック(ドラム型の上半身くらいあるバック)

・舞台衣装10着

・デッキ


荷物の量、軽自動車ならトランクがパンパンだ。


まず、ドラム型バックを方に手をかけた、この時点で「大きな荷物だね」

って言われる外見。

その次に衣装10着を両手に持った、この時点で「え?大丈夫?」笑

って外見だ。

引越し屋なら、先輩に褒めて貰えるだろう。

そして最後に残るはCDデッキ。

引越し屋の先輩に、「バックと衣装を運んでからまた来な!」

って言われると思うが、家まで電車で1時間。

往復するくらいなら、なんとしても持ち運んでやる。

両手で持ってた衣装を両腕で担ぎ、あいた両手でデッキを持った。

思わず、「おー!」って自分に言ってしまった。

民族大移動ならぬ、サーカス大移動が始まった。。。




駅まで、5分くらいなのだが、5時間くらいの濃密さ。

大袈裟だと思うかもしれないが、僕の両腕と両手のエネルギーの消費量はかなりのものだった。




そして運悪くラッシュ時だった。

電車に乗ってすぐにドラムバックを下ろし、衣装10着を股の下に置いた。

その上に命より大事なデッキをおいた、バックの行き場が無い。

僕の股下の長さもあまり残ってない。

そうだ、三井聡は閃いた。

ルルベをすれば良いんだ。

ルルベとはダンス用語で、かかとをあげる事だ。

要はつま先立ちだ。

ダンスで鍛えた身体能力が今発揮される時!

彼はルルベをした。

もうあまり残っていない股下に足のサイズ分の隙間が増えた。

そこにmyバックを。

なんとか滑り込ませたが、まるで大人のプールに初めて入った小学生の立ちバタ足のような、、、

ルルベと言っても電車の振動でバランスを崩し、今にも全体重がデッキに行ってしまう。

命よりも大事なデッキ

このデッキには腰掛けまいと思いなんとか、ルルベで耐えた。

しかし、リハーサル終わりでヘトヘトの体にラッシュ時の電車の揺れは、まるでジェットコースターのような。

そして、デッキだけは守り抜かなくては、と言う意識すらもルルベごと持っていかれそうだった。

電車が揺れた。

右側から人が押されて、僕の方にもたれてきた、

次は左。

また右。

今だけは、おしくらまんじゅう押されて泣きたい、、、

そう思っていると、また右から、ドン!

その衝撃で僕はデッキに座ってしまったのだ。

いやもうだいぶ前から腰掛けている状態かもしれないが、意識的に座ってしまったのだ。

緊張の糸が途切れ、心の中で、「あー!」って思った。

しかし、座った事によって体がより安定して足も楽になった。

命よりも大事なデッキに座った時、何故か全てから解放された気持ちになった。

縛りごとからの解放は快楽にもつながる。

「先生、先輩、みんな、命よりも大事なデッキに座ってしまいました。

座りごこち悪くないです。。ごめんなさい。」

決して、馬鹿にしてない、よくわからない境地は反省と感謝のカフェオレみたいに苦くて甘いのだ。



ダンスを日常的に学び、荷物を非日常的に運ぶ。

踊ることが荷物運びよりも日常だなんて、前よりダンサーだなって思ったのである。

実がこのような体験が振り付けで力を発揮してくれるのだ、俳優さん達がよく言う

「人生の全てが糧になる」と同じように、ミュージカルを振り付けているとなんとかする力【応用力】が必要だ。」

もしかしたら、デッキを運び始めた時から、振付師の人生も静かにスタートしてたのかもしれない。


次回はダンサー編を少しお休みして、好きなことを仕事につなげる方法を書きます。

これは過去日記ではなく、セルフマーケティングのお話です。

少しでも役に立てればと思い、書きます。

では!良い1日をお過ごしください。


 




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