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銀の弾丸はなくても。「地味」なグロースのススメ

グロースハックとは、突き詰めると「ユーザーがプロダクトに感じる価値」を磨き、伝わるようにするための実験手法かな、と思っています。

ユーザーがプロダクトに感じる価値自体は、ピボットをしない限り大きく変わることはありません。価値をより深堀って理解し言語化することはあっても、価値自体が変容するためにはプロダクトのコア機能の変更が必要となります。

そう考えると当然ですが「一つの施策で全てうまくいく」銀の弾丸のような施策はグロースハックではなく「ピボット」「コア価値に関わる大きな変更」の役割であり、グロースハックとは「地味」な実験の積み重ねです。

「地味」と書きましたが、決してインパクトが小さいという意味ではありません。むしろ、コア価値の深さ・広さが優秀であればグロースハックには大きなポテンシャルがあります。

その前提に立ったうえで、僕がこれまでSOELUというサービスの価値を磨き、伝わるようにするために行ってきたグロースハックを成功させるために重要だと考えている点を3つ紹介したいと思います。

[1]チームをつくる

まず、グロースはスピードが命です。なぜかというと、グロースのスピードには複利が効くからです。

実験のスピードが上がれば、改善のスピードが上がる。
改善のスピードが上がれば、LTVが上がる/CPAが下がる。
LTVが上がれば/CPAが下がれば、マーケコストを増やせる。
マーケコストを増やせば、ユーザー流入が増える。
ユーザー流入が増えると、実験スピードが上がる。

こうして、実験のスピードの向上はさらなる実験スピードの向上を生み、中長期で複利的な差を生みます。

では、グロースの実験スピードをどうやって担保するのか?
その答えが「グロースチームをつくる」ことだと考えています。

スピードを持って施策を前に進めるために、グロースチームをどう組成すればいいのか。気を付けたポイントが3つあるのでご紹介します。

①混成チームによる機動力
スピードの実現には、プロダクト(デザイン&開発)・マーケティング・カスタマーサクセスといったユーザーに関わる部門間の垣根を超えた横断的な連携が不可欠です。なので、各チームから調整・施策実行の腕力のあるメンバーを集めることで機動力を高めました。

②権限と重要性の認識共有
雑に言ってしまうと、経営陣が舵を取るか腹を括ることが重要です。できれば経営陣が、厳しければリーダーに権限移譲して舵取りを行い、権限と重要性が全社的に認識共有されていることで、各チームの事情に応じた妥協・スピードダウンを招かない体制にしていくことができました。

③意思決定者・基準と実験状況の可視化
数値と感覚(インサイト)のバランス、施策をどう評価して最終的にどう意思決定するのか。またそのフローや状況自体がオープンになっていることは各チームの理解を得るうえで重要です。

また、メンバーの意識・成長の側面でも、意思決定に関わることによる「自分ごと化」、グロース視点を持つことによる「横串意識向上」、そして検証の方法をオープンにしグロース手法自体をPDCAすることによる「成長の再現性向上」etc...
グロースチームを組成することで好循環を生みやすくなります。

[2]ファネルをつくる

チームを組成すると同時に、グロースの成果を共有する仕組みをつくりました。
改善したいマーケティングやプロダクトのユーザーファネルを見るのはもちろん、グロースチーム自体のパフォーマンスを測るファネルをつくることを意識しました。

なぜなら、実験を高速で回して成果が上がったとしても、グロースチームが健全に運用されているかを測る指標を元に振り返りを行わない限り、それ以上の精度向上が運任せとなってしまうためです。
グロースのスピードを担保するため、SOELUでは以下のような指標を定常的に追っています。

①アイディア数
②検証アイディア数
③実験開始数
④実験完了数
⑤達成施策数

それぞれ週にいくつ達成できればグロース目標、引いては事業目標を達成できるのか。そこから逆算してプランを立て、遅れる部分があれば原因を分析・改善していく。

これを徹底することで「何となくうまくいっている」「何となくうまくいっていない」の罠にかからずにすみます。

[3]サイクルをつくる

実験を開始した後は、実施と振り返りのサイクルをつくり共有認識としました。実験結果から示唆を導き出して次の仮説を設定してサイクルを回す。同時に、グロース進捗を可視化し課題となりそうな部分があれば手を打つ。
地味なサイクルの繰り返しですが、ここを徹底できるかどうかは馬鹿になりません。

SOELUでは、このようなフォーマットで振り返りを行っています。

①KPI振り返り
グロースチームをリードするリーダーから事業目標・グロース目標に対して現在地がどこで、進捗率がどの程度なのか、課題はどこにあるのかを共有し、共通認識をつくります。

②ファネル振り返り
[2]ファネルをつくるでつくったグロースチームのファネルを振り返り、次のSprintでどこに注力する必要があるかを共有します。

③実験振り返り
前週に行った実験について、想定していた改善幅を達成できたのか、示唆は何かあったか、想定外の要素はあったかを振り返ります。もちろん全ての実験が大きな改善に繋がるのがベストではありますが、現実的にはこのフェーズで次に繋がる仮説を得られると、実施する意味のある実験だったと言えると思います。

④アイディア評価
新しく出た実験アイディアを「KPIへの期待インパクト」「改善の成功確度(根拠の強さ)」「実施コスト(ヒト/モノ/カネ/ジカン)」の基準で評価します。
それぞれの項目の重み付けはフェーズによっても変化しますが、「インパクトの大きい施策はスピードをも早める」ため、SOELUでは現状期待インパクトを最重要視して評価を行なっています。

⑤実験計画
評価を行なった未実施一覧から次Sprintで実行する実験を選定し、見積もりと実施計画を策定します。

さいごに

グロースを成功させるために重要だと考えていることを「チーム」「ファネル」「サイクル」の3つに絞ってまとめてきました。

3つの中でどれが一番重要か。ファネルやサイクルをつくるのも人なので、やはりチームの組成が重要だと思います。

SOELUでは、そんなチームを一緒に育て、グロースを推進するメンバーを全方位で募集中ですので、興味持っていただいた方は是非コンタクトしていただけると嬉しいです!


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