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僕がプロレスにハマるまで(3)[猪木引退編]

nWoブームがどんどん加速する中、ドン・フライというヒールが現れます。世間的には後に総合格闘技でも有名になるフレディ・マーキュリーに似てる外国人選手ですね。
通の人はこの時代は橋本真也がーとか小川直也がーとかになると思いますが、ニワカの僕は反則上等純粋悪のドン・フライの術中にみごとにハマっていました。
あきらかに反則な総合格闘技の打撃技にチョークスリーパーで当時のヒーロー選手が次から次へとマットに沈められていき、深夜1時すぎに「あんなん反則やろ!」とキレてた気がします。
(現在新日本プロレスで解説をやってる山崎一夫もボッコボコにされてました)

アントニオ猪木の引退試合

そして熱気はあのアントニオ猪木の引退試合で最高潮に達します。
相手はドン・フライ
ニワカの僕からすると、若くて筋骨隆々で躊躇なく反則をして負けなしのこの外国人と、当時は議員活動でプロレスの世界から遠ざかっていていい歳の猪木が戦って勝てるはずがない!本気でそう思ってました。
もちろんドン・フライの過去数ヶ月の悪逆非道に腹を据えかねてる僕は完全に猪木を応援する側です。

その日は職場でも今夜の猪木引退試合はどうなるのかという話題になっていて、僕もゴールデンタイムの放送をリアルタイムで見るために直帰しました。
試合が始まるとすぐに異変を感じます。
いつもはシュートボクシングのスタイルでどんどん攻めに行くドン・フライが攻めあぐねているではありませんか。

まさにヘビに睨まれたカエルです。

そしてついに猪木が攻勢に出ると今まで自分がやっていたシュートスタイルでドン・フライがヘロヘロにやられていきます!ヘロヘロにです!
いやほんと冗談抜きで、家では厳格なところしか見せない父親が職場では年下の上司に頭を下げて髪の毛がまた1本と抜けていくような変わりようでした。

「あのドン・フライがあんなヘロヘロに打たれて続けるなんてやっぱ猪木はすげぇ!!」
と同時に、
(そんなアホな!!)
と心の中で叫んだ記憶があります。

そしてドン・フライは文字通り一糸を報いる事すらできないままあっさり負け、あの伝説の猪木の引退メッセージが生まれるのです。
「この道を行けばどうなるものか…迷わず行けよ行けば分かるさありがとー!!」

プロレス暗黒時代へ

ここで僕の中での最初のプロレスブームはクライマックスを迎え、終焉へと歩み始めます。
間もなく総合格闘技ブームが到来し、僕はそちらには一切興味はないどころかプロレスの方が面白いと思ってたくらいなのですが、時代は就職氷河期〜リーマンショックまっただ中で心の余裕もなくなり、気が付けば深夜のワールドプロレスリングすら見なくなっていました。

しかしそこから数十年後、ブーム復活という追い風もありなんとなく見たプロレスの試合で、僕は完全にプロレス沼に堕ちてしまうのです。

<つづく>

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