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旅の日記。

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できるだけ遠くへ、少しでも長く旅したい。
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旅先での会話は、とりとめなく続いていく。

旅先での会話は、とりとめなく続いていく。

僕たちは、旅先の知らない道を黒のレンタカーで移動していた。信号機のない海沿いの道を心地よく走り抜け、市街地へ入った時だった。助手席に座っていた彼女が、

「前の車、次の信号で左折するよ」

と言った。ほどなくして、前の車は次の信号で左折した。「どうしてわかったんだ?」と僕は尋ねた。彼女はふふふ、と笑うだけだった。

彼女に特殊な能力がない事は、よくわかっていた。直感が鋭い方でもない。商店街のくじ引

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今度は、どこへいこう?

今度は、どこへいこう?

佐渡は二回目だった。心配していた天気も回復し、盛夏を感じさせるような陽が射し込んできた。私たちは黒のレンタカーに乗り込み、青い海と田園そして山並みを満喫していた。

「おいしいね」「きれいだね」「たのしいね」

普段は、聞き役に回ることの多い彼女が、まるで子供の頃にもどったかのように、思ったことを口にし、はしゃぎ、並んだ料理を口に運んでいた。私は、そんな彼女の様子を写真に収めながら「ここに連れてき

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「コスパの悪い旅ランキング」が、存在するならば。

「コスパの悪い旅ランキング」が、存在するならば。

山登りはキツイ。
登っている最中は「苦しい、ツライ、頂上はまだか?」
そんなことばかり考えている。

何時間かけて登っても、頂上にいる時間は一瞬だ。
せいぜい20分程度? いや、もっと短い時だってある。
そして、登ってきた道を戻らなければいけない。

帰宅してからも、筋肉痛やケガなどに悩まされたりして。
コスパが悪いこと、この上ない。

夏休み、ある山に登った。
「苦しいツライ頂上はまだか?」を1

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高速バスで「仙台→金沢への旅」

高速バスで「仙台→金沢への旅」

今年(2019)の五月の連休は、高速バスを使って「仙台→金沢」へ旅をした。片道9時間。往復18時間のバス旅。若い頃ならいざ知らず、40代の筆者にバス旅は乗り越えられるのか?

車中泊2日&ホテル2泊。合計四泊五日の変則旅。気になった方は覗いてみて下さい。(すべて無料で閲覧可です)

もくじ 高速バスで「仙台→金沢への旅」

10月の砂浜の上を、音を鳴らしながら歩く。

10月の砂浜の上を、音を鳴らしながら歩く。



秋の砂浜は、プロのグランドキーパーが整備したみたいに、きめ細やかで滑らかに整っている。その上を、きゅっきゅっと砂を鳴らしながら歩いていると、なんだか「わるいこと」をしているような気分になる。

エンジンをつけたパラグライダーが、大きな音を立てて目の前を横切っていく。左右に揺らしたり、砂浜すれすれまで降下したり、ずいぶん機動力が高いんだな、と思いながら眺めている。

彼らが向こう側へ行ってしまう

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はじめての奈良旅(8)〜最終回

はじめての奈良旅(8)ならまち散策志賀直哉旧居をあとにして、次は「ならまち」へと向かう。当初の予定ではバスを利用しようと考えていたのだが、今ひとつ適切なバスルートがよくわからなかった。きちんと調べれば見つかったのだろうけれど、マップを見ると15分も歩けば目的地に到着できそうなので徒歩で向かってみることにした。

つづきを読む(無料)はじめての奈良旅(8)ならまち散策

はじめての奈良旅(最終回)さ

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はじめての奈良旅(7)志賀直哉 旧居へ

ほとんどの人が覚えていないと思うのだが、二つ前の投稿に「今回、行ってみたい場所がある」と書いた。もったいぶっていたわりには、すでに、この記事のタイトルでバレてしまっているけれど、つまりそこが、今から向かおうとしている「志賀直哉 旧居」である。

初めて読んだ志賀直哉の作品は、中学生の時に読んだ「小説の神様」だった。ぐいぐいと作品の世界に引き込まれ、中学生ながら「他の作家とは、どこか違う魅力」を感じ

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はじめての奈良旅(6)春日大社と、万葉粥。

東大寺から春日大社へ徒歩で向かう途中、閉店している店の中をドア越しに覗き込んでいる鹿がいた。それは「なんだ、まだ開いていないのか」とでも言いたげな仕草に見えた。その様子を見ていた外国人の方が、僕たちに話しかけてきた。よく聞き取れなかったので「何と言っていた?」と連れに確認すると「入ろうとしているね、と言っていた」とのこと。「聞き取れたんだ」「だって日本語だったよ」。

そう、僕は英語で話しかけられ

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はじめての奈良旅(5) 東大寺へ行こう。

まだ9時を少し回ったばかりだというのに、東大寺の南大門へと続く道は多くの観光客で賑わっていた。海外からの団体客と思われるグループ、家族旅行、ひとり旅、様々な人達が連なって歩いていく。先ほどまでの落ち着いた雰囲気から一変して「日本を代表する観光地としての奈良」を体感する。

そしてたくさんの人達と一緒に進んでいく先にあるのは、東大寺南大門。ここには日本史の教科書にも登場する、あの仁王像がある。そう「

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はじめての奈良旅(4)鹿に「シカせんべい」を。

三日目の朝がきた。旅は、実際に旅をしている時間よりも計画や準備をしている時間の方が長い。今回の旅も、すでに折り返しを過ぎてしまった。奥の細道に「日々旅にして旅を栖とす」という一節があるけれど、将来は旅をしながら生活してみたいとも思う。そして、意外とそれは可能なのではないか、とも思っている。今後の目標のひとつとしたい。

さて、三日目の朝がきた。初日の夜は体調を崩し、今回はここで終了かとも感じたのだ

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はじめての奈良旅(3) 宿に到着。二日目終了

JR三輪駅から奈良駅まで移動。ここは乗り換えがないので、順調に移動して30分ほどで到着。改札口を出ると、僕たちのような大きな荷物を抱えた観光客と外国人の方たちが、行き交っているのが目にとまる。観光地に来たのだな、という気分になる。

この時点で時計は午後4時を回っていた。本日の宿は奈良市内のホテルなので、チェックインを済ませてしまうか、もう一箇所回るか考えたところ、連れが「前から気になっていた、く

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はじめての奈良旅(2)大神神社へ

長谷寺から大神神社までは電車で移動する。ルートとしては、

近鉄大阪線「長谷寺駅」→「桜井駅」下車 → JR「桜井駅」→「三輪駅」

という、数駅移動して、乗り換え一回のみのシンプルなもの。ところが電車の本数が少ないため、1時間ほどかかってしまった。長谷寺の門前町で買い物をした際、店の人から「ここから大神神社へ行くなら、電車の本数が少ないからタクシーの方が早くて便利かもしれませんよ」とアドバイスい

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