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古本をめぐる冒険 濱田廣介「大將の銅像」

先日、待ち合わせまでに時間があったので、古本屋に立ち寄った時の話。抱えていた荷物が多かったため、眺めるだけにしようと考えていたのですが、ふと目に飛び込んできた装丁が気になってしまい、思わず購入してしまった一冊がありました。

それが今回紹介する、濱田廣介「大將の銅像(復刻版)」です。
帰宅してから、あらためて手にとって眺めてみると、装幀及び扉は竹久夢二、口繪及び挿繪は川上四郎でした。なるほど、道理で目を引かれたわけです。

序文と目次には、朱に近い文字色が使用されています。ページをめくりながら眺めていると「やっぱり紙の本はいいなあ」と感じさせてくれる佇まいがあります。電子書籍も便利で持ち運びも楽なので重宝しますが、紙の本で読む体験も大切にしていきたいと感じる瞬間です。

そして、

父さん、ゆふべ殻から出たばかりの蝉がもうこんな色に変わりました、と言つて私の子供が持つて来て見せたことがありました。(序の言葉より)

という、繊細で静かな広がりのある文章で始まる「序の言葉」を書いているのは、作家の島崎藤村

濱田小父さんは私の若いお友達ですが、今度皆さんのために一冊の本を書きました。(序の言葉より)

いつかこの「若いお友達」という言葉を、どこかで使ってみたいと思います。どこかで見かけることがあれば「ああ、これが元ネタか」と思ってください(笑)

「ジャケ買い」という言葉がありますが、装丁だけで本を購入するのも「ジャケ買い」になるのでしょうか。それとも「装丁買い」とでも言うのでしょうか。よくわかりませんが、とにもかくにも本作品は「装丁買いをしてよかった」と感じる一冊でした。

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