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ほめ日記

○月×日
蟻が自分より大きなお菓子のかけらを運んでいたので、「力持ちだね」と声をかけた。

〇月×日
長女が職場の集合写真を見せてきた。私は即座に、
「あっ、この人すごく可愛いね。ちょっと石原さとみに似てる」
と言って長女を指さした。

〇月×日
夫婦そろって受けた人間ドックの結果が届いた。昔から“面白いことを言わない”で定評のある彼が診断表を見ながら突然ダジャレを言った。
「大腸だいちょうぶだったよ」
私は自分の結果を見てもそれより面白いことを言えなくて悔しがった。

○月×日
ヘアカラー専門店に行った。白髪を染めてもらうためだ。
ビジネスライクでリーズナブルなお店なので指名制はないが、この店にはシャンプーが最高に上手な小柄な店員さんが一人いる。名前もわからないが、その人に当たるととてもラッキーだと私は思っている。
この日はなんと彼女がシャンプーの担当になった。
スピーディーかつ力強く的確な指の動き。まさにゴッドハンド。
「力かげんはいかがですか?」と問われ、私は白い布を顔に乗せたまま勇気を出した。
「ちょうどいいです! 本当にシャンプーがお上手ですね。シャンプーがおねえさんに当たるとやったーって思います」
しゃべるたびに白い布がずれる。
「・・・あ、ありがとうございます!!」
彼女が布の位置を直す。
洗い終わって白い布を外された時に再び「最高に気持ち良かったです」と顔出しで言った。名も知らぬ彼女はその辺の花のつぼみが咲いてしまうくらいの笑顔を見せてくれた。

○月×日
スーパーの不愛想な店員さんが髪の毛を切って素敵になっていたが、伝えることができなかった

○月×日
とあるカフェに行った。棚に万華鏡がいくつか飾ってあった。万華鏡づくりを趣味としているマスターなのだった。
「うわーこれは・・・ゴージャスですね!」
万華鏡ってこんなに美しいんだと思った。

〇月×日
めちゃめちゃ面白いnoteの人がいたので、その衝撃をnoteに書いた

〇月×日
ベビーシッターとして花村さん(仮名)のお宅に伺う。
花村さんは私のことを「シッターさん」とは呼ばず必ず名前で呼んでくれる。そしてお茶とお茶菓子を必ず出してくれる。たいへん珍しくもありがたいお宅なのである。本日のお菓子は吉祥寺・紅梅堂のコーヒー大福。この辺では名物らしいが私は初めて食べる。
「ん・・・お、い、しーーー!! です。おいしい!」
びっくりするぐらいおいしかった。

テレサちゃん(仮名・1歳)はお米でできたおせんべい「おこめぼー」を食べながら、“ぱ”の発音を熱心に自主練している。

〇月×日
最近せっせとぬか漬けを作っては食卓に出している。かぶときゅうりを交互に漬ける。はじめは他人行儀だったぬか床がだいぶ心を許してきて、とてもいい具合に漬かるようになった。家族がさかんにおいしがってくれて嬉しい。

〇月×日
花村さんのおうちで、この日のお茶菓子はかりんとう饅頭だった。
これも紅梅堂の名物菓子だそうだ。
「あ、本当にかりっとしてる! おいしいです!!」
外はかりっと、中はふわっと。いつも出してくれるごぼう茶ともよく合う。

この日、長期の出張で留守にしていた、ムッシュ・パスカルが帰ってきた。
彼は花村さんのパートナーである。
テレサちゃんは「ふぁ、ぱ、ば、ぱふぁ」と入念に発音の準備運動をした後、満を持して生まれて初めて「ぱーぱー」と言ったので、ムッシュ・パスカルは歓喜した。テレサ、天才か。

○月×日

猫は家の中の決まった場所にある猫砂エリアで用を足す。
砂を掘っておしっこやうんちをするとその場所を砂で隠す。
いつも感心する。1日に何度も「一人でおトイレできてえらいね」とほめる。猫は無表情のままだけど。





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