Web のテクスト表示における一考察

小説サイトをさまよっていると、
書き方のルールの話にぶち当たります。

特に多いのは以下の二つ。
いわく「段落あたまは一文字空け」。
いわく「感嘆符の後は一文字空け」。

うんうん。その方が
「文章として」なじみある形式だよね。
分かるよ。

けど、
なんでそのルールが定められたの?

どこを見渡しても、おっそろしいくらい、
この部分の議論が欠落しているのです。

ルールを守れ! は、良い事です。
けど、それを話すときに
「決められてるから!」というのは、
どうにも筋違いなんじゃねーかなー、
そう思えて仕方ない。

なので、その辺を一通り調べて、
いったんの結論に辿り着きました。


小説サイトで流通しているルールは、
「出版されている本」
の印刷ルールに準拠し、語られています。

そしてその基準は、そもそもが
「読みやすくするため」。

さて、ここで問題になってくるのは、
ブラウザ表示。

みなさんご存知の通り、ブラウザ表示、
「出版されている本」と
同じ感じで書きされると、
途轍もなく読みづらいです。

となると、
「じゃあ、どこまで
 例のルールを受け容れるべきさ?」
となってくる。

結論から言えば

・行間開けやるなら別に
 段落あたまをあける必要ない

・!や?のあとの空白は、自分自身の
「どっちが読みやすいか」に従え

と、なるかと思います。

この辺について、
ちょっと掘りたい、と思いました。

ちなみにここについて調べてく中で、
こんな本の存在を知りました。

日本語表記ルールブック
 (日本エディタースクール )

http://amzn.asia/d/iDavYEZ

中途半端にルールだなんだ言う位なら、
はじめっからこういう本に当たっちまえよ、
と言う感じにはなりそうですね。

今度読んでみたいと思います。

・段落あたまは一文字空け?

これ、なんでやってるの?
って話ですが、実はよくわかってない。

「読みやすくなるから」が
なんとなくの理由です。

そして、実際その通りなんです。
特に「印刷されたものでは」。

というのも、段落が
どんだけの分量になってるか。
こいつを予め見通せるというのは、
文章を追う上で、かなり重要です。

この辺は憶測でしかないですが、
印刷、あるいは筆記というものは、
どうしても文字を乗せる媒体という
物理的スペースの制限があります。

そうすると、
段落の区切りをどう明示化するか?
と考えた時に、一段下げなら、
最低限の空きスペースで示すことができる。

この辺が一段下げの発祥なのかな、
というのが、目下の仮説。

が。

Webサイトの文章に
「字下げ(インデント)」は適用するべきか?

https://www.bscre8.com/bslife/2017/03/10/web%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%AE%E6%96%87%E7%AB%A0%E3%81%AB%E3%80%8C%E5%AD%97%E4%B8%8B%E3%81%92%EF%BC%88%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%89%E3%80%8D%E3%81%AF%E9%81%A9/

にもある通り、
Web 媒体での一段下げって、
往々にして見苦しい。

そして上記ページには、
見苦しくなる時の条件として
「文章の横幅表示領域が短く、
 かつ短い段落が連続する」

というのが挙げられています。

この条件って、ブラウザ表示で
「読みやすくなる表示の条件」
でもあるんですよね。

そうすると、ブラウザ表示において
段落あたまの一段下げ、
というのは案外悪手である。

そう結論付けられるかと思います。

ただし、これは飽くまで上記条件に従って
文章を書こう、という場合の話。

日本人、まだまだ
「縦書き版組みの紙の本」
に親しむ層が多いです。

だから、そう簡単に旧来の
表示スタイルが廃れるわけじゃないです。

なら、旧来のスタイルで文章を書くときは
やはり一段下げは重要である、
と言えるでしょう。

ただ旧来のスタイルを守るにしても、
段落ごとの行間は一般的になりつつあります。

この場合、
段落あたまの一段下げは、
行間が既に「区切りを明示化する」
役割を負ってくれている
わけで、
敢えて一段下げを続ける義務はない、
とは言ってしまえるでしょう。

ちなみに。

段落一字下げを考える
https://www.informe.co.jp/useful/character/character7/
このページとか、
考えるって言っておきながら、
一切一段下げしてないですw
どんなネタフリだよw

・感嘆符のあとは一文字空け?

このルール、案外なじみない方も
多いんじゃないですかね?

「ルールの話」を振られるとき、
こいつってデカい幅利かせてきます。

けど、「なんで?」については、
ほんとに触れられてない。
じゃあ、なんでなのさ?

調べました。
結論は「見やすくするため」
ワァーオ。

なので、
「あなたが読んでほしいと思う読者が
 見づらいと感じるなら空けるべきだし、
 そうでないなら空けないでもよい」
という、ふんわりしたことしか言えません。

あ、ここが結論なので、
これ以降は別に読まないでもいいですよー。

というわけで、ここから
その辺の経緯について
うだうだ行っちゃいましょう。

こう言うのって発祥から辿ってった方が
理解が通りやすくなるんですが、
敢えてストーリーっぽく行きたいと思います。

まず、このルール。
「日本語表記のガイドライン」
制定されています。

つまり、その気になれば
「そう言うガイドラインがあるんだ!
 ガイドラインは守れ!」
でぶん殴れるわけです。

最高だね!

日本語組版処理の要件(日本語版)
 W3C 技術ノート 2012年4月3日
 3.1.6 区切り約物及びハイフン類の配置方法

https://www.w3.org/TR/jlreq/ja/#positioning_of_dividing_punctuation_marks

「理由も言わず素手で殴る」を
「理由も言わずハンマーで殴る」に、
これでバージョンアップできるぞ!
やったねたえちゃん!
やっぱ、どうせ殴るなら
殺傷力上げたいよね!

(そこじゃない)

けど「そう決まってんだから守れよ」ってさ、
ショーセツカキとしては、正直知的ではない。
もっとこう、この辺に
スマートな話をしたいもんです。

感嘆符・疑問符の後に
全角空白(スペース)が必要になる理由と、
Webメディアの表記ルールについて

https://liginc.co.jp/life/useful-info/127238

このページが、まさにその議論を
なさっておられます。
その理由はと言うと、結局これ。

「よくわかんない」。

ただ、推測のヒントは書かれています。

以下、上掲ブログからの引用です。

”Webメディアは比較的新しいメディアになるため、初期のルールは既存のメディアを参考にせざるを得ません。コンピュータで作成される文章であることに配慮しながら、印刷物の慣行に近づけることが基本的な考え方だと言えます。”

つまり、既存ルールにはまず従い、
そこから表示に対して最適となる
スタイルを探していきましょう、
となりますでしょうか。

で、文字表記。
こいつってもとを辿ると、
大体がグーテンベルクとか
タイプライターとか、
そう言う話になってくるわけです。

漢字の活版? あぁシカトシカト。
アレの版組みなんぞが検討に値するなら
PCの表示だって縦書きデフォですがな。

さて、そうなると英語のサイトに
飛ぶ必要があるわけですよ。

One or Two Spaces after a Period?
http://www.getitwriteonline.com/archive/011803typographyspaceperiods.htm

英語サイトなので、
グーグル先生に翻訳していただき、
意味の通りづらいところに加筆します。

Use one space after all punctuation, including periods, question marks, exclamation points, and colons.
(初期のタイプライターで文書を打っていた頃は)ピリオド、疑問符、感嘆符、コロンを含めて、すべての句読点の後に1つのスペースを使用していました。

Putting two spaces after these marks of punctuation is a convention that evolved because typewriters were equipped only with monospaced fonts, which made it difficult to see where sentences ended.
これらの句読記号の後に2つのスペースを置くことは、ある事情から発達した規則でした。
というのも旧来のタイプライターには等間隔のフォントしか搭載されていなかったため、一連の文章がどこで終わるのかを視認するのが難しかったのです。

Professional typographers have always used only one space because they use proportionally spaced fonts, which do not require the extra spaces in order for a series of sentences to be readable.
プロのライターたちは、文章を読みやすくするために余分なスペースを必要としない、比例した間隔のフォントを使用するタイプライターを用いていました。そのため、常に1つのスペースしか使用していませんでした。

Because most of the fonts in today's word processing software programs are proportional, in other words, we do not need to put an additional space after end punctuation or colons when we use our computers to compose.
今日我々が用いている文書作成ソフトのフォントの大部分は間隔が比例しており、すでに読みやすくなるための処理がなされています。言い換えれば、私たちがコンピュータを使って作ったときに、あえて最後の句読点やコロンの後ろにスペースを入れる必要はありません。

「等間隔」と「比例間隔」は、
全角と半角、的な認識で良いでしょう。
Are you OK? I am OK!
Are you OK? I am OK!
どっちが文章として認識しやすい?
みたいな話ですね。

つまり?のあとの文字空けは
「昔のタイプライターじゃ、
 ?のあとにしっかり空白空けんと
 見づらくてしゃないがな」

が理由であり、時が経って、
文字間隔調整が効くようになると、
その辺を気にする必要はなくなった。

けど、慣習として残ってる。

と言った辺りとなるでしょうか。
結局は視認性の問題だったわけです。

あ、すいません上で
漢字の印刷シカトしますっつったけど
やっぱり触れときます。

漢文の場合、?のあとには
空白が入りません。こっちの場合は
一文字当たりの情報量がはんぱないから、
文字である程度文節が視認できる、
と言った辺りになるでしょうか。

……。
おらっ漢文が来いよ。

孫子曰:兵者,國之大事,死生之地,存亡之道,不可不察也。故經之以五事,校之以計,而索其情:一曰道,二曰天,三曰地,四曰將,五曰法。道者,令民與上同意,可與之死,可與之生,而不畏危也。天者,陰陽、寒暑、時制也。地者,高下、遠近、險易、廣狹、死生也。將者,智、信、仁、勇、嚴也。法者,曲制、官道、主用也。凡此五者,將莫不聞,知之者勝,不知者不勝。故校之以計而索其情,曰:主孰有道?將孰有能?天地孰得?法令孰行?兵眾孰強?士卒孰練?賞罰孰明?吾以此知勝負矣。
(「孫子」 始計編より)

まぁ確かに、アルファベットに較べると
見やすいですね。

となると、我々 Web モノカキたちも、
「視認性」に注視したうえで
このルールに臨むべき、となるでしょう。

そして先に紹介したページ
https://liginc.co.jp/life/useful-info/127238
では、下記のような意見も載っています。

>どうして「!」や「?」の後に
>全角スペースを空けるの?
>読みにくいじゃん!

こう言う人たちに対して
「でもね、本当は
 空けるのがルールなんだよ?」
って言って、どうしますか?

「見やすさ読みやすさのルール」のために、
「読みづらいお作法」を押し付けるんですか?

それって、ルールの大本から見れば、
本末転倒になるんじゃないでしょうか?

そう、思わずにおれないわけです。

だから、感嘆符のあとの空白については
指摘を受けた時に、こう返すべきでしょうね。

「なるほど、
 で、あなたはそれによって
 私の文章の読みやすさが
 上がるとお思いですか?」


ちなみにプロ目指すってんなら
守った方がいいですよ。
と言うより、守るべき。

だってガイドラインに
則って表示されるのが
プロモノカキの文章ですから。

校正マンを殺したいってんなら、
その限りでもないですけど。

おわりに

さて、ざっと書いてきました。

なんでこれを書こうと思ったか。
ってえのも、自分自身、この辺の
ルールをかなり重視してきました。

けどある時

「あれ? そもそもこのルールって
 何のために守れって言われてんの?

 だって文章なんてもんは、
 こっちの意図を
 的確に伝えてなんぼでしょ?」

と、思ってしまい。

そして、このサイトに乗せている
作品の表示の変遷が示す通り、
「本に乗せられているような」
表示形式を、Web 上で遵守することに
意義を感じなくなってきています。

好きだから、守る所では守りますよ。
たださ、「読みづらい」って言われて、
読みづらいままでいる意義ってある?

そうすると、
ありとあらゆる表記上のルールにおいて
「読みやすさ/見やすさ」を優先して
調整がなされないといけない、

そう感じるようになりました。

この時に
「そう言うルールだから」
は、ナシですわ。

だって、前話にも書いたけど、
守ることによって読みづらくなるとか、
それじゃ意味ないじゃないですか。

文字が生まれたこと、
活版印刷が生まれたこと。

デジタルテキストの出現って、
これらと並ぶくらい
「文字」に対する革命です。

あまりにも大きな変革すぎるから、
いきなりそいつに最適化された
「見やすさの形式」なんてもんは
見出しようがない。

その代わり、文字が生まれてきて以来
研鑽され続けてきた、過去の蓄積からの
トライ&エラーは敢行できるでしょう。

いわゆるデジタルネイティブたちは、
この変化のただ中に始めからいます。
だから、印刷末期世代にとっては
眉をひそめかねないようなことも
平然とやってのける。

そしてこれに対する批判は、
残念ながら
「最近の若いもんは……」論法と、
全く同じものでしかない、
と言えてしまうのでしょう。

デジタルネイティブたちと、
これまで人間たちが培ってきた
「読みやすい文字列の原理」
的なものは共有すべきです。

ただそれは、間違っても
「先人がこう決めたから!」
で、止まってはいけない。

文字表現は、ここから更に変わってきます。
変りゆくこと、楽しんでいきたいもんです。

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コメント2件

お久しぶりです(^_^)

私の場合、Web上では見やすさ優先です。
段落の頭は下げない、「?」の後はスペース無しだし、もし入れるなら半角スペースです。
そのうえ「、」は半角、「。」は全角、というわがままなマイルールでやってます。

キッチリと文字を詰めて提示するのが紙の上での流儀なら、Webの上の文章は、改行と一行空け、二行空け、つまり「すき間」で読みやすさ、論旨のつかみやすさを演出するものだと思ってます。
だから、とてもではない、そのまま縦書きの紙の媒体に移せるもんじゃありません。
だって、読者も、じっくり読むよりは、素早く情報をつかみたがっているし……読者の気分がWebでの表記を方向づけてるところも大きいと思ってます。

必要ならば紙上とは違うルールを用いるほうが、物書きとしての良心だと、私は思います。
お久しぶりです、
とりあえず小説って note 向けじゃねえなあ、
と悶々としていたんですが、
この手の奴なら note っぽい! と、
小説サイトに投稿した後で思い立ちましたw

ブログとか note と言った場でのテキストは、
やはり物語とは性格が違う気はします。
けど、物語も結局はテキストであり、
そうすると視認性って意味では、
そんなに変わらない。はず。

「より読んでもらえやすい表現」は、
どこまでも追求していきたいものですね。
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