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90名のアメリア人団体ツアー添乗

旅をすることナリワイにして2年目。今月は家に帰っているのは数日。常に何処かで、何処かの国のツアーのアテンドをしています。

時には、お茶のバイヤーさんの商談通訳を、時には、日本全国の農家をめぐる農家旅、パーマカルチャーの視察旅行、などなど特殊な旅のコーディネートもしますが、公共交通でひたすら歩く旅や、バスツアーもやってます。

インバウンドツアーガイドにはいろんな種類がありますが、バス1台の大型ツアーになると、47名まで一人の添乗員が見ることになります。90名超だと、2人の添乗員がつきます。

90人のツアーって、自分だったら参加したくないのですが(笑)、仕事としてはこれがなかなか面白い。

はじめてミートアップするのは成田空港にて。これがまた圧巻。90名以上となると、列の最後の人が見えない長蛇の列です。カーブした道を通るときや分かれ道があるところは要注意!初めてみたときの感想は、おお、きたぞ、きたぞ〜って感じ。2度目から抵抗力がつきましたがw

東京の地下鉄の乗り換えを想像してみてください。乗り換え口と乗る号車を間違えると大変なことになります。通路が狭いと後戻りも不可能なので、なるべく乗り換え口に近い号車を確認し、出口を全部把握しておく必要があります。乗り切れない人がいて、ちょっとでもたむろしていたら、駅員さんに早く出てくれと怒られます。

自由時間後の集合をどこにかけるかも重要です。店の前とかを集合場所にすると怒られます。考えてみてください、自分ちの前に90人のアメリカ人がいる図を。そら怒られますわな。下見の時に、待ち合わせができる場所をあらかじめ探しておかねばなりません。

電車に乗り切れなかった人が出たらどう対応するか、迷子は?途中で帰りたくなった急病人はだれがみる?(脱水症状とか、鼻血が止まらない、膝が痛くて歩けないなど多々あり)。1分1秒の的確な指揮力が求められます。

そして、90人もアメリカ人を連れていると、毎日のように怪事件が起きます(笑)。

<本当にあったハプニング>

●携帯(カメラ)をどこかにわすれてきた→通った場所かたっぱしから電話
●パスポートを無くした→再発行できる大使館を調べて必要書類を揃える
●怪我した、病気になった、ひどい時はアル中患者の緊急搬送も!
●家族が日本に送ったクレジットカード(デジカメ)がとどかない
●迷子になった
●一人でスーツケース6個もってきてる
●部屋が臭くて無理、変えて欲しい→空きがない場合は自分の部屋と交換
●バリアフリーでないと無理、段差があってバスルームに入れない。
●クレジットカードがブロックされてしまった
●帰りの飛行機の予約が消えてる、勝手にリファンドされてしまった。
●東京に家族がいるのでツアーを一時抜けたい
●突然 ディナー後に、NYのタイムズスクエアっぽいとこにいってみたい→深夜に80名で歌舞伎町練り歩く!
●パケモングッズが買いたい
●予約してたはずの店が閉まってる
●おみくじの翻訳して欲しい、占いの通訳をお願いしたい
●ヴィーガン(グルテンフリー)なので、どこかいい店はないか?
●ホテルの飯がまずい→しらんがな

つぎつぎに質問や、難題がとびかかってきます。

どうも、業界筋によると、東京のガイドより、関西のガイドの方が、スケジュールにないアドリブやトラブル処理がうまいらしい。ノリとつっこみで生きてるだけあって。

<本当にあった怖い話>

飲み過ぎでふらふらになったお客さんをタクシーで先にホテルに帰すと、まっていたのは惨劇でした。タクシーの中で吐き、運転手がクリーニング代と休業補償3万弁償しろと騒いでいる。本人は白目向いてたおれている。この場合、タクシーではなく、はじめから救急車を呼ぶべきでした。よいこのみなさーん、タクシーで吐くと3万ですよ〜!

白目むいてるお客さん初めてみて鳥肌がたつ。タクシー代をとりあえず払い、救急車を呼ぶも、外国人拒否でなかなかみつからず、ようやく搬送先がきまったのが深夜1時。目を覚ますまで徹夜でつきそう。これまでに一番こわい話でした。アルコールは要注意!!

これ、余談ですが、本人無意識ながら、救急車の中で、My insurance, my insurance!とうわごとのように繰り返していました。そして請求書をみたとたん、"Oh My GOD!!"を連呼。アメリカでは救急車を呼ぶと、20万円はかかるのだとか。金持ちかよっぽど死にかけた時でないと乗れないらしい。タダで救急車にのれた!と仲間たちに請求書見せて感激していたのでした。(オイ・・・、タクシー代かえせよ。)

まあ、バス1台におさまりきれない50名をこえると、90も100ももう一緒のような感じです。逆に30名くらいの団体だと、人数確認もなんとスイスイいくことか、らくらくに感じるように。

いろんなガイドさんやリーダーさんのガイディングに同乗させてもらう機会も多いのです(海外からリーダーが付いてくる場合もあり)が、すごーくいいリーダーさんは、バシっと、低く太い声で伝えています。日本のバスガイドさんってお上品にちょっと高めの声で話されますが、アメリカ人にはそれは通じないし、聞いてもらえません。ずーんと、どっしり響く感じの音域が伝わるのだな、と思います。

●低めの音域ではなす。
●なるべく短いセンテンスで。Hey guys! Listen! くらいのノリで。(Please could you~? なんて、丁寧にソフトにやってると聞いてもらえない。)
●結論、言いたいことの要点から言う。理由や修飾語はあと。最後に要点だけ繰り返してしめる。

あ、これは、もちろん、客層や国籍によっても使う単語やイントネーションは変えます。

お客さんからは、You are like herding cats (まるで猫の群れを遊牧してるようだね!)と、からかわれます(羊は言うこと聞くけど猫は群れない笑)。

もしかして、ちょっとやってみたくなりましたか?

団体行動苦手だし、自分からはツアー申し込まないけど、なかなか面白いですよ。人間味があって。

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