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ツアーのタイプと通訳ガイドの仕事のいろいろ

個人客向けのガイドか、団体向けのガイドか

通訳ガイドライセンスをとったのが2015年。旅行会社を退職して、自分でフリーランスでガイドを始めたのが2017年春。泊りがけのアレンジも増えてきたので2019年3月には旅行業登録しました。

初めてのお客さんは、なんと、お茶のバイヤーさんでした。プロフィールに、日本茶の輸出振興の仕事をしていたことがあるというのを読んで、その後もバイヤーさんからの依頼が続きました。バイヤーさんのお茶に対する知識が深ければ深いほど、茶商も本気でテイスティングに付き合います。話もどんどんディープになり、このやりとりがめちゃくちゃ面白い!いつのまにか同時通訳で数時間喋り続け、のどがカラカラになることも。

現在は、発酵合宿講座を日本人にやっていることもあり、発酵食の依頼や、お酒、醤油、薬草など、いろんなテーマの依頼をいただきます。お茶のツアーといっても、写真愛好家が茶畑での撮影スポットを探されていたり、茶道を学ばれていたり、医者だったり、お茶を求める理由も様々です。

これらは、SIT(Special Interest Tour)と業界では呼ばれている分野です。建築家のツアー、仏教美術、庭園、ヴィーガンなど、特定のテーマでの旅をカスタマイズ依頼を出してこられるお客さんのFIT(Free Individual Tour)のこと。特殊分野での知識はもちろん、きめ細やかで柔軟な現場対応が求められます。

一方で、スルーガイドと呼ばれる分野は、東京〜金沢〜高山〜白川郷〜京都〜宮島〜大阪(金沢の代わりに鎌倉〜箱根も人気)といった、日本横断のゴールデンコースを回る団体向けのロングツアーは、広くまんべんなく各地の情報を仕入れておかなければなりません。バスで回るのか、公共交通なのか、お客さんの人数、宿のレベルなどでも客層が変わってきます。

お客さん8名のツアーから90名の超団体ツアーまで受けているのですが、団体向けが得意なガイドと、個人向けが得意なガイドに分かれるんじゃないかなと思います。100名近い人数だと、2名のガイドで対応するのですが、もはや、小部隊の隊長です。びしっと指令を出せる人向けではないでしょうか。

FITからはじめてスルーガイド、通訳に近いイベントのコーディネート兼通訳をやったり、依頼内容は多岐に渡っていますが、いい仕事できたなーと思うのはやっぱり自分的にはFITなのだなと思います。

旅の先にあるもの

わたしはやっぱりSpecial Interestが好きです。SITのお客さんは、旅に目的のある人が多く、刺激的です。

できるだけ多くの醤油蔵を訪ねたいというオーストラリアの醤油マニア。日本の薬草文化を歴史から栽培までの過程を知りたいというアメリカの生薬メーカーのオーナーさん。日本の着物産業とテキスタイルデザインが学びたいというオーストラリアのテキスタイル作家集団。発酵食を作れるようになりたいというマレーシアの料理研究家たちの集団。

旅を通じてどうなりたいか、何を知りたいのか、達成目標をもって来られるお客さんが多いのです。それぞれ経歴も面白く、彼らの専門分野が、日本の受入先の農家さんや作家さんへの刺激にもなったりします。次は、どんな出会いがあるのか。旅の先にある深いところにある交流にわくわくします。

実際どうなの?

実際のところ、収入になるのは団体の方です。個人の要望ごとに対応していると事前準備に時間がかかるわりに、依頼者が個人、2、3人のことが多いので、それほどの収入になるわけではありません。特殊ツアーは楽しいのだけど、5〜6件のコーディネート依頼を同時にさばきつつ、予約するんかわからん問い合わせにも答え、入金、会計処理し、ガイドもしつつだと、けーーっっこう疲れますよ。一方で団体は一本の契約で一気に収入はいる点では楽です。ストレスフリーに働けるバランスを自分で探すしかないのでしょうね。きっと。

中華系スノー需要が続いた1~2月。1~2週間のロングターが続いた3~4月。そして5月は、お茶、発酵、お茶と、特殊なオーダーメイドツアーのアレンジが続く。月ごとに変わる客層と依頼。毎日が勉強。毎日が新鮮です。

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