見出し画像

全国水族館の旅⑪海遊館

世界最大クラスの水族館! ということで、今回の記事はとってもボリュームが大きいです。

水族館にはそれぞれ良さがあり、そこには1番も2番もないと考えております。しかし、水族館好き仲間と飲みに行くと、よく「日本でNo.1の水族館は?」という話に発展します。
そんなとき、必ずと言っていいほど海遊館は最強の水族館の候補にあがります。それほどまでに、水族館ファンの支持がとても高い施設なのです。本日がワモンアザラシのミゾレの最終展示日ということもあり、無性に海遊館について書いてみたい心地になりました。


アジア最強の水族館は大阪にあった!

全国、全世界の人々が訪れる大阪の巨大水族館「海遊館」。なんと旅行者の口コミのランキングでアジアNo.1の水族館に認定されたこともあります! 
屋内水槽の延床面積では日本最大レベル、全体的な規模でも世界トップクラスを誇っており、海遊館は1990年の開館以来ずっと最強の水族館候補であり続けています。それほどの水族展示施設ですので、今回の記事は過去最大の文章量になります。

最寄り駅はOsaka Metro中央線の大阪港駅。大阪市港区の端であり、海遊館は海の側にあります。

海遊館は巨大水槽に大型生物をたくさん飼育している超大型水族館。施設のスペックだけでも最強クラスであるうえに、アクセスがとても良好です。徒歩移動も含めて、大阪の中心地・梅田から30~40分ほどで着くことができます。

大阪港駅に着いたら、巨大な観覧車の方へまっすぐ進みます。目指す海遊館は大阪湾の側に立っています。

駅から歩いて来るときの目印となる天保山大観覧車。高さ112.5 mもあるので、天気が良ければ上方から明石海峡大橋が見えます。
観覧車の近くにある大型商業施設「天保山マーケットプレイス」。たくさんのオシャレな店が入っているうえに、フードコートやミニ動物園もあります。
さらに海の方へ進めば、いよいよ海遊館に到着。世界レベルの巨大水族館を楽しみましょう!

全てが超圧倒的! 世界最大級の迫力と学術性!!

豊富な展示生物とムードあふれる空気感

入った直後から、来館者は壮大な海の雰囲気に包まれます。トンネル型水槽アクアゲートを通ると、地球の中へと潜っていくような心地になります。これからものすごく広い海洋への冒険に出るんだという高揚感、不思議な空間へ誘われるワクワク感で胸がいっぱいになります。

地球の壮大な水の世界への導入。胸がドキドキワクワクしてきます!
アクアゲートを通り、水の世界の深奥へ。やっぱりトンネル型水槽は雰囲気でますね。
アクアゲートの魚たち。神秘の海へ誘われているかのようですね。

アクアゲートを抜けると、来館者は長大なエスカレーターを上がって海遊館の最上階に辿り着きます。そこから、施設を下方向に移動しながら数多くの生き物たちと出会うことになります。最初に出迎えてくれるのは、淡水の生き物たちです。

最上階は山林の淡水ゾーン。ガラス張りの天井から陽光が降り注いでくるので明るいです。
このエリアのアイドルはコツメカワウソたち。泳いでる姿もいいけど、眠っている姿も最高ですね!

ここからは、傾斜の緩いスロープを下りながらゆったりと進んでいきます。壁一面の水槽を眺めながら、サービス精神旺盛な生き物たちとの一時を楽しみましょう。

アリューシャン列島水槽で展示されている海鳥エトピリカ。人懐っこく、来館者の手前まで来てくれます。
水面下の足の動きが見れるのは、とても嬉しいです。エトピリカと目が合って、来館者の子供たちも嬉しそうでした。

本館の展示は、世界各地の水域環境が再現されています。このフロアの水槽は多くが縦長の構造をしており、この階ではちょうど水上での生き物たちの様子を観察できます。
また、水槽の最上部ですので、飼育員さんがよくやって来られます。運が良ければ、生き物たちへの給餌シーンが見られます。

エクアドル熱帯雨林水槽。他の階に通じていない、このフロアだけの水槽です。何やらオオヨコクビガメは落ち着かない様子。と、思いきや……。
飼育員さんが来たので餌をねだり始めました。この階では、ペンギンやエトピリカの給餌も見れることがあります。
こちらはパナマ湾水槽。陸地エリアが広いです。木登りの得意なアカハナグマが展示されています。

ペンギン、イルカ、アシカ、アザラシの水槽は大人気で人だかりができやすいです。でも、ご安心ください。水槽は下層階にも通じており、そこでは水中での生き物の活動を観察できます。つまり、ここで人混みに揉まれてよく見えなくても、多くの生き物とは下層階で再会できるのです。施設の巨大さを活かした素晴らしい工夫ですね。

南極大陸水槽。多種のペンギンたちが立ち並んでいて、とても癒されます。
先述の通り、この水槽の深部は下層階で見ることができます。水の中を飛ぶペンギンたちが見られる可能性は高いです。

この時点で展示はまだ序盤であり、海遊館の旅はさらに長く続きます。いよいよ、世界規模の巨大展示空間へと飛び込むときが来ました。

世界スケールの超巨大水槽! 光と水の大洋でジンベエザメが舞う!!

さらにスロープを下ると、いきなり広大な世界が開けます。高さ9 m、最大幅34 m、水量5400 tにも及ぶ太平洋水槽です。来館者は3階層それぞれの高さにおいて、全方位から水槽内を観察することができ、その圧倒的スケールに感嘆するのです。

上層階から見た太平洋水槽。全方向から生き物たちを観察できます。悠然と泳ぐ巨大なジンベエザメには、誰もが目を奪われています。

太平洋水槽の主役となるのは2匹のジンベエザメ。人々はカメラやスマホを携え、全長5 mクラスの巨大魚が通る瞬間をじっと待ち構えています。もちろん、他の生物もとても魅力的で、かっこいいサメやエイは見ごたえ抜群です。

こちらは真ん中の階層から撮った太平洋水槽。差し込む優しい光を浴びながら泳ぐ巨大魚、幻想的すぎます。
筆者のお気に入り、イトマキエイ。ダイナミックに泳ぐので、本種には大きな水槽がマッチしていると思います。

ここから館内の回廊は、両サイドの壁面が水槽の窓となります。つまり、どこを向いても生き物たちが見えるのです。どこまでも豪華でパワフルな水族館だと改めて感じられますね。

壁面全て水槽。この空間が果てしなく続きます。やっぱり海遊館すごすぎます。
静かに泳ぐマンボウ。海遊館の雰囲気と相まって、とてもミステリアスに見えます。
水槽内を泳ぐイワシ類の群れ。無数の銀色の光が同じ方向へ流れていく様は、まさに壮観。

先に述べましたように、本館の水槽は縦長の構造が多く、上層階で観察した生き物たちと下の階で再び会うことができます。水中で本領発揮する海洋生物たちの舞には、優美の極みです。

水面から勢いよくダイブするカマイルカ。こういったシーンを下から撮れるのが海遊館の強み!
水中でアクロバティックに躍動する姿にうっとり。本当に素晴らしい展示スタイルです。
旋回や宙返りを器用にこなすカリフォルニアアシカ。
カリフォルニアアシカに見とれていると、突然ゴマフアザラシが現出! アシカと違って、弾丸のように直線的に泳ぐので何の前触れもなく眼前に現れます(笑)。
ペンギンたちの遊泳も精悍でした。可愛いというより、力強くてかっこいい。彼らは水の中を飛んでいるのです。

豪華なスターたちのオンパレード。アジア最強の水族館の追撃はまだまだ止まらず、個性豊かな深海生物たちもたくさん見せてくれます。特にゾウギンザメが可愛すぎです!

筆者の激推しの深海魚ゾウギンザメ。お顔も泳ぎ方も可愛いです。
タカアシガニとキンメダイのツーショット。知名度抜群の深海生物たちですね。

展示は約半分といったところでしょうか。楽しい時間はまだまだ続きます。
少し歩き疲れてきましたら、館内のカフェで休憩しましょう。大阪湾や店内水槽を眺めながらリラックスして、後半戦もフルパワーで楽しみましょう。

太平洋水槽の回廊の途中にあるcafe R.O.F。ここではジンベエザメソフトやチンアナゴドッグが食べられます。内装のジンベエザメのトリックアートが印象的です。
カフェの方からも深海生物の水槽を観察できます。水を見ていると心が落ち着きますね。

上記のように海遊館は全てが圧倒的であり、総合的な展示スケールでは世界の大型水族館とも渡り合える横綱クラスの展示施設です。迫力も雰囲気も超絶すごいレベルですので、多数のリピーターを生み出し、世界中の人々から指示されているのも納得です。

下層階から撮った太平洋水槽。南洋の海の底にいるような心地になります。実際に自分の目で見ると、もっと大スケールに感じられます。

エスカレーターに乗って太平洋水槽の回廊から出ると、宇宙空間のような別世界に突入します。そこはすでにクラゲたちの小宇宙です。
展示エリアの名は「海月銀河」。色も形も様々なクラゲの群れが、来館者を静謐な非日常へ連れていってくれます。

水槽いっぱいに乱舞するミズクラゲ。左右には鏡面があり、クラゲたちが無数に飛び交う星に見えます。
長大な触手を伸ばすパシフィックシーネットル。癒しと妖しさを併せ持つのがクラゲの魅力ですね。
水槽は丸みのあるタイプが多く、クラゲたちはとても泳ぎやすそうに見えます。また、多方向から生き物を観察できるので、来館者にとってもリーズナブルな形状ですね。。

大阪にとって永遠のアイドル! ありがとうミゾレ

海遊館のアイドルとして愛されるワモンアザラシのミゾレ。この記事が投稿される日に、本館での彼の展示は終了します。
ミゾレは海遊館にて誕生したオスの個体であり、日本で初めての完全人工哺育で育ったワモンアザラシです。大切に飼育されている様子がネット配信で注目を集め、今やミゾレは日本中のアイドルとなっています。

そして、2023年11月末。
ミゾレは北海道のおたる水族館にお引っ越しすることになります。今後も持続的にワモンアザラシを飼育展示するために、海遊館とおたる水族館は力を合わせて繁殖に取り組んで行くのです。
百も承知とはいえ、ミゾレが海遊館から旅立つのは寂しいというのが本音。大阪の人々と同じように、筆者もミゾレを愛しているので、なんとか11月のうちに時間を作って会いに行きました。

不思議な氷の回廊を抜けて北極圏エリアへ。ワモンアザラシなどの北海の生命が展示されています。

北極圏エリアへ移動し、天井を見上げると……いました! みんなの天使、ワモンアザラシのミゾレ!!

みんな大好きワモンアザラシ! お腹にハート模様があるので、きっとミゾレだと思います。
北極圏エリアは上下フロアに分かれており、下層階の窓からもワモンアザラシを観察できます。海遊館では見納めなので、とにかくミゾレをたくさん見ました!
上階のフロアにて撮影。この個体はユキでしょうか。水面立ちポーズのまま、ずっとくつろいでいました(笑)。

北極圏エリアの水槽では、ワモンアザラシ以外にも多くの北方の海洋生物を見ることができます。冷たい水の世界の環境にも、生命は見事に適応しているのです。

フォーラインスネークブレニー。北極海やベーリング海に生息する底生魚です。
アークティックチャー。サケの仲間で、産卵期に海から川へ遡上してくる個体と、一生淡水で暮らす個体の両方が存在します。
海遊館スタッフの北極圏での研究調査の記録。現地自然が感じられるキャプション展示、とても興味深いです。
イッカクの実物大模型。ユニコーンの角のように長くなった歯が特異ですが、こう見えてイルカと同じハクジラ類の仲間です。詳細な生態のキャプションで解説してくれています。

海遊館を訪れる人々のミゾレへの想いは、とても強いです。ミゾレに贈られた付箋のメッセージは数えきれないほど多いです。これまでミゾレがたくさんの人々に愛され、ミゾレもまたたくさんの人々に元気を与えていたということがわかります。

数えきれないほどたくさんのミゾレへのメッセージ。おたる博物館に行っても、きっと超人気者になることでしょう。
オリジナルのメッセージカードやイラストもたくさんありました。みんなのミゾレ愛が爆発しています。

海遊館が伝える地球と生命の「つながり」

海遊館は展示のすごさが強調されますが、教育面・学術面でも屈指のクオリティを誇っています。地球環境や生き物に起こっている危機、私たちにできる活動についても、しっかりと伝えてくれています。

海遊館の研究施設にやってきたジンベエザメの野生個体が、突然死亡しました。原因はプラスチックのゴミを食べたことです。人間が捨てたプラチックは水の循環と共に移動し、生物の体内に入る危険性があります。
死亡したジンベエザメの体内からは、髪を梳かすクシの一部が出てきました。たった1個のクシでも、自然環境の中に捨てたりしたら、それが生き物の命を奪うことにつながりかねないのです。
我々にできる対策や他の環境問題についても、わかりやすいパネルで解説してくれています。とても重要なトピックですので、ぜひ多くの人々にしっかり見ていただきたいです。

続いて、フォークランド諸島の展示ゾーンに移行します。ここでの主役はミナミイワトビペンギンです。雛も順調に育っているようで、これからもきっと元気な子がたくさん生まれてくるでしょう。
お隣のモルディブ水槽は工事に取りかかるようですが、ずっと展示されていたイヌザメの卵がついに孵化したようです。誠に喜ばしいですね。

フォークランド諸島の展示エリアのミナミイワトビペンギンたち。独特な顔つきがかっこいいです。
個人的に好きなペンギンです。鳴いたり羽をばたつかせたり、動きが全て可愛いです。
モルディブ水槽の手前にて展示されていたイヌザメの卵。先日、ついに孵化したようです。本写真は11月上旬に撮ったものですが、この時点でも動いているのがよくわかりました。

ここからは、特殊な展示で生き物たちの不思議を学ぶコーナーとなっています。大がかりな装置もあれば、手作り要素が入った味わい深いキャプション展示もあります。楽しみながら遊び感覚で、生き物たちの知識をしっかりつけることができる構成となっています。

ローラーを手で回して答えを探る展示。頭と体を使って学ぶから、吸収も早くなると思います。
水槽だけでなく、食器も展示の構成要素です。「食べる・食べられる」という普遍的ながらも奥深いテーマを食卓から問いかけています。
ペンギンの羽の秘密についての展示。パネルに紙が貼られたハンドメイド感あふれるキャプションは、とても暖かく感じられます。

筆者の記事で海遊館のレポートしたものの、やはり一度実際に来館していただければ、本館が世界レベルの超絶すごい水族館だという事実に納得していただけると思います。ぜひ、超弩級の水の世界をその身で体感してください。

長い水族展示の旅を終えると、最後に海遊館から来館者へ大切なメッセージが送られます。「すべてのものはつながっている」とは、開館以来ずっと海遊館が掲げ続けている言葉です。それは地球環境を考えるうえでの重要な大原則なのかもしれません。

海遊館から来館者に当てたメッセージ。
開館当初から、ずっと海遊館が発信している言葉。地球と全ての生命に当てはまる壮大な真理だと思います。
観覧は終わりましたが、出口付近でメガロドンの模型を見て、再びテンションが上がりました(笑)。

海遊館 総合レビュー

所在地:大阪府大阪市港区海岸通1-1-10

強み:世界最大クラスの展示規模を誇る超大型水槽と多種の生体展示、ジンベエザメをはじめとしたスター性の高い数々の大型水棲生物、上下階それぞれから水槽を覗くことができる大型施設ならではのダイナミック展示設計、環境保全に関する教育性・学術性の高い展示キャプション

アクセス面:海遊館は港区にありますので、大阪市内の繁華街(梅田・難波・天王寺など)から電車で容易にアクセスできます。おまけに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも近いです! 水族展示が最強なだけでなく、アクセス面も最高に良好と言えます。

水族展示の迫力・学術性の高さ・アクセスの良さの全てにおいて最強クラスですので、海遊館は全国の水族館ファンからとても愛されています。本館の圧倒的スケールには誰もが感動すること必至であり、何度でも来館したくなる魅力的な水族館です。広大な太平洋水槽の中で悠然と舞うジンベエザメの姿には、子供も大人も興奮しっぱなしです。
そのうえ、海外からの人気もかなり高く、海遊館は外国人観光客が大阪で行ってみたいスポットに必ずあげられます。世界から認められるほどの水族館であり、まさに最強クラス! これからも海遊館のインバウンド需要は高まっていくと考えられます。
また、商業施設のマーケットプレイスも含めて、夜の20時まで営業していることはかなりの強みだと思います。大阪湾の周遊クルーズ船や巨大観覧車を楽しんだ後、ムーディーな夜の水族館を味わうという選択ができますので、旅行客は海遊館と周辺施設で丸1日満喫することが可能なのです。

なお、この記事を投稿する頃には、ワモンアザラシのミゾレの展示に幕が下りているはずです。大阪の人々から、そして全国の水族館ファンから愛された天使は、いよいよ北の大地に旅立ちます。もちろん筆者は小樽でミゾレに会いたいと思っていますし、感謝の念と共に海遊館にもこれからたくさん足を運びます。

最後に一言。
海遊館、最高すぎです!!

展示施設も大規模なら、ミュージアムショップもとっても広いです。お土産はもちろん、可愛い生き物たちのぬいぐるみもゲットしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?