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全国水族館の旅①越前松島水族館

筆者は全国の自然博物館巡礼の旅をシリーズ化して書いていますが、実は同じくらい水族館もたくさん訪れています。全国各地の水族館の個性と魅力を記事でお伝えできればと思います。


日本海に面した個性豊かな水族館

旅行で福井県に行くなら、多くの人にとって恐竜博物館や東尋坊が鉄板だと思います。でしたら、東尋坊と同じ越前加賀海岸国定公園の内部に位置する越前松島水族館もぜひ訪れていただきたいです。
他の水族館ではなかなか見られない生物や標本が展示されているうえに、生き物と来館者の距離が近いのも魅力です。また、敷地内はとても広く、日本海の潮風を感じながら、各展示棟を探検気分で歩いて回れます。

越前松島水族館が面する日本海。太平洋よりも静かな印象です。豊かな福井の海を感じながら、水族館を思いきり楽しみましょう。

展示施設の向こうから海に出ることができるので、都会の水族館よりも解放的な気分で観覧できると思います。旅程に入れていただければ、東尋坊とセットで福井の日本海側エリアの魅力をたっぷり味わえます。

可愛さと希少性にあふれた生き物たちとの出会い

多数の水族展示と福井県産の貴重な標本

展示の見せ方やキャプションは子供に理解しやすいようになっており、なおかつ生物好きの大人もとっても楽しめる内容です。ペンギンやアザラシなどの定番のスターはもちろん、ユニークな生き物、希少な生き物がたくさん待っています。

入館すると、すぐにマンボウがお出迎え。最初からインパクトが強くてわくわくします。
超可愛いミズダコの赤ちゃん(撮影したのは2023年7月末)。海洋生物を好きにさせる展示が素晴らしい!

筆者のオタク魂が燃えたのは、「おさかな館」にある深海生物の標本でした。ダイオウイカやリュウグウノツカイだけでも大満足なのに、テングノタチまで見られるとは幸福の極みです(笑)。

ダイオウイカの液浸標本。触手を除いても、人間の大人より大きいです。福井県の海岸には、これまでダイオウイカの漂着が何度かあったようです。
福井の海で発見された深海魚たち。何らかの事情で浅い海まで上がってきたと思われます。テングノタチ(上段)の標本は、リュウグウノツカイ(下段、中央段)より珍しいと言われています。

本館の展示施設は複数の建物から構成されており、屋外を移動して観覧することになります。通常の水族館とは違って、特に順路は決まっておらず、来館者の好きな順番で、かつマイペースでゆったりと展示を見て回れます。
「ぺんぎんらんど」のペンギンたちには敷地内のお散歩タイムがあるので、可愛いペンギンの行進を間近で見られるかもしれません。

屋外エリアを移動している最中も、独特の展示で楽しませてくれます。頭上を仰ぐと、空中ハート型水槽を泳ぐフンボルトペンギンと出会えるかも? 午後3時以降は清掃のため水が抜かれてしまうようなので、空を泳ぐペンギンが見たい方は早めに来館してください。

バラエティ豊かな生き物たちとの楽しいひととき

前述の通り、本館では島のように複数の展示施設が敷地内に点在しており、それぞれの棟ごとに特色があって味わい深いです。中でも、「こんぺいとうハウス」のコンペイトウが可愛くてツボでした!

ちっちゃくて丸くて可愛いコンペイトウ。日本海の深海魚です。お腹に吸盤があって、貝殻やガラスにピタッと貼りついています。

可愛い生き物が見たいなら。「かめ・かえる館」も必見です。愛らしいフォルムの爬虫類や両生類に萌えること間違いなしです(笑)。特定の生き物には餌やり体験もできるので、さらに彼らの魅力を感じられることでしょう。
特筆すべきは、世にも珍しい黄金のカエル! 種類はまだわかっていないらしく、とてもミステリアスで神々しく感じられますね。

「かめ・かえる館」に展示されている黄金のカエル(種不明)。遺伝的な色素異常により、このような体色になってしまったようです。これほど鮮やかだとかなり目立つため、自然界では天敵から逃れられる可能性は低いでしょう。
ジーベンロックナガクビガメ。その名の通り、長い首が特徴です。他にも、可愛い爬虫類・両生類たちがたくさんいます!

大きな水槽を有する「海洋館」では、魚たちへの餌やり体験や、天面ガラス張りの水槽の上での撮影など、お楽しみが盛りだくさん。時期によっては「海洋館」でのお泊まりもできるそうです。来館者をわくわくどきどきさせる取り組みが多くて魅力的ですね。

「海洋館」の水槽。サメやエイなど大型の魚たちが生き生きとしていて、海の中の環境をイメージできます。

越前松島水族館 総合レビュー

所在地:福井県坂井市三国町崎74-2-3

強み:各棟ごとに工夫された展示の見せ方、黄金のカエルや深海魚などの魅力的で貴重な生体や標本の数々、生物たちと触れ合える楽しさ重視の展示、屋外を移動しながら観覧する解放的な施設設計

アクセス面:東尋坊へ素早くハシゴしたい人は、自家用車もしくはレンタカー推奨! JR芦原温泉駅、えちぜん鉄道あわら湯のまち駅から水族館行きのバスが出ているので、地方の景観をゆっくり見て満喫したい場合は公共交通機関で向かいましょう。

展示を見るだけでなく、生き物と様々な体験ができる水族館です。特に子供たちには、生物たちとの触れ合いが記憶に残る貴重な思い出となるのではないでしょうか。総合的に展示生物数が多く、魚好きの人はもちろん、爬虫類好き・両生類好きの人も存分に楽しめると思います。福井県の海から得られた貴重な標本も見どころです。
館内にはレストランもあるので、ランチタイムを挟みつつ、じっくりと学んで楽しむことができます。ですので、なるべく2〜3時間ほどの滞在を見込んでスケジューリングしていただきたいと思います。きっと東尋坊と並ぶほどに、かけがえのない福井旅行のメモリアルになることでしょう。

車を使えば、水族館から東尋坊まで10分程度で着きます。どちらも楽しんで、とことん福井県を味わい尽くしましょう。

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