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全国水族館の旅㉑道の駅みなかみ水紀行館

ウィンタースポーツシーズン到来!
様々な雪山に多くの人が向かうと思います。特に東京の方々は、水上高原のスキー場に行かれることも多いのではないでしょうか。
マイカーやレンタカーでスキー旅に向かう最中、道の駅でホッと一息つくのもいいですね。今回は、道の駅に築かれた趣深い水族館をご紹介します。


食事も買い物も自然学習もできる道の駅

水族館施設は、道の駅みなかみ水紀行館の中に設けられています。JR上毛高原駅にて谷川岳ロープウェイ行きのバスに乗れば、15分ほどで最寄りのバス停に到着します。東京方面の方は、マイカーで東北道を走ってくるのも大いにありです。

JR上毛高原駅にやって参りました。駅構内には、森林保護活動のパネル展示がありました。動植物の保全が学べて、とても勉強になりました。
おいしいお土産が買える駅前施設「みなかみ町観光センター」。すぐ隣にレンタカー屋さんがあります。
レンタカーが使えない状況でも、路線バスに乗れば15分ほどで道の駅みなかみに着きます。ただ、写真のようにロープウェイが運休している日もありますので、スキーに行かれる方は事前に確認しておきましょう

車を使えば、道の駅まではすぐに着きます。ただ、冬期は積雪やアイスバーンなど路面コンディションの悪化が懸念されますので、万全な装備のもと注意して運転しましょう。

筆者が道の駅に到着したとき、時刻はちょうどお昼時。道の駅と言えば地元フードですので、まずは腹ごしらえすることにしました(笑)。

道の駅みなかみ水紀行館に到着。水族館は施設中央部に位置しています。
道の駅の中にあるレストラン。ご当地ゆかりのメニューが多くて、どれも気になります。
キノコたっぷり、もつ煮定食。超おいしかったです!

おいしいご飯を味わったら、次は学習の時間。いよいよ水族館へ突撃です。
観光案内コーナー側の入口から道の駅に入り、左に進むと水産学習館の受付カウンターがあります。道の駅の中での自然学習、とってもワクワクしますね。

観光案内コーナーの入口。この奥に水族館の受付があります。
水紀行館の水族展示施設「水産学習館」。道の駅の水族館には、どのような空間が広がっているのでしょうか。

水の故郷で出会う利根川水系の淡水魚たち

道の駅の中に広がる「小さな渓流」

本館は奥行きがあり、複数の大型水槽がエリア内に配されています。その特殊な展示が相まって醸し出す雰囲気は、とても清らかで爽快に感じられます。
なお、本館のマスコットキャラクターは「坂東太郎くん」。その名前は、利根川の愛称が由来となっています。

入館直後、ジオラマ風の展示水槽が目に飛び込んできます。利根川の一部を切り取ったようですね。
小型魚類の展示水槽がいっぱい! きれいで可愛い淡水魚を存分に愛でてください(笑)。
本館マスコットキャラクター「坂東太郎くん」。利根川で遊ぶ元気な魚好き少年、と言ったところでしょうか。

利根川の名は有名ですので、日本全国の誰もがご存じだと思います。群馬県と新潟県の境にある大水上山を水源とし、関東平野を流れ、太平洋へと注ぐ日本屈指の巨大河川です。
これだけ大きな川となると、もちろん生き物がたくさん棲んでいます。本館の展示にて、利根川の清流に息づく生命を学びましょう。
まずは、可愛い小型魚類たちの展示水槽です。

ヤリタナゴ。水族館好きにはタナゴ類の愛好家も多いのではないでしょうか。
外来種のタイリクバラタナゴ。繁殖期になると、オスの体には鮮やかな婚姻色が出ます。
モツゴ。全国各地の川や湖で普通に見られる淡水魚です。

本館の目玉の1つが、ジオラマ風の「渓流水槽」。その名の通り、河川環境の一部をイメージした外観になったおり、来館者は視覚的に楽しむことができます。水槽の中の清流を泳ぐ魚たちの美しさに酔いそうです。

渓流水槽は横に長いので、とても見ごたえがあります。
ベステルチョウザメ、かっこいい! 渓流水槽で飼育されていますが、利根川には棲んでいません。
ニゴイ。頭がキツネのように細いので、他の魚と区別できます。
きれいでおいしそうなニジマスたち。日本の魚だと思われがちですが、実は1877年頃にアメリカからやってきた移入魚です。
イワナ。日本人にとって馴染みの淡水魚ですね。ちなみにサケの仲間です。

映像展示「マジックビジョンシアター」では、坂東太郎くんが活躍します。来館者はボタンを押して3つのストーリーを選ぶことができ、それに合わせて画面上で利根川水系についての物語が展開します。
坂東太郎くんや様々な種類の淡水魚がCGで投影され、アニメを見るようにして楽しみながら学べます。淡水域の自然環境、利根川水系に棲む淡水魚についての理解が一気に深まります。

マジックビジョンシアター。岸辺には坂東太郎くん、川の中には淡水魚、右上には魚の紹介パネルが投影されています。
CG映像のアユ。リアルな動きがかっこいいです。
坂東太郎くん、お昼寝しちゃった? それでも淡水魚の解説ボイスはしっかり流れています(笑)。

利根川水系が危ない? 淡水環境の現状を知ろう

渓流水槽と並ぶ本館の大物展示が、トンネル型の大型水槽です。トンネル内を舞うのは、大きなコイやソウギョたち。
静かで麗しい水の世界での一時。トンネル水槽に入ると、心がとても落ち着きますね。

トンネル水槽。中に入ると、水の流れを四方から感じられます。
水槽内を舞うコイやソウギョ。泳ぐスピードがゆっくりなので、こちらもとてもリラックスできます。
アルビノの個体は、とってもきれいです。瞳孔が赤っぽく見えるのは、毛細血管の透過によるものです。

トンネルを抜けたら、根川水系で起こっている生態系の問題について学びましょう。大型パネルによる解説はとてもわかりやすく、子供も大人もスムーズに理解できると思います。

坂東太郎くんによる淡水の自然環境についての解説。ハンドメイド感あふれる暖かい展示です。
奥利根湖で問題となっている外来種コクチバスに関する解説。在来種を守るために駆除しなくてはなりませんが、コチクバスに罪はなく、そもそもの原因は私たち人間なのです
アユの生態の解説パネル。写真も文字も大きくてわかりやすいです。本と違って、パネル展示は視覚的に見せる工夫が大切なのです。

利根川水系や日本全体の淡水環境の現状を学んだら、水族展示を見る視点が変化すると思います。美しい水の世界と淡水生物を守るためにどうすればよいのか、大人も子供も一緒になって考えなくてはならないと思います。

かっこいいレッドテールキャット。凛々しいアマゾンのナマズですが、勝手な人間による放流が問題となっています。在来種だけでなく、外来種も被害者なのです。
複数の水槽にて、メダカ類が展示されています。かつてメダカは日本各地の水域に棲んでいましたが、今ではどんどん生息地がなくなり、絶滅が懸念されています。
肉食性の底生魚ギバチ。本種も絶滅危惧種に指定されています。
河川や湖沼で見られるクサガメ。水棲爬虫類にとって棲みよい環境を守るために、陸域と水域の総合的な環境保全が重要となってきます。

道の駅みなかみ水紀行館 総合レビュー

所在地:群馬県利根郡みなかみ町湯原1681-1

強み:ジオラマ風水槽・トンネル水槽などの視覚的に楽しめる展示空間、環境保全の意識向上につながる身近な淡水生物たちの展示、併設店舗と合わせて心地よく過ごせる施設の利便性

アクセス面:道の駅は国道291号線の道路に面しているので、マイカーもしくはレンタカーがオススメです。関東地方にお住まいの人は車で十分来られる距離だと思いますが、冬期に来館する場合、必ずスタッドレスタイヤ(場合によってはチェーン)を装着してください。なお、最寄り駅のJR上毛高原駅から公共交通機関を使って来館するのも大いにありです。その場合、関越交通の谷川岳ロープウェイ行きのバスに乗って「小学校下」にて降車しましょう。ただし、時期によってバスの便数が変動するため、事前の確認は必須です

利根川水系に生きる淡水生物たちについて、楽しくわかりやすく学ぶことのできる水族展示施設です。渓流水槽やトンネル水槽といった臨場感のある水槽は、本館ならではの売りだと思います。本館独自のキャラクター「坂東太郎くん」を活用することにより、環境保全に関するキャプションの解説文も親しみやすいものとなっています。
個人的に素晴らしいと思ったのが、CGアニメ手法を取り入れたマジックビジョンシアターです。キャプションを読む能動的な学習の前に、まず映像による受動的な学習から入るスタイルが合っている子もいます。坂東太郎くんというキャラクターと一緒に淡水環境を学べる点も、子供たちには楽しく感じられると思います。
本館は道の駅の中にある水族館ですので、施設全体の利便性は非常に高いです。水族館の観覧と合わせてお昼ご飯や軽食をとったとしても、(よほど筋金入りの魚マニアでない限り)それほど長時間はかからず、旅程を圧迫しません。ぜひ、水上高原スキー旅行のタイムスケジュールの中に、道の駅みなかみ水紀行館を加えていただきたいと思います。

東京方面からJR上毛高原駅までの移動は上越新幹線がオススメ。駅前でレンタカーを借りれば、スムーズに道の駅までアクセスできるでしょう。

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