遠方からようこそ。

一番遠いものから手に入る。それは私自身が今まで生きてきて紛れもない事実だと思っている。大人になり初めて子供のように遊べるのは逆手順で学んできたからなのだろう。

科学の知識を記憶するのが下手だ。すべてを情動で覚えるから何もかもごっちゃになる。でもたぶん、そこに何かがある。

今さら気づいた冷めたからだを、入れすぎた知識で表現する。
すり傷の痛みを感じながら日が沈むのを拒んでまた動き回る。そんな毎日だ。

「厄介ごとに手を伸ばすと生きた感じがするな」

「それは勘違いだとおもうよ。だって君は生きてるもの」

独り言を言っていると年上のお姉さんに話しかけられた。私とは五歳以上離れていると見える。

「君を見ていると危なっかしくて笑いそうになる。いや、悪いって言ってるわけじゃないんだけどね」

実験器具の買出しで街に来たけれど、一人で運べる量じゃない。彼女に手伝ってもらった。

「外国から来たんだけどいまいち文化が分からなくて」

日本は単純に見えていろんなものが混ざり合っているからだろう。彼女の故郷がどこなのか訊ねた。

「メスリックポルン」

「中東? アフリカ? 聞いたことないわ」

怪しげな笑顔を浮かべた彼女と距離を開ける。

「メスリックポルンっていうのは日本列島にある独立国家だよ」

そう言えばそうだった。九州が独立して独自の文化を形成したのだ。

「いつか来てみてよ。楽しい国だから」

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これは投げ銭用の箱です。刺身食べたい。

寒さから 久方ぶりの スキ求む
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高宮聡

短編小説集

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