見出し画像

2023年10月28日

ここ数日元気がない。
好きなバンドのひとつ、BUCK-TICKの櫻井氏が急逝したために、自分のショックの大きさにもショックを受けている。

私が音楽を聴き始めた10代の始め、黒服という言葉があった。水商売のそれとは異なる意味で使われていたそれは、中世ヨーロッパの服装を真似た格好を指すものだ。

服が黒くて化粧をしていればヴィジュアル系という見立てもあることは承知しているが、そのあたりの音楽を掘り下げた者の言い分としては服が黒くてもヴィジュアル系ではないこともある。音楽はヴィジュアル系でも服が黒くないこともある。イロモノであることもある。

黒服はいつしかコスプレと意訳されたのか、バンドのメンバーの真似をすることがステイタスにもなっていった。
私は自分がその格好をしようとはまる思わず、普通のカジュアルな服を着ていた。竹下通りで黒いドレスを身に纏いながら焼き芋を頬張る同年代の女子を見て、黒服は紅茶とケーキだろうが!と心の中でキレていた。

中学の友人と竹下通りの黒服を売っているお店に行った時、今井寿のコスプレをしたお姉さんと仲良くなって、しばらく文通をした。私と友人は、LUNA SEAのJのコスプレと勘違いして声をかけたのだった。
お姉さんはいつもB-Tのメンバーのイラストつきの手紙をくれた。
しばらくすると彼女は新宿アルタの似たようなお店に移っていて、会いに行ったことも覚えている。デビューしたてのラルクが渋谷でゲリラライブをしたりTシャツを配ったのも同じ頃かもしれない。

私はその頃には洋楽に傾倒し、またメロコアなど男らしい音楽を聴く友人に囲まれ、ヴィジュアル系の話題はなんとなく出さないようにしていた。
(一方で、ヴィジュアル系好きな人たちとバンドを組んだりはしていた)

高校の同級生が、布袋寅泰の書いた音楽の本を貸してくれて、布袋寅泰を好きじゃなくても面白いよと言った。本当に面白かったので、お礼にヴィジュアル系興味なくても聴いた方がいいよとB-Tの「COSMOS」を貸したら、初めて聴いたけどかっこいいねと喜んでくれた。彼は今、ベーシストとして活動しているらしい。

今私が好んで聴くのは主にアメリカのインディーロックである。
そこに至るには、きちんと音楽を好きなヴィジュアル系のアーティストたちが雑誌やラジオで紹介した音楽をコツコツと聴いていた歴史がある。
パンク、ニューウェイヴ、オルタナティヴロック、ノイズ、アバンギャルド。

その意味で、LUNA SEAのSUGIZOには勝手に感謝している。
埼玉の小さな小さな街の図書館でCDを借りて聴いたYMOやビートルズは中学生の私には難解で、レッチリなんだか受け付けず、ニルヴァーナやU2の初期はなんかかっこいいと思った。かたわらで、姉に借りたりレンタルショップで借りたりしてB-Tのアルバムをカセットテープにダビングした。音楽に興味を持つ前まで遡って聴いたのはブルーハーツとB-Tだった。ピンと来たのだ。

B-Tと親交のある音楽評論家の市川哲史氏の文章を読み漁り、ラジオを聴いた。Xのhideや櫻井氏、今井寿が登場したこともあった。ハードロックが苦手でXは聴いたことがないけれどもhideのソロは好きだった。

一度も活動を休止せず(今井氏の逮捕の時を除き…)、現役で進化し続けたバンド。
そういえば今年はB-Tはどんな感じかなと毎年気にかけて新譜を聴いていた。熱心なファンではないかもしれないが、ある程度広く音楽を聴く人あるあるではないだろうか。

昔入れ込んだバンドが今もなお現役であることは珍しい。いつでもいてくれて当然だと思っていた。

これまたほとんど知られてはいないかもしれないが、櫻井氏の兄貴分であったDER ZIBETのISSAYがたった2ヶ月前に亡くなったことも、ショックであった。

昔から男性の容姿に興味が持てない自覚があるのだけれども、キレイな男性もいるものだなと思ったのはISSAY氏が初めてだった。

…話が尽きない。

あっちゃん、どうか安らかに。

明日は黒いワンピースで仕事をするよ。だからなんだって、私にもそれに意味があるのかわからないけど、ただそうしたい気分なんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?