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風景写真の基本パンフォーカスを得るために

風景写真を撮っていると全体にピントを合わせたい場面が多いと思います。
その時は一番遠くの被写体にピントを合わせる人が多いと思うのですが、実はそれは間違いだったりします。
この note ではより広い範囲にピントを合わせる理論と方法を紹介します!

簡単な光学の説明

①ピントが合っている状態

上の図は簡単にピントが合っている状態を示しています。(マクロじゃね?ってことはさておき)この時、被写体(↑)の先端から出た光はレンズを通りセンサーに“点”として結像しています。ピント位置は点線で示した地点です。

②ボケている状態

では次に、ピントが外れている状態を考えます。
ピント位置はそのまま、先ほどよりも被写体が離れた場合、(↑)の先端から出た光はセンサーよりも手前で結像します。その結果センサー上には円錐の断面である(楕)円が映ることになります。これがボケた状態です。この時できている円を錯乱円(CoC)といいます。

では絞った条件ではどうなるのでしょうか?

③絞った状態

上の図は②の状態のまま絞った状態を表しています。この時、結像する位置は一緒(※1)ですが、絞り羽に遮られているためより狭い範囲の光しかセンサーに届きません。結果として光の円錐の頂点の角度が小さくなるためセンサー上の円(錯乱円)についても先ほどよりも小さくなるわけです。これが絞った時にピントが合っている範囲が広がる理由です。

※1 正確にはズレます。気になる方は、Focus shift で検索してみてください。

ピントが合っているとは何なのか

本当にピントが合っているのは①の状態だけですが、実際はもっと広い範囲にピントが合っているように感じます。これは、

必ずしも点で結像していなくても錯乱円を点とみなせる範囲が存在する

からです。このピントが合っているとみなせる最大の錯乱円許容錯乱円といいます。

※許容錯乱円は撮像素子の画素ピッチに依存します。

最も広くピントを合わせる

無限遠に存在する被写体の光が許容錯乱円となる場合を考えます。無限遠ですから入射光は平行であると考えます。錯乱円を小さくするために、レンズを動かして結像している点をセンサーに近づけていくと、錯乱円直径も徐々に小さくなり、上の図の状態で許容錯乱円の直径に等しくなったものとします。

この時、実際のピント位置は上の図ようにはじめよりも奥側に移動します。

実際のピント位置よりも手前側についてもピントが合っていると許容できる範囲(錯乱円直径が許容値となる)点が存在します。この点が被写界深度(DoF)の最も手前のポイントです。

これがもっとっも広い範囲にピントが合っている状態で、この状態にするためのピント位置をHFD (Hyper Focal Distance・過焦点距離) と言います。この時、手前側の被写界深度はピント位置の1/2の距離から始まります。

HFDを求めるアプリは複数公開されていますので、そのアプリに焦点距離・F値・許容錯乱円直径を入力すれば簡単に調べることができます。

簡単にHFDにピントを合わせる方法

HFDを初めて知るとメジャーでピント位置を計ってぴったりHFDにピンを置きたくなります。しかし、これまで説明してきた内容を利用すればとても簡単にHFDにピントを合わせることができちゃうんです!それではやってみましょう!

⓪ライブビューに切り替える
カメラがレフ機の場合はライブビューモードに切り替えてください。

①絞り値を決定する
必要な被写界深度に応じて絞り値を決定してください。

②無限遠を拡大
映っている範囲で最も遠いと思われるポイントを拡大表示します。

③ピントを最短にセット
ピント位置を一度最短にセットします。

④ピントを遠くに送る
最短の位置から徐々にピントを遠方に送っていき拡大しているポイントがボケていないと感じた点で止めます。

上記の作業は初めて無限遠がピントに入った点を探す手順ですので、結果的にHFDを求めているのと同じです。注意としては③のボケていないと感じた点が重要で一度行き過ぎて戻るという操作でピントを完全に合わせると無限遠にピントを合わせた状態となってしまします。ライブビューの拡大率を変更するなどしてちょうどいい塩梅を探してみてください。

まとめ

・ピントが合っているか否かは錯乱円直径で決まる
・絞ると被写界深度は広がる
・被写界深度が最も広くなるピント位置をHFDと言う
・HFDに簡易的にピントをあわせる手法

今回はパンフォーカスを得るために必要なHFDの知識と簡易的にHFDにピントを合わせる方法を紹介しました。しかし、広角レンズで手前に何かポイントを置くハイアングル・ローポジション撮影では1枚では全体を被写界深度内に収めることができない場合もあります。その様な場合はPsが必要となってきますのでその方法についても後日まとめていこうと思います!お楽しみに(^^)/

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