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アウフグースの列にはいつ並べばよいのか?

結論

サウナ室内の定員数をあらかじめ把握しておき、以下の式で計算されたタイミングで列に並ぶことで、アウフグースの開始時間丁度のタイミングでサウナ室内に入ることができる。

W2 = 10 × L2 / L1
W2: 入室までの時間(分)
L1: サウナ室の定員(人)
L2: 行列の人数(人)

例えば、サウナ室の定員 L1 が 10 人だった場合は、W2 = L2 となるので、開始時間までの分数と行列の人数の数が等しい順番で並べば、開始時間丁度にサウナ室内に入室できる。つまり、15 分前だったら 15 人目、5 分前だったら 5 人目になるように並ぶのである。

同様にサウナ室の定員 L2 が 20 人だった場合は、W2 = L2 / 2 となるので、開始時間までの分数と行列の人数の半分が等しい順番で並べば、開始時間丁度にサウナ室内に入室できる。つまり、15 分前だったら 30 人目、5 分前だったら 10 人目になるように並ぶと良い。

以下はその理屈。

アウフグース待機列チキンレース問題

サウナ界における一大イベントにアウフグースがある。アウフグースとは、サウナ室内でタオルなどを使って、一人一人に向けて蒸気を広げるサービスである。アウフグースは「熱波」とも呼ばれ、アウフグースの行為者は「アウフギーサー」や「熱波師」と言われる。有名なアウフギーサーとしては、井上勝正氏(@307inoue)や箸休めサトシ氏(@3104trans)などが挙げられる。

アウフグースを受けるためには、予約ができる場合を別として、基本的には開始時間までにサウナ室内に入って待機しておく必要がある。しかし、アウフグースはおおよそ10分程度行われることに加え、その内容自体が熱い蒸気を浴びるというもののため、あまりにも早くからサウナ室に入っているとアウフグースを十分に受ける前にのぼせてしまい途中退出せざるをえなくなってしまい、十分にアウフグースを楽しめなくなる。一方でギリギリまでサウナ室に入らないでいると、サウナ室が満員になってしまい、アウフグース自体を受けれなくなってしまう。

つまりアウフグースの満足度を最大にするためには、あまりにも早く並ばず、かといって遅くも並ばず、開始時間ギリギリにサウナ室内に入室できることを目指すことになる。このようにアウフグースの待機列はチキンレースであるといえる。我々はこの問題を「アウフグース待機列チキンレース問題」と名付けた。

本研究では、アウフグース待機列にいつから並べばよいのかについて検討する。

リトルの法則の適用

行列の待ち時間を求める待ち行列理論の中で有名なリトルの法則 [1] をアウフグース待機列チキンレース問題に適用する。

リトルの法則とは以下のような法則である。

長時間平均化した顧客数 L は、長時間平均化した到着率λと、長時間平均化した顧客が系に費やす時間 W の積に等しい。
すなわち L=λW が成り立つ。

これを単純にサウナに適用すると以下のような式になる。

L1 = λ×W1
L1: サウナ室内の人数(人)
λ:  入室する人の割合(人/時間)
W1: サウナ室内で過ごす時間(時間)

この式をサウナ室内の人数を行列の人数に置き換えると、サウナ室内で過ごす時間が入室までの待ち時間に変わるので以下の式になる。

L2 = λ×W2
L2: 行列の人数(人)
λ:  入室する人の割合(人/時間)
W2: 入室までの時間(時間)

ここで λ(入室する人の割合)は同じ値なので、2つの式を連立させると入室までの時間 W2 を以下の式で求めることができる。

W2 = W1 × L2 / L1
W2: 入室までの時間(時間)
W1: サウナ室内で過ごす時間(時間)
L1: サウナ室内の人数(人)
L2: 行列の人数(人)

また、経験的にサウナ室内で過ごす時間は凡そ10分と考えられることと、アウフグースの開始時にサウナ室内は満員になることから以下のように言い換えられる。

W2 = 10 × L2 / L1
W2: 入室までの時間(分)
L1: サウナ室の定員(人)
L2: 行列の人数(人)

この式を用いることで、アウフグースが始まる時間丁度にサウナ室内に入室できるタイミングを計算できる。

例えば、サウナ室の定員 L1 が 10 人だった場合は、W2 = L2 となるので、開始時間までの分数と行列の人数の数が等しい順番で並べば、開始時間丁度にサウナ室内に入室できる。つまり、15 分前だったら 15 人目、5 分前だったら 5 人目になるように並ぶのである。

同様にサウナ室の定員 L2 が 20 人だった場合は、W2 = L2 / 2 となるので、開始時間までの分数と行列の人数の半分が等しい順番で並べば、開始時間丁度にサウナ室内に入室できる。つまり、15 分前だったら 30 人目、5 分前だったら 10 人目になるように並ぶと良い。

ただし、実践する場合には入れないリスクを加味して、上記のタイミングよりも早めに並びだしたほうがよいだろう。

参考文献

[1] Little, J. D. C. Operations Research, 9, pp.383-387 (1961).

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