仮想通貨界隈におけるカテゴリー属性とその性質に関する一考察 その2

頭脳明晰なる仮想通貨界隈の諸兄方、お久しぶりです。前回の記事「仮想通貨界隈におけるカテゴリー属性とその性質に関する一考察(2018年2月)」を読み返すと、2018年9月現在の状況とは乖離が生じているため、本稿を以てその続編とし、仮想通貨界隈を再び俯瞰する事にします。


1.序論

前稿における帰結としては、筆者はこの界隈を「仮想通貨界隈とは、オッサンがオッサンのためにオッサンと共に慰めあい、時に醜くケンカし、一部の仮想通貨女子を取り巻きながら、オッサン群像劇を日々繰り返している地獄のような場所である。」と定義している。大局的な見地からするとこの状況から大きく変化していないが、新規参加者の追加による母数の増加に伴い、現在では若干の多様性が見られる。前稿時点からの変化として特徴的な要点は以下のとおりである。

 

   a. 反社会勢力およびそれに準じる勢力の流入

   b. 各通貨コミュニティーの成熟と発展(布教と入信)

   c. FX(主にBTCFX)勢力の跋扈(爆益ウェイ)

   d. 新規養分の増加に伴うアフィ勢の増加と衰退(凍結)

   e. Note発行、有料クローズドスペースによる栄養補給

   f. 空前の訴訟するぞブーム

 

前稿の時点では、主要なカテゴリーとして「暗号技術大好きライトニングおじ」、「技術全く興味ないトレード大好きおじ」、「FIAT大好きアフィリエイター」として分類する事が可能であったが、現在はこれに加えXRPコミュに代表される各通貨コミュ(e.g. BCH, XEM, LISK, MONA, ADK, IXT等)、または特定の通貨と何ら関連性もない魑魅魍魎によるコミュ(e.g. xx教団、xx軍団、オタサー等)の発展により、界隈は極めて複雑怪奇なる様相を呈している。

 

さらにこれらのカテゴリーの相関関係も変化してきている事に着目したい。前稿の時点では、クリプトピア技術至上主義者とファンダメンタルズ至上主義者による論争(*注1)やBTCコア派とBCH派によるサトシナカモト論争(*注2)等、様々な議論が行われており、アフィリエイト勢および新規流入者はこれらの論争の狭間に立ち、それを中和する一定の役割を果たしていた。しかしそれ以降の市場流入者はいわゆる剛力組やローラ組に代表されるようにトレード色が非常に強く、それまで拮抗していた界隈におけるパワーバランスが崩れて来ていると考えられる。この現象は、特に日本における週刊誌やテレビなどのメディアにおいて「仮想通貨は儲かる(*注3)」という煽りで宣伝される傾向が強かったため、新規参加者のインセンティブは圧倒的にFIATの増加であり、もはや界隈でのコモンセンス(共通認識)は「いかにして金(FIAT)を儲けるか」が主流となっていると言っても過言ではない。上述のとおり、特に日本(Japan)においては近時の暴落に伴う新規参加者の低迷もあり、俄然パイの奪い合いのような殺伐とした様相を呈してきており、もはや「養分」という単語を安易に使用する事ができないのが現状である。また、空前の訴訟するぞブーム(およびそれに伴う謝罪ブーム)やガチ反社勢の流入により、「触れない神に祟りなし」の風潮が蔓延し、エアリプ戦争や伏字による抽象的な非難など、界隈の雰囲気は更に陰湿な方向へ向かっている。

注1 BTCコア学派某石氏 vs. 金融界のジョセフ・スターリンこと狂ったロールスロイス氏の論争等
注2 どちらがサトシ・ナカモトの意を継いでいるかをホワイトペーパーから読み解こうとする不毛な論争
注3 格言としては、「寝ているだけで朝起きたらお金が増えている」


2.各論

本項目において、現時点における界隈を構成する主要カテゴリーを改めて分析する。

a. トレーダー勢

序論にて述べたとおり、現在界隈におけるトレーダー勢は最大勢力であり、トレードBotの流行等も現在の趨勢を決める要素となっている。かつては仮想通貨の技術的内容や今後の発展に「投資」するというスタンスは最も好まれる姿勢であったが、現在では「仮想通貨の技術的内容や発展など全く興味がない。単に稼げるからトレードをしています。」という趣旨の発言が公然と行われている。むしろ、中途半端に技術的展望や発展性に触れる事に対して「本当は金儲けしたいくせに何言っちゃってんの?」というような邪推が正当化され、このような発言は逆に一部のトレーダーには不信感を与えるという風潮まで観測できる。この世界ではテクニカルやファンダメンタルズに関係なく、いかに「先出しして当てたか」が重要な指針となる。また自身の損益を常に公開する事が要求され、常に「エアトレ」疑惑に対処しなければならない。また、このカテゴリーのインフルエンサーにおいては、自身がいかに儲けたかという事を定期的にアピールして求心力を高める必要があり、頻繁に自身の生活の一部を公開し、いかに実生活において良いものを食べているか、贅沢なサービスを受けているかを開示していく事が推奨される。てっとり早く彼らと仲良くなるためにはとりあえずサロンに入会し、「おかげさまで、控えめに言って爆益です!」などの発言をすれば良いであろう。ただし、あまりに安易な発言をすると「サクラ」疑惑を生じさせインフルエンサー様に迷惑をかけてしまう事になりかねないので発言には細心の注意が必要である。

 

b. 暗号技術ガチ勢

先ず、前提としてこのクラスタに対して「仮想通貨」という言葉を使ってはならない。彼らにとっての仮想通貨とはすなわち暗号通貨の事であり、「Cryptocurrency」という語を忠実に変換する事から始めなければならない。なぜなら、暗号技術こそが彼らの誇りであり生涯であり、非中央集権化された暗号技術を使用したプラットフォームによってこそ世の中が変わり得ると信じているからである。また、彼らの思想によればXRPなどの非暗号通貨は言語道断であり、その名前を語る事すら許されない。彼らのマインドとしては、「我々が産み出したこの崇高な暗号技術による仕組みが、文系脳が作り出した旧態依然とした社会のルールに服してしまうなどという事は許せない」という潜在意識があるのか無いのか、こと「規制」というワードを使用する際には最新の注意を払う必要がある。彼らに認めてもらうためには、「トレードや憎きFiatに全く興味がありません。中央集権側は自重すべき」等、中央集権に関するものはおよそDisしていれば良いであろう。ただし、このクラスタに認めてもらうためには相応に高度な知識量と暗号技術に関する知見が要求されるため、リテラシーの低さを露呈してしまうととたんに手のひら返しを食らってしまう可能性があるため注意が必要である。

 

c. 特定通貨HODLERコミュニティー勢

各通貨ごとのコミュニティー人数の総体であるならば、おそらく界隈でも最大数となるであろう。しかし残念ながらこのコミュニティーは排他性が強く、他通貨コミュニティーとは常に喧嘩をしているため交わる事は難しい。本コミュニティーに属する人の傾向としては、その通貨および運営がDisられると、あたかも自身がDisられてしまったかのような態度で対応してしまうケースが散見される。このコミュニティーでは基本HODLの姿勢が推奨されており、その通貨をショートして利益を出す等の背信行為はご法度である事は言うまでもない。特に上記トレーダー勢とは相性が悪く、これみよがしに当該通貨をショートして爆益ウェイを報告するトレーダーに対しては忸怩たる思いが込み上げてくる。また、当該コミュのインフルエンサーには狂信的信者をも受け入れる度量の深さが要求され、いかに妄信的で非論理的であってもこれを一定のレベルで肯定していかねばならないのである。このコミュと近づきたい場合は非常にシンプルであり、当該通貨を購入し、テレグラムのグループに参加して自己紹介を行い、Twitterにて当該通貨推しであることを公言すれば良いであろう。もう少し上のレベルを目指すのであれば他通貨を攻撃する事を視野に入れても良いであろう。「みんな仲良くすればいいのに、仮想通貨界隈が一丸となって頑張らないといけない時なのに」という趣旨の呟きが今日も哀愁漂わせながらTL上で空回る。

 

d. アフィリエイター勢

脱社畜のスローガンを掲げて一世を風靡したアフィ勢であるが、直近の相場低迷による新規参入減少により、呼吸困難状態に陥っている。好きな時間に起きて好きな事を呟き、食べたいものを食べ、存分にノマドっぷりをアピールするその荒ぶりは、特に社畜カテゴリーに属する人々には過度に扇動的に映る。このカテゴリーの特徴は、仮想通貨に関する専門的知見やトレード経験が浅くとも事業を開始できる事から、若年層にも多い事である。その反面、本物の業者や、後に業者である事が判明してしまったケースなども散見し、今や仮想通貨アフィリエイター業界は群雄割拠戦国時代の様相を呈している。この層と近づきたい場合は、とにかく公開の場でブログを称賛する事に尽きる。また、一つ上を目指すのであれば、「リンク踏んでおきました^^」などの報告もさりげなく混ぜておけばなお良い。ただし、この層は常に同業がライバルとなるため、せっかく仲良くなったのに気付いたら相手のツイッターアカウントが凍結されていたなどという事例も報告されているため、注意が必要である。

 

e. 草コインICO嵌め込み勢

アフィリエイター勢が呼吸困難に陥っている状況において、こちらの草コインICO勢は直近の相場下落のあおりが直撃し、心肺停止状態である。特に日本におけるICO市場では、反社会的勢力の流入や、詐欺案件の多発、また有望視されていたプロジェクトの霧散等により、市場の信頼という意味では壊滅的な状況である。2017年および2018年前半までに行われていた「有望な草コイン探し」を行うような状況ではなく、現在では「スキャムじゃないICOってどれ?」というような印象が一般層に浸透している。ICOそれ自体についても各国の法規制が完全に不透明であり、現段階でリスクを取って投資を行う輩は界隈でも随一のギャンブラーのみである。この層と近づきたい場合は、テレグラム行脚が最も効果的であり、運営や開発陣営と近い存在になる事ができれば、上場に関する情報等のインサイダー情報を入手でき、「嵌め込み側」に回る事ができると言われている。ただし、ICO情報を発信すると自動的に自信の信用を低下させる事になるため、強心臓と高い志しが必要である。現状においては、1satoshi上場の夢から解放された者は、FXトレードに移行するか退場するかの二択である。

 

f. 情報発信型承認欲求モンスター勢

特に上記のアフィリンク踏ませ勢、トレードサロン勢とは別に、何ら金銭的な目的がなく情報を撒き散らす層が一定の割合で観測できる。インフルエンサーやその付随サービスを監視・評価するアカウントや界隈の裏事情を拡散するアカウント等もこのカテゴリーに入る。結論としては、これらの層のモチベーションとはその恐ろしいまでの承認欲求でしか説明がつかない。ただし、メンタルが非常に弱く、常に「自分はいつやめてもいい」というスタンスで界隈に生息しているため過度な煽りや揚げ足取りでご機嫌を損ねてしまうと、天照大神の如く岩盤の中に閉じ籠ってしまうので注意が必要である。現在、界隈においては様々な「信者」のカテゴリーが存在するが、この層が最も「仮想・暗号通貨」に心を奪われて洗脳されてしまったという意味で致命的な信者かもしれない。この層とコミュニケーションを取りたい場合は、発信されている内容を更に深堀するようなリプライで自尊心を満たして差し上げる事が重要である。くれぐれも、リプライの冒頭に「いつもありがとうございます」や「有益な情報とても助かっております」等のテンプレートを挿入する事を忘れない事が肝要である。

 

g. こじらせ古参勢

かつて仮想・暗号通貨テクノロジーの描く未来に魅了され、心躍らせながら参入したはずであろう古参アカウントの末路。仮想通貨界隈のリテラシーの低下と詐欺の増加、メディアの偏向報道、反社勢力の跋扈などなど、もともと強くもない心にボディーブローのようなダメージを与えられ、擦れに擦れてしまった悲惨なアカウントである。全ての事象に斜に構えており、ためらいもなく毒を含んだ呟きを一定間隔で撒き散らし2ケタいいねを獲得する。ただし、擦れに擦れてはいるものの、自身のプライドや自尊心だけは擦り切れる事なく健在であり、この界隈における重鎮としての意識だけは高いのが特徴である。彼らはパイオニアであり、この界隈を切り開いてきたという自負があるので、彼らとFFになりたい場合は(古参勢の)過去の功績を讃える事が必須である。認知されだしたら、現在の界隈の様相を過去と比較したりしながら批判すると「古参仲間」として仲良くしてもらえるかもしれない。ただし、彼らと近づくメリットが現在のところ見出されたという報告はされていない。

 

h. 魑魅魍魎

界隈のコミュニティーが成熟するに伴い、これらのどこにも属さない集団が誕生し、それらを総称して魑魅魍魎と言う。何のために存在しているのか皆目見当がつかないような突っ込み専門アカウントや、集団で他人のTLを荒らす事に喜びを見出すネタ集団、いわゆる「女子」アピールを専門的に行うアカウント(情報商材系を除く)はもはや魑魅魍魎である。もし、魑魅魍魎と仲良くなりたいのであれば、執拗なクソリプを継続して続ける事である。魑魅魍魎の生息時刻に合わせてこちらも生活し、魑魅魍魎が「おはよう」と言えば「おはようございます!」とリプライをし、魍魎が「今日も一日頑張るゾイ」とつぶやけば「がんばってください!」と応援し、深夜にキャスを開始したなら睡眠時間を削ってでもLiveを聞き、「控えめに言って神回でした^^」などとコメントをするのである。根気よくこの作業を続ける事により、お目当ての魑魅魍魎が集まるグループチャット等に招待される日が来るであろう。

 

3. 結論

上述の分析の帰結としては、現在の仮想通貨界隈を以下のとおり総括する事ができる。

「仮想通貨界隈とは、オッサンと魑魅魍魎が共に慰めあい、時に醜くケンカし、一部の魑魅魍魎を取り巻きながら、オッサンと魑魅魍魎による群像劇を日々繰り返している地獄のような場所である。」

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 

 

 

 

え?前回のほうがキレがあって面白い?

 

 

 

 

自分で書いてて解るわそんな事、必死に捻りだしてこれなんだよもう限界なんじゃ無料なんだから文句言うなボケ!!訴訟するか!?!?オ!?

 



あっこれは訴訟されちゃうほうでしたね。大変、失礼致しました。 





ということでこちらで〆とさせていただきます。


 ツイッター社乙。控えめに言って凍&結。



えーと、ごめんなさい。

 

ところで一点だけ補足させてください。今回の投稿で私は全方位にケンカを売っているわけではありません。私は心の底から今回取り上げたカテゴリーの方々を等しくリスペクトしており、日々感謝しております。暗号技術ガチ勢が開発を続けてくれているからこそ暗号通貨の未来があり、トレーダーの方々が流動性と普及に貢献してくださり、情報発信者が健全な方向性を示唆してくださり、通貨コミュニティーの方が一般層の取り込みに大いに貢献してくださり、アフィリエイターの方々が参入のハードルをぐっと下げてくださり、魑魅魍魎の方々が界隈を盛り上げてくださり、言わずもがな古参の方々の尽力あってこそ今の私たちがあるからです。「暗号通貨の聖地、XXに来た」という呟きを見るたびに私はそちらの方向へ頭を向けて眠るようにしております。

 

それでは頭脳明晰・聡明なる暗号諸兄方が今日も笑顔で快適な仮想通貨ライフを送る事をお祈りして筆を置かせていただきます。

 

 

チャオ☆

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