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【知ってた?】アニメ『デュラララ!!』のオープニングに隠された秘密

『デュラララ!!』のオープニングに込められた伏線が凄かったとのことですが、詳しく教えてください。

HHJ氏: はい、正確には伏線というよりも伏線に見せかけるのが上手いなと思いました。最後まで聞いてもらえればあのオープニングの凄さが分かります。

順番に解説をお願いします。

HHJ氏: まず僕の言うオープニングは『デュラララ!!』一期の最初のものです。オープニングテーマ曲に「裏切りの夕焼け」(THEATRE BROOK)が使用されているものです。この曲の歌詞とオープニング映像の掛け合わせで伏線が成立しています。歌詞から見て行きましょう。この曲の歌詞はどんな風に始まりますか?Aメロはこうです。

裏切りの夕焼け やっかいに絡みつく汗を切り裂くようにしてマシンは叫ぶ 歌うように

「切り裂く」というワード、それから「マシンは叫ぶ 歌うように」とあるので、これはセルティ・ストゥルルソンのことですよね?夕焼けが照らす街をバイクで疾走している様子だと思います。マシン、つまりバイクの正体って馬なので。

HHJ氏: ですよね。それではBメロに進みましょう。

blow up louder

blow up louder 直訳すると「騒々しく炸裂する」ですけど、まぁ嵐のようにセルティのバイクが駆け抜ける様子の描写とも捉えられそうです。(例文: A storm blow up. 嵐が襲う。)

HHJ氏: 次がポイントです。

無口な妖精はそこにいる

「無口な妖精はそこにいる」。ここまでの描写の流れ的にも「無口な妖精」というワード的にも、セルティのことですよね。顔が無いから喋れないっていうのは、イコール「無口」ってことだし、人間じゃないから「妖精」と喩えられると。

HHJ氏: はい、ここまでは大丈夫ですよね。問題はこの歌詞のタイミングで流れる映像です。オープニングは色んな登場人物が一人ひとり紹介されるスタイルで進行しますが、歌がこの「無口な妖精はそこにいる」という部分に差し掛かると、張間美香が紹介されるんです。

はい...。あ。

HHJ氏: そうなんです。妖精がそこにいる、つまりセルティがそこにいるってことなんじゃいの?と。この顔こそセルティの顔なんじゃないの?ってほのめかしているわけです。

はいはいはい。

HHJ氏: しかもオープニングの登場人物紹介では、キャラの顔と一緒に名前も紹介されます。ところが、張間美香だけは名前が映し出されていないんです。もし張間美香の名前を書いたとして、その顔がセルティだったら、嘘になるじゃないですか?だから名前が外されているんじゃないのかと推測しました。

ああ、なるほど。そんな伏線が隠されていたとは。今になってオープニングを油断して見ていた自分が悔やまれます。

HHJ氏: でも、本当に凄いのは、それが伏線じゃなくてミスリードだったってことです。張間美香の顔は整形してセルティに似せていたものの、結局セルティ本人の顔ではありませんでした。だから僕は完全に騙されたんです。伏線を見破っていい気になっていたところをグサリとやられました。

伏線に気づくところまで計算され、まんまと手のひらで転がされてしまう恐るべきミスリード。あのオープニングの上で、まさかここまでハイレベルな情報戦が展開されていたとは...。裏で折原臨也が仕組んだとしか思えない。
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<編集後記>
このインタビューを終えた後、ネット検索で似たような考察がないか、ざっと探しましたが、2019年4月15日現在、同様のものは見当たりませんでした。彼に『デュラララ!!』を勧めて正解でした。アニメを観る眼の確かさに脱帽です。
HHJ氏が編集を担当したノンフィクション小説『ロックスター』は全編無料で読めます。ぜひご覧ください。
Twitter:@save_yuri

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