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詩 まとめ

これまでに作ってきた写真詩の詩の部分をテキストデータとして、ここに残しておきます。

(好きな順)

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『告白』西部湯瓜
「どうか貴方に振られますように」
それが僕の願い事
だって振られることに価値があるから
付き合いたいだけなら、別に告白しなくたっていいんだから
さあ告白して振られましょう
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『青春』西部湯瓜
この漢字二文字の放つ花火のような眩しさが
一体どれほど多くの人間を不幸にしただろう
凶器のように人を傷つけただろう
人生を否定しただろう
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『振られ化粧』西部湯瓜
一日ずっと、部屋にいます。
私は一人、部屋にいます。
外には出ない、出たくない。
人には会わない、会いたくない。
だけど私は、化粧をします。
不意に見る自分の顔が綺麗じゃないと、自信が崩れてしまうから。
鏡に、窓に、ガラスのコップに、映る貴女(わたし)が怖いんです。
泣いて崩れて、やり直し。
涙でやっぱりやり直し。
一日ずっと、鏡を見てた。
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『大学の講義』
先生の話をこっそり録音した
だって、ちっとも面白くないから
だって、すぐに眠たくなってしまうから
だって、夜に聴いたら早く寝つけると思ったから
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『交差点』
汚れた靴下が落ちていた。
都会の真ん中に落ちていた。
大人はミステリーに目もくれない。
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『夏の朝』
シャワーを浴びた。
電車に遅れそう。
視線を浴びた。
ギリギリセーフ。
陽射しを浴びた。
全身汗まみれ。
シャワーを浴びた。
のは、何故。
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月が月に照らされる。
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(後は順不同、新しい順に並べます)

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『半分ベートーベン』
右耳が聞こえないのと君は言う。
だったらなんだ。
君の右側に移動する。
「僕が君の右耳になる」
君は答える。
「ごめんなさい。
 右耳がわるくて聞こえない」
僕は左に戻った。
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『狩猟民族』西部湯瓜
【就活】
オフィスの隅にある一つの座席を勝ち取るために
炎天下の街を何キロも歩くこと。
【営業】
就活で勝ち取った自分の座席を守るために
炎天下の街を何年も歩くこと。
【残業】
勝ち取り、守り抜いた座席に座ること。
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タバコを吸いたくなるキャッチコピー
『理由』
「お前は吸うんじゃねぇぞ」
そう言う先輩がカッコよくて
煙草を始めた
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『人』
「いつも仲いいね」
「俺たち二人とも一匹狼だろ?だから分かり合えるんだよ」
「一匹狼どうし気が合うんだね」
「そういうこと。俺たち群れない男じゃん?」
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『結婚信仰 vs ソロ志向』
「お前、なんで結婚しないの?」
「自由に生きたいっすもん。俺、ソロ男子なんで」
「もったいねえな。結婚したら一つだけいい事あるのに」
「え、それ何すか?」
「不倫で行く温泉旅行、めっちゃ楽しいぞ」
「俺、結婚します」
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『凍える場所』
吐きかけた白い息の変わりゆく姿だけは、世界が凍りついていないことを証明する。
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『大人』
「7:3で僕の方が君を好き」
「9:1で真逆ですよ」
ここはキャバクラ
グラスのお酒はストレート
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『刺さる言葉』
言葉は血となり骨となる
骨になった
喉に刺さった
感じが大きくて飲み込めない
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『歌詞サイト』
気持ちの沈んだ夜に
神様の御言葉を求める
本当は諳んじれるけれど
もちろん口遊めるけれど
活字がもたらす救いもある
ほんの数秒
掌から再訪する懐かしい世界
一つだけ景色が違うのは
下品な絵の貼り紙
溜息をついて
その絵に触れた
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『味方ヅラ』
「我々マスメディアの責任でもありますよね」
当番組は自己反省も忘れていません
他の番組とは違います
「我々マスメディアの責任でもありますよね」
全番組が言っていた
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『四角い箱』
日没との再会が
橙色の記憶を連れてくる
無敵だったあの頃が
灰色のビルでは不燃ごみ
割り切ったつもりのこの場所が
美しい事実を許せない
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『レモンティー』
積み重なった氷のドミノが崩れた。
カランと夏の音がした。
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『いただきます』
箸を持った。
携帯が震えた。
箸を置いた。
画面を見た。
情報を食べた。
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