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巣ごもり2DK─5月15日~5月17日

2020年5月15日
 今回のパンデミックに際し、過去のそれがしばしば参照される。文書や絵画、写真、映像などが伝えるパンデミックの様子を知る時、今回と何が似ていて、何が異なっているのかが分かってくる。スペインかぜの映像には、握手に代わって敬礼を推奨したり、他者が近づいてこないようにするために子どもがショウノウヲ首からぶら下げたりするものがある。パンデミックがこれで最後とはならないだろう。今回の記録が後世の人々に今自分たちが認識していることと同様の思いをもたらすに違いないだろう。

 NHKは、2020年5月15日 10時01分更新「英博物館など 新型コロナで変わった社会伝える記録収集」において、そうした取り組みについて次のように報じている。

新型コロナウイルスによって大きく変わった社会の様子を記録し後世に伝えようと、イギリスやオーストリアの博物館では外出制限の下での生活を物語る写真や物品の収集が始まっています。
ヨーロッパでは、オーストリアの首都ウィーンにある博物館が、ことし3月から「コロナ時代」の日常生活を記録した写真の収集を始めていて、1000人以上の市民からこれまでに送られてきた写真の一部をホームページ上で公開しています。
この中には、マスクをミシンで手作りする様子やテレビ電話を通じて一緒に歌を歌う人たちの写真、それに人との間に一定の距離をとるために作った円形の道具を身につける人の写真などがあります。
また、イギリスのロンドン博物館も先月から新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた生活を物語る物品を募っています。
これまでに、外出自粛中に家で作った瓶詰のジャムや、医師や看護師などに拍手を送るキャンペーンで使う音が出る手作りの道具などが寄せられているということです。
ロンドン博物館では、感染症の歴史を伝える資料として、1892年に流行した感染症で亡くなった孫を悼んで、ビクトリア女王が着た黒いドレスなどを所蔵しています。
博物館は「新型コロナウイルスは世界中の人々の暮らしに前代未聞の影響を及ぼしている。この異常な時期を記録し、後世の人々に知ってもらいたい」としています。

 新型コロナウイルス感染症によって世界が変わっている。しかし、それらの中には終息後に消えていくものも少なくないだろう。ニューの丸にならず、アブノーマルで終わる者もある。けれども、それらも未曽有の事態の中で人々が知恵を絞ったものでもある。そうした工夫はパンデミックがいかに尋常ではない影響を世界に与えていたのかを物語る。

 ところで、松尾邦弘元検事総長ら検察OBが検察庁法改正に反対する意見書を法務省に提出している。その内容は、『朝日新聞』2020年5月15日 16時14分更新「【意見書全文】首相は『朕は国家』のルイ14世を彷彿」において、読むことができる。

 要約すると、意見書は、ジョン・ロックを代表に啓蒙主義による近代の理論的基礎づけを語りつつ、安倍晋三政権の検察庁法改正がいかにそれに反しているかを糾弾している。今回の件は前近代の絶対王政への回帰でしかない。もっとも、これは近代の前提であり、知っていて当然の知識である。ところが、安倍政権発足後、政治家がいかに無知であるかを露呈している。しかも、ネットを含めた言論空間でもこの基礎的知識を知らぬまま声高に政権擁護する自惚れも多い。無知は無恥である。近代は理論によって根拠づけられている。この知識を理解していない者は、政治的実践・言論に携わるべきではない。この意見書は、その基礎的知理解もしない者たちが近代体制の統治を担っているという日本のみじめで危険な状況を物語っている。

 夕食にはタイのグリーンカレー、ゆで卵、キャベツの酢漬け、野菜サラダ、食後にアイスコーヒー。屋内ウォーキングは10040歩。都内の新規陽性者数は9人。

参照文献
「英博物館など 新型コロナで変わった社会伝える記録収集」、『NHKは』、2020年5月15日 10時01分更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200515/k10012430731000.html
「【意見書全文】首相は『朕は国家』のルイ14世を彷彿」、『朝日新聞』、2020年5月15日 16時14分更新
https://digital.asahi.com/articles/ASN5H4RTHN5HUTIL027.html?iref=comtop_8_01


2020年5月16日
 新型コロナウイルスは不顕性感染があるため、感染実態が把握しにくい。加えて、未知の感染症であるので、不明なことも多い。当局が国内で確認する前に感染が広がっていたり、この疾病によって亡くなったにもかかわらず別の死因とされていたりする可能性も否定できない。

 感染がいつから始まり、どれだけ広がっているかを調べる方法として「超過死亡」の検証があるとAFPは、2020年5月16日 5時59分更新「新型コロナ、真の被害規模示す『超過死亡』 専門家ら注目」において、次のように伝えている。

【AFP=時事】各国当局の発表に基づくと、世界で新型コロナウイルスにより命を落とした人の数は30万人余りとなっているが、死者数の集計方法によっては真の犠牲者数はこれよりもはるかに多い可能性がある。
 当局の統計には新型コロナウイルスが原因とされる死者のみが含まれている。だが専門家らの間では、公式な死因に関係なく今年の全死者数を例年と比較して導かれる「超過死亡」数を調べる動きが広まっている。
 超過死亡には新型ウイルスとは直接関連ない死者(新型ウイルス流行に伴う医療崩壊により他の病気の治療を受けられなかった人など)も含まれており、これに注目することで、実際の犠牲者数が公式死者数よりも大幅に多い可能性が浮かび上がる。
 今回の新型コロナウイルス危機では、データ集積方法が国によって大きく異なることから、各国の単純比較が困難となっている。
 イタリアでは、2月20日~3月31日の期間の新型ウイルスによる死者は1万2428人とされている。だが、過去5年間の平均と比較した同期間の「超過死亡」は2万5354人に上る。
 米国ではこの差がさらに大きい。米国での新型ウイルス流行がピークに達する前の3月の超過死亡数は6000人で、新型ウイルスによる公式死者数の3倍以上となっている。
 他の欧州諸国と比べ新型ウイルス対策に成功したとされるドイツでさえ、今年3月の超過死亡数は3706人と、新型ウイルスの公式死者数である2218人を上回っている。
 一方フランスでは、3月1日~4月27日の新型ウイルスによる公式死者数は2万3291人で、前年と比較した超過死亡数の2万4116人とほぼ一致している。
 デンマークの疫学者チームが欧州24か国のデータをまとめている「欧州死亡率モニター(EuroMOMO)」プロジェクトによると、今年3月の死者数は例年と比べ増加していた。
 EuroMOMOのプロジェクトコーディネーターを務めるラッセ・ベステルゴーア(Lasse Vestergaard)氏は「超過死亡を説明できるものは(新型ウイルスの)他にはない。これが1月なら、一部はインフルエンザによるものと説明できるかもしれない。それに、欧州では火山の噴火や、地震も発生していない」と語った。
 EuroMOMOのデータによると、3~4月に大きな超過死亡があったのはスペイン、イタリア、フランス、そして英国の4か国。一方、新型ウイルスによる深刻な被害を免れているノルウェーやフィンランドでは大きな超過死亡はなかった。

 これは統計を用いた推論である。新型コロナウイルス感染症は振興であるので、全国の医療関係者に情報が十分に共有されているとは言い難い。だが、例年に比べて死者数が著しく増えていれば、たとえ死因が異なって報告されていても、この感染症による影響が疑われる。こうした見逃してきたことによって感染が拡大してきた可能性もある。

 21世紀に入って以来、統計の重要性が各方面で格段に高くなっている。従来、公共機関が政策に反映させる目的で手間暇をかけて統計データを集めていたが、インターネット・サービスの拡充もあり民間にも情報が集まってくる。ソフト・ハード両面の進歩に伴い、そのデータ解析を通じて佐々間茉奈ことが明らかになっている。そうした展開により統計は相関性を推論してきたが、因果性にもそれが向けられている。

 知識も情報も必要だ。けれども、それを生かすのは知恵である。ビッグデータやAIの時代なら、なおのことだ。

Where is the Life we have lost in living?
Where is the wisdom we have lost in knowledge?
Where is the knowledge we have lost in information?
The cycles of Heaven in twenty centuries
Bring us farther from GOD and nearer to the Dust.
(T. S. Eliot ”The Rock”)

 夕食にはカルボナーラ、香味野菜のピクルス、アスパラのヨーグルトサラダ、豆の野菜サラダ、食後にアイスコーヒー。ウォーキングは10275歩。都内の新規陽性者数は14人。

参照文献
「新型コロナ、真の被害規模示す『超過死亡』 専門家ら注目」、『AFP』、2020年5月16日 5時59分更新
https://www.afpbb.com/articles/-/3283315


2020年5月17日
 今回、ビッグデータ時代初のパンデミックである。感染拡大抑制のため、その利活用が模索されている。しかし、ビッグデータは収拾にはユーザーが自覚・無自覚を問わず協力している。ユーザーがオンライン・サービスを利用すると、個人情報が提供者に渡される。利用者の信頼・同意がなければ、それを感染拡大予防にも使えない。

 NHKは、2020年5月17日 18時08分更新「スマホの位置情報『危機回避なら問題ない』が半数 コロナ調査」において、そうしたデータ利用に関する世論御意識について次のように伝えている。

新型コロナウイルス対策では、スマートフォンの位置情報など、ビッグデータの活用が国内でも進められています。NHKがLINEと共同でビッグデータの活用についてアンケートしたところ「危機を逃れる目的であれば問題はない」という答えがほぼ半数になりました。
NHKは今月上旬、LINEと共同でアプリ上でアンケートを行い、2000人から回答を得ました。
この中で、新型コロナウイルスに関する情報について感じていることを複数回答で尋ねたところ、
▽「信頼できる情報を見分けるのが難しい」という答えが最も多く、59%でした。
そして、
▽「楽観的な情報は感染拡大につながりかねず危険だ」が39.1%、
▽「誤った情報やデマが広がっている」が38.8%でした。
新型コロナウイルスへの対策では、国内でも政府や自治体がスマートフォンの位置情報や検索履歴などビッグデータを活用しています。
こうしたデータの活用をどう思うか尋ねたところ、
▽「感染拡大防止など、危機を逃れる目的なら問題ない」との答えが50.8%とほぼ半数になりました。
一方、
▽「目的にかかわらず問題がある」も25.5%ありました。
「問題ない」と答えた人の割合を年代別に見ると、
▽男性は10代が38.4%で最も低く、20代は47.3%、30代は45.7%、40代は61.3%、50代は58.7%、
▽女性も10代が43.8%で最も低く、20代は44.6%、30代は48.8%、40代は50.3%、50代は52.5%と、男女とも年齢が上がるほど「問題ない」と答える人が増える傾向になりました。
韓国などでは、個人データを使って感染者の行動を制限するといった取り組みがありますが、個人データを使った行動の管理や制約に協力できるか尋ねたところ、
▽「とてもそう思う」、「そう思う」と答えた人は合わせて61.3%だった一方、
▽「そう思わない」、「まったくそう思わない」と答えた人は合わせて23.7%でした。

専門家「目的限定でデータの活用許容か」
今回のアンケート結果について、社会心理学が専門の東京大学の関谷直也准教授は「一般的に個人情報の活用についてアンケートを行うと、不安を感じるという答えが高く出るが、『感染拡大を防ぐため』といったように目的を限定すれば、多くの人が活用を許容していることが分かる」と話しています。
そのうえで、「日本の場合、感染に関する情報が十分提供されていないことへの不安感が非常に強く、感染者に関する流言やひぼう中傷が広がる原因にもなっている。そうしたこともあって、プライバシーを守ったうえで、きちんと情報が提供されるべきだと考えている人が多いのではないか」と指摘しています。

プライバシーを保護した形で日々データ提供
国内では、携帯電話会社やIT企業がスマートフォンの位置情報などを政府や自治体に提供し、感染拡大を防ぐ対策作りに活用されています。
NTTドコモや、auのKDDIなどは、携帯電話の位置情報を基に、都市部や観光地などのエリアにどの程度の人がいるのか分析したデータを、プライバシーを保護した形で日々、提供しています。
感染拡大前のデータなどと比較することで、外出の自粛がどこまで進んでいるかの目安となっています。
また、ヤフーも、個人が特定されない形で、利用者がインターネットで検索したことばや、位置情報のデータを提供しています。
データの提供にあたっては国との間で協定を結んでいて、データの利用目的を明確に限ることや、ヤフー側の判断で提供を中止できることなどを盛り込んでいます。

濃厚接触者把握アプリ 日本政府も実用化急ぐ
スマートフォンなどのデータを新型コロナウイルス対策に活用する取り組みで、世界的に注目を集めているのが、濃厚接触した可能性がある人を把握するためのアプリです。
海外では、シンガポールやオーストラリアなどですでに導入されているほか、イギリスやドイツなどでも開発が進められています。
日本ではシンガポールのアプリを参考に民間のIT技術者などが開発を進めていて、政府は、これをもとに早期に実用化したいとしています。
アプリは、スマホに内蔵された「ブルートゥース」と呼ばれる通信技術を使って、アプリをダウンロードした利用者どうしが一定の距離に近づいた場合などに、そのデータを端末に記録します。
そして、仮に利用者が感染した場合、アプリにそのことを登録すると、濃厚接触をした可能性がある人に通知が自動的に届く仕組みです。
感染者が自分の行動を思い出せない場合でも、濃厚接触した可能性のある人に速やかに情報を提供でき、感染拡大を防ぐのに役立つとしています。
一方、アプリをめぐっては、政府による個人情報の収集や監視につながるという懸念もあって、プライバシーの保護との両立をどう図るかが世界的に議論になっています。
このため日本のアプリでは、プライバシーの保護を重視して、電話番号や位置情報を使わずに誰と接触したかを匿名のデータとして記録する仕組みが導入される見込みです。
アプリは、より多くの人が使わなければ感染状況の正確な把握にはつながらないため、どのように理解を広めるかが問われることになりそうです。

 この世論調査結果は、記事内で言及されている感染追跡アプリの効果が期待できないことを示している。スマホの位置情報利用に関して「危機回避なら問題ない」が半数、すなわち2人に1人では使い物にならない。アプリが目的通りに機能するには、スマホユーザーの70%以上がインストールしていることが必要とされている。しかも、年齢が若くなるほど、問題があるとする回答の比率が高まっている。若年層の方が活動的だから、彼らが参加しなければ、このサービスはさらに機能が低下する。こうした事情のため、このアプリの効果が予想道理に行かないとわかれば、インストールする人はより減るだろう。世論調査結果をゲーム論的に考えるなら、追跡アプリは期待外れに終わるように思える。

 夕食には、グリーンカレー、野菜サラダ、モズクスープ、梅と海苔の冷奴、食後には玄米茶。屋内ウォーキングは10120歩。都内の新規陽性者数は5人。

参照文献
「スマホの位置情報『危機回避なら問題ない』が半数 コロナ調査」、『NHK』、2020年5月17日 18時08分更新 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200517/k10012433871000.html?fbclid=IwAR1HLdT669dSSdPnUgh9Jj1me3Sthac0kkdJllySCUi4smzyyRgngC6pfHg

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