寅さんになりたい。その3

自分の周りの状況が変わると、すぐには上手く馴染めず、殻に閉じこもりがちになる癖が僕にはある。
それは今でも変わらない。

中学生になった僕は、その例にもれず、暗い中学校生活を送ってた。

仲のいい男友達と、その友達の家で、当時流行ってたファミコンのゲームばかりやっていた。
友達の1人が、お姉さんの影響でか、最新の邦楽ロックやポップスに詳しく、ゲームをやりながら流行りの歌をよく聴いていた。
そんななかの、ある歌手の歌に僕は衝撃を受けた。
その歌手の歌を聴いて無ければ、僕は今こうして、この文章も詩も書いていないと断言できる歌手。そう、尾崎豊の歌と出会ったのは、この頃だった。

とにかく、灰色の空が似合うような毎日を過ごしていた僕に、一陣の光が差すような出来事が起こる。
それは特別大したことでもなく、一陣の光に例えられるようなことでもないかも知れない。
けれど、僕の心の中には、たしかに光が差したのだ。

それは放課後、つまらなく教室でそうじしてた時、クラスの女子に用事で、別のクラスの女子が入ってきたのだ。
何気にふと、その女子と目が合った。
その女子こそ、小学校時代の同級生Yさんだった。
彼女は、何のてらいも無く、僕に一言二言話しかけた。何を話したのかよく覚えてはいないけれど、ほぼほぼクラスの女子と話してもいなかった僕にとっては、新鮮な驚きでしかなかった。
僕は初めて強く異性を意識した。
それが、僕の初恋の始まりだった。

それから、彼女に告白するまでに、6、7年もかかったけれど、告白出来て本当に良かったと思う。
結果はどうだったか?
それは、まだもう少し先のお話なのである。

#恋愛エッセイ