【小説作品】ルネの首 シリーズ

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ノート

ルネの首 #21 宗教と歴史の人類学

それから更に数日後、アズに呼ばれて、ナオはセツェンと一緒に彼女の家に行くことになった。
 一応、ルネも背負っていく。置いて行こうとしたら、激しく拗ねられたとも言う。
「救済機関の登録は済ませておいたから」
「誰にも会ってないけど、ぼく」
 この数日間、セツェンとルネと子供たちとしか顔を合わせていない。この面子で同じ家に住んでいるだから当たり前だが、今日になってアズに呼ばれたわけだから、ナオは何も聞

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ルネの首 #20 思春期と三歳児の生首

「あれ、ナオちゃん……とリタさん。珍しい組合せだね」
 アズは出迎えるなり、目を丸くした。それはそうだろう。ナオだってまさかリタと一緒になるとは思わなかった。
『僕もいるからな』
「わー、ルネ君さすがぁ。ホイホイ出歩いてくれるわ……」
『褒めていないのは理解した』
「バレてないならいいけどさぁ」
 愚痴を言いながらも、アズはすんなりとリビングに通してくれた。つい最近まで、子供たちと一緒に雑魚寝をし

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【小説】『ルネの首』キャラ紹介

第1部も終わったところなので、note連載中のオリジナル小説『ルネの首』シリーズのキャラクター紹介をします。

>>『ルネの首』小説本編はこちら

【ルネの首シリーズとは】

Twitterで不定期連載しているツイノベを、小説に再構成してnoteで連載しているSFストーリーです。

生首ニートを自称する、首だけの謎生物ルネと、浮浪児のナオと、浮浪児たちのリーダーのセツェンが、人喰いの大きなクモから

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ルネの首 #19 子供たちは夢を見る

それからしばらくは、平穏な日々が続いた。
 子供たちは、ここのところずっと、ルネに算数を教わっている。今日は掛け算と割り算。
「簡単な計算はできた方がいいけどさ、掛け算割り算はまだ難しいんじゃないの?」
『驚け、ナオ。イサは算数が得意なんだ。掛け算の九九は全部覚えたし、割り算も簡単なものならもうできるぞ』
「え、マジ……?」
 ナオは割り算が苦手だ。思わず手のひらで指を数える。四歳も年下のイサに先

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ルネの首 #18 生首ニート先生と相談事

「ねぇ、ルネ先生さー」
 夜になって、子供たちが寝静まったのを見届けた。その後、セツェンが仕事に行ったのを確認して、ナオはルネを呼び出した。
 セツェンは、今日は巡回するだけだと言っていたが、鉄グモのいそうな場所を確認して帰ってくるだけにしても、一時間は戻らないだろう。
 人間と同じような睡眠を必要としないルネは、ナオの呼びかけにすぐ答えた。
『君の方から先生扱いをしてくるとは、どういう風の吹き回

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ルネの首 #17 生首と浮浪児と新しい家

市街地にやってきてから一か月ほど――。
 ナオたちは、ついに新居を得ることになった。
 といっても、アズの世話になっていることには変わりない。新居も元住んでいた廃墟ではなく、町はずれにあるもとは飲み屋だったらしい一軒家だ。
「カウンターがある!」
「ここでお店やろうぜ!」
「えー、やだよ、もっとおしゃれなのがいい~」
 エミル、イサ、キャロルがキャッキャとはしゃいでいるのを横目に、ナオはセツェンの

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ルネの首 #16 カミサマの居場所

「こんなところにいた」
 セツェンが、屋根の下から身を乗り出してきた。イサたちに居場所をきいたのだろう。
 戻ろうとしたら、セツェンも屋根に上がってきた。
 ナオの隣に腰を下ろす。
「ここの屋根に上ったのは初めてだ」
「そうなの?」
「ここ、アズの自宅だから、ずっと通ってるのにな。いい家に住んでいるって思うだろ」
 隠れ家ではなかったらしい。確かに、隠れ家というには上等な住居だとは思っていたけれど

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ルネの首 #15 知って見える世界

幸い、エミルの怪我は大したことはなかった。
「でもねぇ、セッちゃん。やっぱしばらくはこっちで面倒見た方がいいと思うわけよ……」
「あのさ、アズ……そのセッちゃん呼び、本当にやめてくれないか?」
「ナオちゃんとキャロルちゃんに聞かれているんだから、今更でしょ? 細かいこと気にしない方がいいよ」
「いや、本当にやめろ」
 そんな会話を繰り広げながら、アズはキューブをしきりに弄り回している。どうやら、セ

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ルネの首 #14 ルネサンスの首

『ナオ、戻れ! 俺がすぐにいくから!』
 セツェンの声が、キューブから聞こえてきたけれど、その時にはもうナオは塀から降りて駆け出していた。
『とめろ、ルネ!』
『残念ながら止めようにも、僕にはナオの首根っこを掴む手が生えていない』
 ルネは浮遊しながら、ナオの隣を移動する。
『ところでナオ、意気揚々と向かっているが、アズが教えてくれた魔法の呪文を、正確に覚えているか? 先ほど、さっそく忘れていたよ

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ルネの首 #13 いつかの面影

ナオが迎えにいった時、キャロルはしばらく驚いて目を白黒させていた。当然だ。ナオとルネだけではなく、セツェンと知らない人も増えたのだから。
 アズが優しく愛想よく接していたので、すぐに安心した様子だった。下層で暮らしていくのだから、あともう少しの警戒心が欲しい。
 とはいえ、ナオもセツェンが信頼しているのだから、と簡単に納得したのだから、あまり強くは言えまい。
 案内されたアズの隠れ家は、特に誰がい

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