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続・寒さの解釈違い~蝦夷内乱編~

前回の日記が思っていたより反響があって驚いたわけですが、中にはこんなご意見もあったわけです。

・北海道は雪が降るので湿度が高く実際より寒さを感じづらい

・マイナス20度くらいなら北海道では暖かい方では?

・結局室内が寒いって話で実際外は暖かいでしょ?

全部正しいけど全部違う。

というのも、北海道内でそもそも冬場の気温差が地域によって最大15度くらいの差が出る上に、雪の降る量も地域差が非常に大きく、そして前の日記にも書きましたが「基本的に一定よりも低い気温になると、よほどの低気温にならない限り短時間の外出では体感が大差ない」という点があります。

「すげー寒い」が「やばい寒い」になっても、体感としては「寒い」としかいいようがないってことですね!着るにも限界がありますので、一定ラインよりも寒いと「とりあえず寒い」としかならないというか、だからロシア人はウォッカ飲むんだよ(酒の度数で熱を感じるから)という話です。

それじゃあ「北海道よりも東京の方が寒く感じるっていう前回の話は何なんだよ」となるかもしれませんが、それは後述しますので、まずは北海道内の気温についてお話します。

私も北海道で住んだことがあるのは道東と札幌だけなので、あとはそっちにいる親戚や出身地の友人からきいた話、単純に北海道に住んでいた頃に天気予報などで日常的に見ていた情報を元にしています。

以上の前提で、とりあえずざっくり図にしてみたから、こいつを、見てくれ。

世間的にイメージされる、雪が降って、寒い北海道のイメージ、大体緑色の部分(札幌・小樽以西~南部の函館)だと思うんです。

もちろん、海沿いか山沿いかとかで気温差が結構あるので、あくまで目安として考えてください。

基本的にこの緑枠は北海道にしては暖かめ、雪がめっちゃ降るあたりです。

10月になったら初雪が降りだすあたりです。

さっぽろ雪まつりは、大量にある雪の処分費用に困ったところから生まれたと語られていたくらいです。(実際、初めは雪捨て場で雪像を作ってたらしい)

余談ですが、さっぽろ雪まつりの巨大雪像の数々は自衛隊さんが作ってます。自衛隊さんマジすげえ。

自衛隊さんは道楽でやっているわけではなく、雪中での築城訓練を兼ねてやっているんですよ、アレ。

話はそれましたが、次に北海道で最も寒い地域についてです。

意外にも最も寒いのは最北の道北宗谷地方ではなく、道央の旭川・富良野地域です。上記画像の「氷結地獄ゾーン」です。

今のところ日本の最低気温記録を持っている地域です。氷点下41度。

旭川銘菓の「氷点下41度」はすごく美味しいので北海道いった時にはおみやげにぜひどうぞ。

それはともかく、このゾーンは、本州でいうところの京都あたりを想像していただければわかりやすいかと思いますが……

冬が死ぬほど寒くて夏がめちゃくちゃ暑い地域です。

つうても北海道なので、夏の暑さが40度越えすることはそうそうないのですが、それでも30度越えが普通である地域ですので、夏冬の気温差がジェットコースターどころかフリーフォールです。エグい。

雪も比較的多いです。山地が多いしね。

道央出身者に「冬場あったかいね」いわれたら「せやろな」というより他にありません。

次に、道北。日本最北端の稚内とかですね。

ほぼロシアです。(稚内地方に地元がある知人の証言)

まあ、海を渡れば樺太だからな!!!!

ラッコ鍋で一世を風靡しているゴールデンカムイは、今現在、樺太の話をちょうどやっているので、良ければ読んでみてね!!!(ダイマ)

雪はそこそこ降ります。雪は横に降ります。(風が強い)

次に、私の出身である道東です。出身地なのでちょっと詳しく書きます。

季節凍土です。

季節凍土とは何ぞやという話ですが、永久凍土とは違い「冬場の間だけ、地面が完全に凍結する」地域になります。

「え~、北海道全域そうなんじゃないの~?」って感じだと思うんですが、実は雪が多い地域というのは、地面の上に厚い雪が乗っかっているわけですので、意外に地面の温度は下がりきらず、土が凍らないんですね。豆知識。

道東地域は、北海道の中では雪が少なく、しかもマイナス20度程度まで気温も下がる地域なので、冬場は凍土になります。

どれぐらい凍っているかというと、真冬に釧路沖地震がおきた時、地面が凍っていたがために農村の被害が最小限になったくらいです。(暖かい季節に起きた根室東方沖地震では、ほぼ同規模でも飼料タンクの倒壊や水道管の破損が多かった)

氷点下41度の話の後だと、めちゃくちゃ暖かいように錯覚しますけど、気のせいです。めちゃくちゃ寒いからな!

雪は少な目ですが、横に降ります。雪が横に降ってないと驚く。

あと、道東地域の特徴として「最低気温がひくめで最高気温もひくめ」というのがありまして。

最低気温マイナス20度、最高気温マイナス10度、みたいなのが冬の間ずっと続きます……。そして雪が少ないのでめちゃくちゃ乾燥する。

道東の雪の感じがどれくらいかというと、一番上のサムネ画像が地元の写真ですので参考に……。そこまでモサモサ積もっていないでございましょう?

夏場も寒くて、6月くらいでも早朝に床暖房を入れていることがあるくらいです。15度を越えたら「夏だね」とか言い出す地域です。

うちの庭(平地)に普通に咲いていたクロユリが、高山植物だと知った時の私の気持ちわかります?????

何で道東で酪農(乳牛飼育)が盛んなのかというと、寒すぎて草くらいしかまともに育たない地域が多いからです。学校の授業で、地元の産業についてこういう風に説明された時の私の気持ち以下略。


まぁ、このように蝦夷地内でもだいぶ気温や雪について地域差が激しいため、寒さの解釈が一致しないのは当然の帰結です。

ほっかいどうはでっかいどうだからね!


ところで、話は変わりまして「とにかく寒い北海道より、東京が寒く感じる理由」の補足です。

ぶっちゃけ、体感の違いは汗をかきやすいかどうかだと思います。

マイナス5度以下あたりになると、着こんで歩きまわっていても、そうそう汗をかくことはありません。むしろ動き回ってないと、長時間外にいたら普通に冷え切って死にます。

そして、電車内なども基本的に寒いので、一時的に乗っていたくらいでは、そうそう汗だくにはなりません。ショッピングモールとかで、暖かいフロア内をうろついてたら汗をかくかもしれませんけど、その場合さすがに上着脱ぎますしね。

室内ではいくらでも暖かくして服を脱げますし、前の日記でも書いた通り、北海道の部屋は基本的に暖かい構造になっていますので、意外とストーブをガンガンたかなくても最低気温はそこまでびっくりするような気温にはならなかったりします。

限界貧乏だった札幌在住時代、灯油代ケチって部屋の中でコート着て過ごしてたことがあったけれど、限界まで寒くなっても室温8度程度だったので、まぁがっちり着込んでいたら死にはせん、って感じ。

あと、基本的にストーブ周辺から極力動かなければ、多少何とかなる感じ。(そういう意味で「電気じゃあたたまらない」「こたつじゃあたたまらない」というアレです。こたつは背中寒いからね……)

では何故東京が、余分に寒く感じるのかというと……

・早朝、日中、夜間で寒暖差が激しい
※北海道も寒暖差はあるが、基本ずっと寒いので体感的なアップダウンは意外と感じづらい

・部屋全体が寒い(エアコンなどでは局所的にもなかなか暖まらない)

・部屋の寒さを基準にして着込んで外に出ると暑い

・電車の中は暑い(特に通勤、通学時は混むのでめちゃくちゃ暑い)

・外や電車が暑くて汗をかいたところで冷やされる

大体こういった理由で寒いです。

東京の寒さはギャップの寒さです。

外よりも暖かいはずの室内で、コートを脱いだら汗が冷えて一気に体温が下がって、でも室温はなかなか上がってくれないので冷えていく速度の方が早い、みたいな感じになっていく。

あとビル風がヤバい。東京風が強い。風が強い上に冷たい道東の出身でも、ビル風はなかなかこたえますよ。まぁ、そもそも道東の民、あんまり長時間外を出歩かないしな!(全てがマイカーで済まされる地域)


そういうわけで、北海道内でも解釈戦争がおこっている冬場の寒さですが、やっぱり北の民は大体みんな口をそろえて言います。

東京クソ寒い。

実際の気温じゃなくて、感覚で寒いんだよ!(逆ギレ)

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