沙羽子

ダンスと短歌が好きなひと

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  • たくさんの人に読んでほしいnote

    わたしが胸を打たれたり、そのメッセージに共感したりした、他のユーザーのnoteをご紹介します。

  • 読書記

    わたしの書いた読書記のまとめです

  • 留学先で思うこと。

    留学先で感じたことをまとめたエッセイ集です。

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    編集部のお気に入りに追加されたnote、あるいはTwitterなどで話題になったnoteです、自己紹介代わりに読んでいただけると嬉しいです。

最近の記事

日記 2020/09/13

好きなエッセイストさんの日記を読んでたらなんだかほくほくして、日記っていいなと思えたので日記を書いてみることにした。一日坊主かもしれないけどまあいいや。 深夜。 さいきん起こったちょっと複雑で落ち込むことを思い返してメンタルがドツボにハマり、友人に半泣きになりながらつらいつらいとLINEを送る。「その気持ちで短歌を詠んでみよう」と煽られて短歌を作り出す。病んでるときは生きようとして創造力が湧き上がるので一時間で十首くらい生み出す。なかなかにいいのが生まれたのでその勢いで短歌

    • 短歌連作「うずのなかで」

      コロナ禍で病んだら高校生ぶりに短歌がぽんぽん浮かんできたので、ここに供養します。 1. わたしが死ねば数字が増えるだけなのに1より意味を持つひともいる 2.デマなんて判っていても買う人がコロナ時代のライオンとなる 3.出かけるなとカメラの前で請うひとの白い布からはみ出たよゆう 4.生命の軽さをのどに突きつけて満員電車に今日も揺られり 5.等しさは違いを生んで十万の使い道から浮きあがるもの 6.体重が減れば減るほどコロナ禍のない世界線のわたしが太る 7.三ヶ月会え

      • 「わたし」の若草物語ー考察

        ⚠️こちらのnoteは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。 ↓予告編はこちらから Ⅰ.ジョーとローリー、ふたりはシンメ  「シンメ」という言葉がある。ジャニーズのグループにおいて、左右対称の位置に立つふたりを指す用語だ。「シンメ」のふたりは、ともに競い合うライバルであり、ともに困難を乗り越える同志でもある。ふたりは、友情以上に堅く、しかし恋愛とは異なる種類の"ship"を築き上げる。それは、どんなに鋭いハサミ

        • 約3ヶ月ぶりに出かけた日の日記

           三月末ぶりに電車に乗って外出をした。三菱一号館美術館の『画家の見た子供展』を、訪れるのが目的だ。電車に乗るのがあまりにも久しぶりだったせいで、狭い空間に他人とともに閉じ込められることに恐怖を覚えていたけれど、乗ってみてしまえば意外と大丈夫だった。人は人にどこまでも無関心で、無機質な箱は静かにわたしを目的地へと攫ってゆく。人間同士の世界なんて、もともと「ディスタンス」だ。  「久しぶりだね」そう言いながら友達と駅で落ち会って、ビルの隙間から差し込む真っ直ぐな日差しを全身で浴

        日記 2020/09/13

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        記事

          わたしだったかもしれない

          自死の報せを受けるたびに、小学生のときに習った水槽の問題を思い出す。 水槽に蛇口Aから水を注ぐと10分で満水になって、Bから注ぐと15分で満水になります。AとBから水を注ぐと何分で満水になるでしょう? 計算に失敗して水槽を溢れさせてしまったときの対処法は、誰もわたしに教えてくれなかった。    生きていることは、本当に偶然の結果の産物だと思う。今日いちにち事故に遭わなかったこととか、災害が起こらなかったこととか、病気が発覚しなかったこととか。そしてそういうことだけではなく、

          わたしだったかもしれない

          さみしさの答え合わせ

           宇多田ヒカルのインスタライブでの、ある言葉が話題になっていた。  このツイートを見かけてから、慌ててアーカイブを見に行った。Why getting over someone is so painful?(どうして誰かを失うのは悲しいの?)という問いと、それに対する宇多田ヒカルの温かく、丁寧な言葉。この人は、どんな深淵の中を彷徨って生きてきたんだろうと思った。  これが必死に聞き取って訳した全文だ。 "Sometimes when a relationship ends

          さみしさの答え合わせ

          「怒り」という感情について。

          怒りという感情について。 わたしはめちゃめちゃ怒りを抱く。というか、怒りだけではなくて、シンプルに喜怒哀楽の全ての感情が強烈で激しい。 もちろん生きてきた中でそれを適度にジャケットの裏側に隠したり、ポケットの中に忍ばせたり、そういう技は覚えたけれど、それは根本的に怒りという感情そのものを消し去ることとは異なっている。 最近読んだ小説に、「怒り」という感情が消えてゆく世界の話があった。「怒り」という感情自体を持つ人物が減っていって、わたしたちが「怒るべき」と思う場面でもに

          「怒り」という感情について。

          この言葉が、ミモザの花のように未来を照らす光の一部になるのなら−国際女性デーに思うこと

          女性として生まれ出てしまったことに対する、原罪にも似た不安定で湿った感情が、胸の奥底に絶えずこびりついている。いつからかはわからない。女性性への漠然とした嫌悪感。 「わたしが女性じゃなければ」そうした感情を一度も抱かない女性など、いるのだろうか。そんな女性は存在しないにしても、その反実仮想を切実なものとして抱え込んでしまう回数は、きっとそれぞれの物語のあらすじによって差があるだろう。 ブルゾンちえみのように「女に生まれてよかった」と日々実感しながら、女性であることを喜んで生

          この言葉が、ミモザの花のように未来を照らす光の一部になるのなら−国際女性デーに思うこと

          ひとにやさしくされるのがこわい

          人に優しくされるのが、ずっと怖い。わたしに向けられたもっとも身近な優しさは、ずっと目的とともに存在するものだったから。 生きているとときどき、無条件に優しいひとに巡り会う。無条件に自分を好いてくれるひと。無条件に存在を肯定してくれるひと。人生で何人かめぐり逢った、今後もずっと出会い直しつづけたい、心からそう思わせてくれるひとたち。 でもわたしは、そんな人たちがもっと優しくなってしまうのがこわくて、優しさの出し惜しみをしてしまう。力を抜いてレモンを絞るみたいに。トパァズ色の

          ひとにやさしくされるのがこわい

          まるでそこは文字通り別の大陸

          日本を離れない長期休みは大学に入ってから初めてで、なんだか心が落ち着かない。海で閉ざされた国に生きているという事実にひたすらに焦らされて、必死に外国との扉を探す。そんなわけで、せめて食だけでもと各国料理のレストランをめぐる生活を、年明けごろから始めている。今日訪れたのは吉祥寺『アフリカ大陸』。その名の通り、日本では珍しいアフリカ料理を提供してくれるレストラン。 赤と緑の原色で光る看板の横、矢印の先に存在する『パラサイト』を想起させるような階段に、みぞおちのあたりが少し冷え

          まるでそこは文字通り別の大陸

          ちっぽけなひとりの人間、だけれど

             ここ数日の中東情勢の緊張が、とにかく怖くて仕方がない。日本語の情報だけでは補いきれないからと英語と仏語で執拗に拾い集めた断片的な情報は却って不安を煽り立て、わたしの中で核戦争のイメージをそのキノコ雲のごとく屹立させた。  歴史という個々人の意図を無視し独りでに闊歩する生物を前にしたときの無力さ、そして何度殺戮しあっても学ぶことのできない人間のどうしようもない程の愚かさ、すべてが頭の中で哀しげに踊り狂い、わたしにできるのはその踊りをただ愕然と眺め続けることだけだった。

          ちっぽけなひとりの人間、だけれど

          1/1 年が明けた日の真夜中の祈り

          年が明けるとかどうでもいい。 だってそんなの誰かが勝手に決めた区切れ目でしかなく、時間がたまたま今日で区切られ新年だと定められているだけのことじゃないか。などと胸に棲む捻くれた小人が独り言ち、わたしもそんな言葉に流され気づけば波間をぷかぷかと漂っている。だから大晦日に向かって走る日々は毎年どうにも心もとない。 時間ばかりが過ぎ去って心はどこまでも紅葉の絨毯の上に置いてけぼりにされているような心地。 そんなわたしを引き戻すのは、大好きな人たちからの新年の挨拶と、画面越しに広

          1/1 年が明けた日の真夜中の祈り

          こぼれ星についての散文

          人生というのは流れ星のようなものだと思う。夜空を眺めながらぼんやりとそんなことを考える、ふたご座流星群が一番よく見える日。とは言ったものの、やはり都会の夜空は無数の電灯でその黒の濃度を落とし、そのせいか10分間も寒空の下で立ち続けているのにひとつしか流れ星を観測できていない。ひとつ見えたら帰ろうと思っていたのに、一度見たらその場から離れられなくなってしまい、身体を冷やさないようにと持ってきたホットミルクもとうに冷えきって、液化した冬の風が胃の壁に浸み込んでいくのがよくわかる。

          こぼれ星についての散文

          蛹の部屋

          深夜二時、自室のベッドの上であたしは爪に色を乗せる。顔には真っ白なパック、前髪はキャラもののヘアピンで無造作に止めてある。枕元には剃刀、眉ばさみ、保湿クリームが散乱している。あたしには週に一度、こんな風に部屋で生まれ変わる準備をするのだ。 黄緑に塗られる爪を見ていたら、小学生のときに育てたアゲハチョウの幼虫を思い出した。たやすく潰せてしまいそうな緑と橙の柔らかい身体も、ふいに威嚇として放出する強烈な匂いも、あの頃のあたしには愛おしく思えたのだった。今となっては、もう触ること

          蛹の部屋

          最近読んだ本 まとめ

          ①すべて真夜中の恋人たち/川上未映子(講談社文庫) 真実の恋、ってなんだろう。価値のある恋、ってなんだろう。いい恋、ってなんだろう。長く付き合えばそれは「いい恋」なのか?身体の関係があればそれは「立派な恋」なのか?失った恋は「無意味な恋」なのか? この本は、それらの問いに静かに答えを提示する。「どんな結果になったとしても、心の底から誰かに焦がれたならば、それは真実の恋なのだ」と。たとえその恋が実らなくても、結果的に失ってしまったとしても、誰かのことを想い流した涙、締め

          最近読んだ本 まとめ

          アラジン"Speechless"、和訳してみた

          ※この記事は六月に書いたまま下書きに保存していたものです。 映画アラジンを観てものすごく胸を打たれた新曲、”Speechless”をわたしなりに想いを込めて和訳してみようと思います!めちゃめちゃ意訳ですが、ジャスミンの意志が伝わるように工夫したので目を通していただけると嬉しいです。 *** Here comes a wave Meant to wash me away A tide that is taking me under Swallowing sand Left

          アラジン"Speechless"、和訳してみた