こぼれ星についての散文
人生というのは流れ星のようなものだと思う。夜空を眺めながらぼんやりとそんなことを考える、ふたご座流星群が一番よく見える日。とは言ったものの、やはり都会の夜空は無数の電灯でその黒の濃度を落とし、そのせいか10分間も寒空の下で立ち続けているのにひとつしか流れ星を観測できていない。ひとつ見えたら帰ろうと思っていたのに、一度見たらその場から離れられなくなってしまい、身体を冷やさないようにと持ってきたホットミルクもとうに冷えきって、液化した冬の風が胃の壁に浸み込んでいくのがよくわかる。