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主宰するインナーギャラクシー・オーケストラ(結成40周年)の指揮をする作編曲家 三木敏悟さん

JAZZを愛する人、音楽を愛する人ならTVや映画やCMで一度は聞いたことがあるだろう作編曲家であり、40年間に渡りジャズオーケストラ”インナー・ギャラクシー”を主宰する三木敏悟さんにお話を伺うことができました。音楽に全身全霊を尽くす人のあり方は非常にシンプルで且つ美しいと感じます。是非お楽しみ下さい。

プロフィール名前:三木敏悟(Bingo Miki)出身地:香川県高松市居住地:東京都職業:作編曲家経歴:1946年満州に生まれる。国際キリスト教大学(ICU)卒業後ウイーンとボストンの音大で作編曲とサキソフォンを学ぶ。 帰国後、高橋達也&東京ユニオン・オーケストラに入団。1977年初の書き下ろし作品「北欧組曲」を発表しジャズディスク大賞日本ジャズ賞を受賞。 翌1978年、自己のビッグバンド「三木敏悟&インナーギャラクシー・オーケストラ」結成。同年発表した「海の誘い」は再度ジャズディスク大賞を受賞、日本のトップ・バンドリーダー/作・編曲家に選出される。 米英でも現地のトップ・ミュージシャン等と活動を行い、国内外のジャズ・フェスティバルでは激賛される。日本を代表するビッグバンド・リーダーとして高い評価を受けている。 他に、映画、テレビドラマ、ドキュメンタリー番組等のテーマや主題歌、背景音楽を担当。 ジャズに限らず、クラシックから演歌までカバー範囲は広く深い。 講演、講師、クリニシャンとしての経験も多く、山野ビッグバンド・ジャズ・コンテストの審査員を40年間続けている。座右の銘:OVER THE DELIGHT(悦楽の彼方へ)


記者:この度はコンサート前のお忙しいところ、ありがとうございます。本日はよろしくお願い致します。

三木敏悟さん(以下 略称):はい。よろしくお願い致します。


己れの真の桃源郷で生き死にすること

Q.三木さんが現在描かれていらっしゃる夢や、ビジョンについて教えてください。

三木:あれが欲しいこれが欲しいとか、ああなりたいこうなりたいというのは、現状に対する不満からの脱却欲望であって、「夢」ではありません。 

記者:なるほど。

三木:自分にとって本当の夢とは何なのか?
それを明らかににするために人生をやっているのだと思います。
 

私の場合は、

「己れの真の桃源郷で生き死にすること。」 

かな。

記者:本当の自分自身を知り、それを実現することというのを、三木さんは音楽でなされていらっしゃるのですね。真の桃源郷で生き死にするというのはまるで悟りの境地のようです。非常にシンプルで美しいです。


頭と体、感覚と知性で正否を確かめながら

Q.それを実際にどのような形、あるいは方法で実行していますか?

三木:そんな調子ですから、はっきりしたロードマップはなかなか示すことはできません。目前の問題や課題に取り組みながら、情報や知識の意味を感じ取ることしかありません。 

それは100%自身の責任ですから、権威や周囲の意見や評価に付和雷同することなく、いつも自分の頭と体、感覚と知性で正否を確かめながら事に当たること、です。

記者:周囲の意見や評価に付和雷同することなく...ですね。身をつまされる思いです。おっしゃるそのままを復唱させて頂きたいです。


皮膚と体で感じられるように

Q.三木さんが日々活動される中で、指針とされていらっしゃることは何でしょうか。

三木:新しい経験や知識・現象については、いつも頭をフル回転させながら対処するも、決して頭で理解しようとはしません。

記者:なるほど、頭で理解しようとせず何によって理解されますか?

三木:自身の皮膚と体で感じられるようにします。 

記者:"皮膚"と"体"ですか。敢えて分けられるところに驚愕しますが、どんな時にも"感じる"ことが出来るように一瞬一瞬の出会いを大切にしていらっしゃるのを感じます。

三木:常に新しい発見や見直し、考え違いが多くあります。

「十人十色」と、
「所変われば品変わる」

の事実に、いつも「へえ〜そうなんだ⁉️」の連続です。 

記者:いつでも考えを見直す事のできる柔らかさが、名作曲家を生む基本でしょうか。自分の考えにハマっているようでは、「へえ〜そうなんだ⁉️」とはならないですものね。私も鍛錬しないと。


めくるめくような音楽の悦楽と

Q.幼い頃から変わらない、或いは大事にしていらっしゃる事はありますか? 

三木:全くありません。癖や性癖、嗜好や志向、美醜の感じ方や判断力(美学)まで常に変化しています。

記者:全くですか。そうですね、確かに判断は常に変化します。

三木:そんなわけで、特定の科学や芸術、医学、哲学や宗教、倫理や原理的なロジックに強い影響を受ける事は昔からなかったように思います

記者:だからこそ今のような三木さんになっていらっしゃるのですね。

三木:はい。ただ、めくるめくような音楽の悦楽と、いつまでも記憶に残る香りや味覚の世界だけは、生活の環境や次元を超えて、明らかに確かに信じられる世界です。 

記者:恐れ入りました。三木さんの音楽のエッセンスなるものと通ずるお話しのようですね。もう少し詳しくお話しを伺いたいです。

音楽家BINGO MIKIの道

「好きなんだよ!」と公言して

Q.三木さんが音楽の道を選ばれたきっかけは何でしたか?子どもの頃に影響を受けたことなども教えてください。

あの日あの時に
「音楽の道を選んだ!」
という事は全くありません。
音楽の素晴らしさに憑かれて、必死になって追っかけていたらいつのまにか50年経っていた!
という感じです。

私が幼少の頃は、音楽は男の子がやるものではなくて、ほんの一部の富裕層の女子がやるものでしたから、音楽が好きだということをひたすら隠して、密かに電蓄を組み立てて聴いていました。 

記者:三木さんの幼少時代は、音楽は富裕層の女子のものだったのですね。そういった時代の中で電気蓄音機を組み立ててまで音楽を聴かれていたというのですから、三木さんが音楽家としての道を歩まれるのはその時から始まっていたのですね。音楽の道に進まれようと決められたのはいつ頃だったのですか?

「好きなんだよ!」と公言して堂々と音楽に取り組んだのはジャズと出会ってからです。
19歳ぐらいからかな。 

音楽の聴き手から演り手、あるいは作り手になっていくのは極めて自然な変化でした。 

当時はジャズの勉強を日本ですることは難しく、本格的にやりたい人達にとっては、アメリカやヨーロッパに行って勉強するのが夢でした。それで日本の大学を出た後、ウイーンの音楽院やアメリカの音大に入りました。 

記者:日本の大学からヨーロッパやアメリカとその当時で考えたらもの凄いことですよね。

三木:そうかもしれませんね。帰国当初はサキソフォン奏者として楽団に所属し、TV番組やイベントに出演していました。

記者:某オーディション番組ですよね。私は小さかったですが、TVで見ていました。

三木:見ていたんですね(笑)。

やがて自分自身の作品を好きなように演りたくて、ジャズ・オーケストラ「インナーギャラクシー・オーケストラ」を結成しました。以降40年間、作・編曲・指揮者としての活動を続けています。

記者:この"インナーギャラクシー"というネーミングも美しいと思います。どんな意味がありますか?

三木:これは、当時マネージメントをしてくれていた大学の先輩がつけてくれました。

人は皆、心の中(インナー)に無限の空間と時間、つまり銀河を持っている。で、
『インナーギャラクシー・オーケストラ』です。

記者:素晴らしいです。ギャラクシーはアウターのイメージだったところを、心の中、インナーにしたということでしたよね。私も心の教育をテーマにしているので、このネーミングに釘付けになりました。ありがとうございます。

インナー・ギャラクシーオーケストラ

結成40周年記念に向けて

Q.それで、三木さんのご活躍について伺いたいのですが、デビュー40周年を迎えられて、今思っていらっしゃることや、予定されていらっしゃることはありますか?また、プロデュースされているグループについての思いや期待されること、スケジュールなどありましたら教えて頂けますか?

三木:今年は結成40周年記念のコンサートやレコーディングを計画しています。 

記者:是非たくさんの方に聴いて頂きたいですね。

三木:ありがとうございます。他に、気に入った若い歌手やバンドのプロデュースも手掛けています。音楽のジャンルやスタイルはクラシックから演歌まで何でもござれのオールラウンド。 

来たる5月9日には六本木のCLAPSというライブハウスで映画音楽やオリジナル曲をプログラムにした素敵なバンドのコンサート・ライブを演ります。 

記者:シネマ・パラダイスですね。私も2回ほど、友人と一緒にコンサートに伺わせて頂きました。ボーカルの別宮あいりさんの声はとっても素敵ですよね。バンドの皆さんもとっても魅力的です。

三木:ありがとうございます。
シネマ・パラダイスは数年前からプロデュースしている若者達のバンドで、間違いなく次代のトップ・ミュージシャン達です。
皆様で、また是非いらしてください。 


Bingo  Miki PresentsA Live in A Happy New Era.The Cinema Paradisefeaturing  Airi Beck2019年5月9日(木)OPEN  18:30 START 19:30六本木CLAPS  http://c-laps.jp/港区六本木3-16-33青葉六本木ビルB1地下鉄日比谷線六本木駅 徒歩5分ご予約・お問合せ CLAPSTel:03-5485-5771(月~金/12:00~18:00)Tel:03-6441-3171(公演当日15:00~)http://c-laps.jp/events/190509_bingo-miki-presents-the-cinema-paradise/料金 4.000円(税込)1ドリンク別途700円自由席出演Gt.ヨシロウ・クロサワ(ヨシロウ)A &E.b.フランク・M・コッポラ(フランク三浦)Pf.アッコ・ビスコンティ(外山安樹子)Vo.アイリー・キューブリック(別宮あいり)Tp.ナイト・シャマラン・マコ(石井真)Special SupportJun Saito   Dr.&Perc.



耳の記憶は一生残ります

Q.最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

三木:読者の皆様には、音楽には是非とも生で触れて(聴いて、観て)欲しいと思います。耳の記憶は一生残ります。

記者:是非たくさんの皆様に音楽のすばらしさに触れて頂きたいですね。今日はコンサート前のお忙しいところ、本当にありがとうございました!


◎三木敏悟さんの詳しい情報はこちら

株式会社 トリプルハーツ
http://triplehearts.jp/


【編集後期】インタビューを担当させて頂きました澤田です。三木さんのお話を何度かお伺いする機会に恵まれ、今回やっとインタビューに応じて頂けました。音楽が三木さんの人生そのものであることをひとつひとつのメッセージから感じさせて頂きつつ、音楽に向き合う姿勢と同時に人と向き合う姿勢も真剣そのもので、私自身も本気で向き合う心があるか否かと自身を試すようでした。明治生まれのご両親のもと戦後すぐに満州で生まれ、海を渡り日本に戻って来られたた三木さんから生まれる言葉と音楽の背景には、海であり命の尊さを繊細に丁寧に感じられる感性を自ずと育まれていかれるシナリオが描かれていたのではないかと感じます。インナー・ギャラクシーオーケストラ結成40周年、本当におめでとうございます。


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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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