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"旅"と"出会い"は創造の原点。人と自然を繋ぎ時空間をアートする即興ピアニスト 重松壮一郎さん

長崎と日本各地、そして世界を行ったり来たりしながら出会いとご縁で人と自然を繋ぎ音楽を紡ぎ上げるピアニスト重松壮一郎さんにお話を伺ってきました。

プロフィール名前:重松壮一郎 
職業:ピアニスト / 作曲家 / 即興演奏家
居住地:長崎県 佐世保経歴:1973年 大阪生まれ、横浜育ち。長崎県佐世保市在住。早稲田大学社会科学部卒。 クラシック、ロック、ジャズなどを経て、即興演奏とオリジナル曲を主体とした独自のスタイルで、全国・海外にて年間150回近いライブを行う「旅の音楽家」。 アメリカ、オーストラリア、タイ、イタリア、オランダ、ベルギーなど、海外でも多数公演。 「生きとし生けるものすべてに向けた音」をテーマにしたオリジナリティあふれる楽曲、人と自然をつなげるようなオーガニックな音色、祈るような演奏スタイルで、ジャンルや年代、国境を超えて、人々を魅了し続けている。

グローカルな活動

Q.現在、重松さんは夢や、ビジョンを描いていらっしゃいますか? 

重松:グローバルとローカル、グローカルな活動ですね。

普段は一年中日本各地を飛び回って演奏活動しています。それと同じくらい気軽に、国境を越えてグローバルに活動したいと思っています。

記者:そういえば昨年ベルギーの街で屋外のピアノで演奏されていらっしゃいましたよね。あのピアノは演奏のために設置されたのですか? 

重松:観ていただきましたか。あれはイベントなんですよ。一ヶ月くらい街中に6ヶ所ピアノを置いて、自由に弾いて良いというイベントでした。向こうはそういうのが昔から当たり前ですね。僕はその情報をネットで見つけて「日本から行きます」とコンタクトをとって弾きに行きました。

記者:ご自身で連絡をされて行かれたんですね!?自発的ですね!

重松:そうですね(笑)。基本的には自分で全部やっていますね。

記者:自ら出会いに行かれるのは素晴らしいです。
「旅の音楽家」とおっしゃる所以でしょうか。

重松:そうですね。一ヶ所で長く活動してしまうと皆さんに来て頂かなければならなくなるので、参加が難しいという方も多くなります。ですから、僕自身が行って、いろんな人に出会って、その出会いの刺激で創造されていくそのものをアートとして捉えているんです

記者:なるほど。

重松:そして同時にグローカルでありたいので、今住んでいる長崎で、草の根的でローカルな活動に尽力したいというのもあります。もっと街に文化芸術を根づかせて、子どもたちに音楽やアートに触れて育っていってほしいです。

記者:共感いたします。具体的にはどのような活動をされていらっしゃいますか?

重松:依頼を受けて演奏することも多いですが、野外コンサートや、平和コンサート、アートイベントなどを、自ら企画/主催しています。

年に1、2回大きなプロジェクトをやっています。長崎市のキャンプ場で野外フェスを企画しています。これは大人向けではなく子供が楽しめるイベントなんですね。あとは街の美術館でアートイベントをしていますね。

記者:確認になってしまいますが、こういった企画もご自身でされるのですよね。

重松:そうですね。たとえば美術館の館長さんが「この期間に空いてるから何かやりませんか?」と言ってくれたりするので、「じゃぁ企画を立てます。」と言って、子供たちがアートや音楽に触れることのできるイベントを企画しています。

記者:やはり素晴らしいですね。演奏家でいらっしゃって企画から全てに携わるのは半端な心ではできないと思います。重松さんのそのフットワークの軽さや自発性はお子さんの頃からなのですか?

重松:そうですね(笑)。子どもの頃からだと思います。創造欲求と表現欲求は確かにありました。無意識のうちに、とにかく創りたくて表したくて、創り続け、ステージに立っている。そんな子どもでした。

記者:すごいですね(笑)。創るだけでなく、人前に立つこともされていた感じですか?リーダー的な役割などもされていたかと感じますが。

重松:そうですね(笑)。学級委員や生徒会長、卒業式のピアノ伴奏などもしてましたね。

記者:本当に何でもされるのですね!(笑)。


理想的な音楽ホールやギャラリーと

芸術が日常にある生活を

Q.目標や計画などはありますか?(1年後、2年後、5年後など)

重松:来年にはまた新しいアルバムをつくりたいですね。あとは、海外に住んだことがないので、死ぬまでに住んでみたいです。

何年か前にイタリアに行ったんですけれども、文化芸術が生活の中に当たり前のようにあって、日本もそうなっていったらいいなと思いました。日本でも出来ますがどうせなら向こうにも住みたいなと思いますね。

記者:確かにイタリアやヨーロッパは芸術が日常に根づいていますね。

重松:あとは僕は寒いのが苦手なので、暖かいところに行きたいというのがありますね。毎年夏はオランダに行くんですがオランダは夏は涼しいんですよ。冬は沖縄、夏はオランダ。そういうのもありますね(笑)。

記者:暖かいのがお好きなんですね。

重松:はい(笑)。

記者:ところで、重松さんは自然の中や野外で演奏されるイメージが強いですが、その点で何か目標とされていることなどはありますか?

重松:自然の中の、理想的な音楽ホールやギャラリーを作りたいですね。僕はピアノがないと表現できないので、ピアノがあるスペースが出来たらと思います。

記者:重松さんのコンセプトにあった空間づくりですね。

重松:そうですね。


Q.重松さんの活動指針、またどのような活動をしていらっしゃいますか?

重松:僕は少しでも多く、自然の中で楽しめるコンサートを企画したいと思っています。森や風や鳥の声と溶け合うピアノの音に身を浸して、

「ああ、自分は生きているんだ、生かされているんだ」と感じて欲しい。

自分を解放し、本来の感覚を取り戻して欲しい。そして日常に戻った時にも、その「共生する感覚」を持ち続けていれば、僕らは共生していけると思っています。 

記者:本来の感覚を取り戻すことはとっても大切なことですね

【重松壮一郎さんの行動指針】
・自分の音楽活動が、自分のためだけではなく、この社会や地球、聴いてくれる一人一人のためにもなるものであること。
・人間だけでなく、生きとし生けるものすべてに向けて音を紡ぐこと。
・今、ここで聴いてくれているあなたと、音で通じ合うこと。
・この社会や、市民にとっての文化芸術の存在意義を伝えること。


自分のオリジナルと、即興演奏のみで活動しています。

記者:重松さんと言えば即興演奏ですが、なぜ即興なのでしょう? 

重松:即興演奏は多くの人にとって馴染みがないものですね。でも僕らは誰も台本通りには生きてはいません。みんな即興で生きています。即興演奏もそれと同じことで、もっとも自然な創造行為、表現方法だと思うんですね。

即興演奏は、真っ白なキャンバスに絵を描くように、何もないところから、音を生み出していくものです。

それは、僕がただ自分の世界に没頭していく行為ではありません。

今、ここに僕がいて、あなたがいて、
二度とないこの瞬間があって、
その時間・空間から、生まれてくるものです。
それは芸術の原点であると思う。 

記者:出会いの瞬間に紡がれる何かが即興を通して作品となるのですね。それが芸術の原点だということですね。

重松:そうですね。

記者:”旅の音楽家”のメッセージが深くなりました。そして、重松さんはオリジナル曲も弾かれますがこちらについてはどのようなメッセージがあるでしょうか。教えて頂けますか?

重松:オリジナル曲は僕が僕であることの証明でもあります。他人のふんどしで相撲を取ろうとは思わない。そういう姿勢は、あらゆる表現者にとって大切なことであると思っています。

記者:なるほど。


「やりたいことを仕事にする」

「好きなことをして食べていく」

Q.ピアニストとして活動されるきっかけや、出会いなどがありましたら教えてください。 

重松:30歳までは会社勤めをしていました。

「30で辞めて、音楽で食っていく」

パッと切り替えて、ツアーに出ようと決めました。最初の夏に熊本に行って、そこで出逢った歌手の女の子と演奏したら、その子から「もっと一緒にいたいけど明日からニューヨークに留学するから、あっちで企画するのできてください」と言われたんですよ。それでその年の冬にはアメリカにいたんですね。それがきっかけですね。

記者:音楽家でいくと決めたところから”出会い”や”旅”が始まっていたんですね。ご縁で道が拓かれていくということですよね。

重松:そうなんです。まわり道はしましたが、この道で生きれていることは本当に幸せだと思います。昔は、そんなこと言ってる余裕がなかったと思いますが、幸運にも、今の時代はそれが可能になっています。

記者:好きなことややりたいことを仕事にするというのは、今の若者たちには心強いメッセージですね。

重松:「大変だからやめておけ」「夢なんて叶わない」という圧力は思春期の子どもたちを苦しめていると思います。確かに、好きなことで食べていくのは大変です。

それでも、我が子のために、すべての子どもたちのためにも、好きなことで食べていけることを、体現する存在であり続けたいと思っています。

記者:理想的な大人のモデルですね。


創造力でブレークスルーする

Q.最後に読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

人生で本当に大切なものは何なのか、私たちはどのように生きていけばいいのかが、いま問われています。

古い価値観から私たちを解き放ち、「創造力」で、この世界をブレイクスルーしてゆく。
創造力」は、「生きるための芸術」です。それは、大人と子どもがともに学び、創造していく芸術です。そもそも芸術は、芸術家や、一部の愛好家のためにあるのではなく、すべての市民にとって大切なもの。生きることそのものに問いかけ、何が本当に大切なのか、答えを導く手段です。本当の心の豊かさをもたらすような、今の社会問題を乗り越えるヒントになるような、芸術文化を根付かせることは、とても大切なことです。

だから、全ての人に、もっと生のアートに触れてもらう機会を作る必要があります。特に、これからの未来を作ってゆく子どもたちに伝える使命を、私たち大人は持っています。

人は自然から離れるほどに、傲慢になり、お金や人間関係や社会との関わりのことで悩むことになるでしょう。

ずっと紡がれてきた生命の連鎖の中に自分が生まれ、自分の人生を紡ぎ、また次へと繋いでいく。今日という日、今日生まれる音はその大きな川の流れのほんの一瞬にすぎないかもしれません。でもその一瞬を、音楽を通して皆さんと分かち合えることに、心から感謝して、これからも邁進したいと思います。

僕の活動に興味持たれた方は
ぜひ気軽にご連絡ください。
あと、ぜひライブにお越しください!

記者:ありがとうございます。
次回東京でのライブは5月12日(日)ですね。


◎重松壮一郎さんのライブ情報はこちらをご覧下さい。


【編集後記】
今回、インタビューさせて頂きました澤田、大藤、杉本です。重松さんのお話を伺いながら、非常にゆったりとした自然やアートの中で活動されるに相応しい雰囲気をお持ちでいらっしゃるのを感じました。グローカルな活動ということで、国内外にご縁を紡いで、ご自身で企画をして演奏までされるのはブレない基本活動がおありになってのことだろうと察します。未来の子供たちに「好きなことをあきらめないでやってほしい」と願う重松さんのメッセージをたくさんの方々に届けたいですね。ありがとうございました。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。



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