WJ感想(2019年12号)

仕事でまたでないといけないので、今日はタイムトライアル。20分くらいで書き上げてみます。いつも以上に推敲なしですがご容赦を。

ハイキュー。ぬるっと「小さな巨人」が出てきました。しかもキャラデザも地味目、普通のパーカーにもさっとしたくせ毛の大学生。めっちゃ拍子抜けです。完全に意表をつかれました。たぶんこれが中途半端な実績のスポーツ漫画であれば「なんだかなあ」だったのかもしれません。でもこれは「ハイキュー」。丁寧で地に足がついた作風に絶対の信頼があり、週刊少年ジャンプの準看板作品として8年目に突入した無敵の実績を持つ作品です。ハイキューの小さな巨人がこうであるなら、こうでいいんだ、という無敵の説得力を感じます。

大なり小なり、スポーツ漫画を読んできた我々。もしくはリアルスポーツを目にしてきた我々としては、「学生の時から活躍して、プロへ。いつかは世界へ。」というビックドリームに絶対の価値観を持ってしまうところがあります。大空翼は日本をワールドカップ優勝に連れていってくれそうだし。桜木花道はいつかNBAで戦えそうなポテンシャルを感じさせてくれる。リアルでも高校野球のスターがプロで活躍し、いつかはメジャーへ、という夢を我々は観ることが多い。

でも、それがすべてじゃない。「プロとか先は想定しないけど、学生の時に夢中に取り組んだこと。」にだってドラマがある。少年漫画の主人公だからといって「プロになる宿命」が不可分なわけじゃない。

日向、なんだかんだいって彼は「プロになるタイプ」の主人公だとは思っていました。その可能性もかなり高いです。でも彼なら違う道を行っても「ハイキュー」という作品を綺麗に完結させることができる。影山はバレーと心中した方がいいキャラですが、日向は違う。セッターとして明らかに世界を意識すべき才能を持つ影山がプロとして活躍する中、ふと回顧する存在、それが日向翔陽、そういう完結のさせ方でも美しいのだろう。ちょっと妄想が強めです。

黒子のバスケはとても良い作品なので、未読の方にもおすすめ。

火ノ丸相撲。こちらは逆に「プロに行かなければ物語として美しくない」作品でした。横綱までいくべきかどうかは別。横綱を現実に目指し得るところまでが作品として描写すべき終着点でしょう。

今週の火ノ丸は最高でした。主人公の相撲部屋に所属する兄弟子関脇という、物語の都合上配置されたキャラ、という印象しかなかった人が、とてつもなく重い役割を担う。いっきにストーリーの中心に入ってくる。不意をつかれました。そしてすげえカタルシスがあった。冴さん、別に大きな挫折があったとか、大きなエピソードがあったとか、そういうのはないのに、ちょっとした苦悩と決意と愛情でもの凄く見せてくる。

堀ちゃんの涙で効果は3倍増ですよ。堀ちゃんも「途中加入の相撲部マネジ。主人公に好意はあるけど、メインヒロインの背中を押す役。卒業後も角界に関わって賑やかし要員」みたいな、とりあえずいてくれれば華やかになるね、くらいに配置されたキャラだったんです。その彼女だけが冴さんの想いを全て汲めていた。ひっそりと涙する彼女。ニクいのが、彼女と冴さんのフラグは全く明示されていない。ジャンプ本誌をさらさらと読んでいるレベルだと、この二人の事は脳裏に全く残らないと思います。そんなさりげなさ。でも堀ちゃんが冴さんの言動を把握している描写はちょこちょことあったんですよね。でもそれもさりげない。堀ちゃんに恋愛感情があるかどうかすら確定できない。ジャンプという「パワー勝負」に勝てなきゃ連載サバイバルができない雑誌で、こんな細やかな仕込みを入れている川田先生はホント凄い。

25分たってしまったので、今日はここまで。連載陣の構成的に、もう1作スポーツ漫画があるとバランスが良くなるのでしょうが、GIGAなんかを見ても、スポーツを描く人の弾が不足しているような印象を持ちます。ちょっと厳しいかなあ。







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