深追いしても火傷しない日米摩擦

米国の中間選挙は大方の予想通りの結末で、報道を見ても新味はない。注目したいのは貿易摩擦の行方。もともと、労働者の側に立つ民主党は”貿易摩擦好き”だ。これは過去の日米摩擦を思い起こしても、民主党政権下で燃え盛り、共和党政権下で下火になる歴史だ。だから、トランプ政権が民主党と協調路線を取りたい場合、「貿易摩擦」でタッグを組むシナリオが最も考えやすい。

その際、米中の摩擦は要注意。米国のヘゲモニーを打ち砕こうとする習近平国家主席の「中国製造2025」路線にはどの大統領でも、共和・民主いずれの政党でも厳しく当たるのは確かだ。だが、深追いすると、世界経済の動揺を招くほか、経済問題が政治問題、ひいてはきな臭い展開まで呼び起こしかねない。

となると、標的は同盟国の日本になりやすい。「安倍晋三首相は最も親しい仲にある一人」としつつも、「日本は米国を貿易で不公平に扱っている」と再三伝えているとトランプ大統領は強調する。対日赤字幅や自動車関税など事実誤認による指摘も多いものの、「日本ならさほど深刻な喧嘩にならず、”おみやげ”となる譲歩も引き出しやすい」との打算も見え隠れする。

深追いすると火傷する米中、深追いしても火傷しない日米ーー。円相場など為替相場を見るうえで、そんな視点がしばらくは通用しそうだ。

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