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もう叶っていた。

小さい頃から「作家」に憧れていました。

もう少し詳しく説明すると「人里離れた森の中で、自分の思うままに物語を紡ぐ生活」にあこがれていました。

ムーミン谷での暮らしのような。

子どものころに読んだ、コケモモの葉の下で暮らすトロルのような。

コロボックルの存在を確かに感じられるような。

ひっそりと満ち足りた、自然とつながって恵みを得る生活。

その気づきや幸せを自分だけの言葉で綴る人生。

願わくば、ピーターラビットの作者のような。

そしてふと気付いたのです。「あれ?もう叶っているじゃないか」と。

正しくは「まさに思い描いていた通りの環境にいるじゃないか。あとは私が文章を綴りさえすれば叶ったことになるじゃないか」と。

例えば「私が好きに綴った文章が人に認められて」「出版社からスカウトされて」「その作風が世間にも認められて、自分のペースで出版するにもかかわらず、想像以上に利益をあげちゃったりして」「世間的にも<作家>と言われて、取材なんか受けちゃったりして歴史に名を残して」なんて言い出したらもう完全にアウトですが。(どんだけ欲深いねん)

でも本来の望みである「自然に囲まれたお気に入りの家で、自然と対話しながら文章を書き、思想を深める静かで満ち足りた生活」は私が指先一本動かせばできることでした。そして今まさに叶えている最中(この文章のどこに自然の精霊との対話が。気付きが。)

「願いを何でも叶える魔法のランプ」や「必要なものが何でも出てくる革の袋」はおとぎ話限定のアイテムのようで、実は本当にあるのよ、あると思った瞬間からあって、それをコツコツ重ねていくだけなのよ、と思いました。


・・・・・・・・・・・・・・。


もちろん「自然に囲まれた田舎暮らし」の実情はひたすらハード。

自然サマは容赦ない。まだ冬は寒くて寒いくらいで、廊下に出るのに勇気がいるとか、水道管が凍って水が出ない朝が油断したころにやってきてまいっちゃうわとか、落ち葉や山茶花の花びらが掃除しても掃除してもふりつもる、くらいでイケる。まもなく訪れる草も虫もガンガン湧いてくる春夏秋のことを思うと冬なんてあったかい。(言葉の矛盾!)

「自然は惜しみなく与え、容赦なく奪う」。

これが私の素直な感想であり、感嘆であり賛美です。

ここに暮らしていると、自然と神が同義語だった昔の人々の気持ちにより近くなる気がします。

あとハロウィンのモチーフにやたらめったらカボチャと蜘蛛が多いわけがよーくわかる。ほんとに多いよ、あの時期。


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