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VOICARION Ⅹ 大阪歴史絵巻 孔明最後の一夜

1/16,17に大阪新歌舞伎座で行われたVOICARIONの新作朗読劇の配信を見ました!(16日夜公演)
今回も泣ける話でした~。戦国武将もいいけど、三国志もいいよね!改めて思いました。雑学知識もあると、より一層、創作が楽しめるという観点からもある程度、勉強しといた方がいいよね~と大人になってから思うのです。
さてさて、いつも通り、役者さんごとの感想を(敬称略)
あくまで個人の感想なのでぬるっと。以下、内容を含むネタバレがあります。ご注意を。

諸葛亮孔明/諏訪部順一
前回のホムンクルスと同じく、晩年の主人公が過去を回想するシーンから始まるので、すでに孔明は病に冒され、死期を悟ったところから始まります。
いや、もうこれすでに悲しいんですけど…
咳をしながら喋るシーンが本当にそれで、役者さんってすごいなぁと思いました。病気は演技と孔明は言うけれど…
私は過去の蜀パートがめっちゃ好きですね。劉備と関羽と張飛と孔明のやりとりが本当に面白く、楽しく、しかしそれゆえに自分以外、全員死んでしまったという悲しみが死期の迫った孔明にのしかかってくるんですよね。
特に燃やすと臭い葦を焚いて涙するとこなんてねぇ、煙が目に染みたって言いますけど、

あんた劉備のこと思い出してたでしょ~~~~~(クソデカ声)

って思っちゃいましたよね。
諏訪部さんは今作でもやたら火を起こしてました。軽率に燃やすね(笑)
1幕が孔明のこれまで(回想)、2幕が本当の孔明最後の1日でした。たくさんの戦友を失ってしまったから、今度は命を救う計略を立てるっていう孔明の生き方がいいですよね。いわゆる、負けて勝つっていうか。
やっぱり、死んだら終わりなんだ、っていうのを孔明は人生をかけて学んだわけですよね。”子供のいたずら”とか"嘘をつく(騙す)”とかまさしく、兵法書には載っていない正攻法じゃない戦い方。それでも、仲間を”生かす”という目的の下に戦ってたんですね、孔明は。
後半、いよいよ孔明の病が進行してきたとき、咳き込んだ孔明が確実に血を吐いたのが分かったシーンがあって、諏訪部さんすげぇぇぇってなりました。絵がないのに、実際、血は出てないのに。
最後の戦いの曹操とのやりとりもよかったです。煽りに煽る孔明と賢明な判断で乗らない曹操(だけど、めっちゃ揺さぶられている)この構図が最強でした。山寺さんと諏訪部さんだから成り立った演技だと思います。
今までずっと自信家で通してきた孔明が「死ぬのが怖い…」と姜維に言うシーンが今までとの落差ですっごい心にキました。この命の灯が消えた先の暗闇に何があるのか…。最後の望みが手を握っていてほしい…というところ、本当に、孔明もやはり人の子…と思いました。いたずらっ子の死に顔。きっとあの世で安らかに劉備、関羽、張飛と口喧嘩してください。

諏訪部さんのブログもぜひ。
裏話などたくさん書かれています。素敵なお髭は自前だったようです~。

姜維・馬謖/朴璐美
孔明の優秀な部下にして、後継者である姜維。信長の犬とは主従逆転して、朴さんが諏訪部さんに仕えているという構図が新鮮でした。朴さんのオロオロしたり呆れたりしている演技を久々に見た気がします。なんか”強い人”の役柄が多かった気がするので。
姜維は孔明が病に臥せった後は、前線で戦っていたので、戦のシーンとかはめちゃくちゃ声張り上げてて、すごいなと思いました。配信で見てても「声でか…」って思ったシーン何回かありました。
私は、孔明が死ぬ前に姜維が本音を言うところ、めっちゃ好きでした。「本当は大嫌いでした~」から、「どんな兵法書にも載っていない。諸葛亮孔明が生まれたのは初めてだから」ってシーンね。誰もやってないことをやるっていうのは、生半可なことじゃないんですよ。あんなのは戦じゃないとか、言われたり、嘘つき呼ばわりされたり(実際、騙してはいるんですが)することに対しての弁明を一切、せずに死んでいく師匠を見て、この思いを自分が引き継がねば、と思うのは自然なことだと思いました。
あと、孔明が死ぬシーンは朴さんマジ泣きしてました。でも、言葉に対する乱れが一切なく、うぉ~~~~プロすげぇぇぇってなりました。
最後の戦いで天の声・孔明と会話してたのもよかったなぁ。「泣いたら私が死んでいるとバレるぞ」って言われてても泣いちゃうよね。
兼役の馬謖は、孔明が姜維に出会う前に可愛がっていた姜維に似ているという弟子。魏との戦いで、孔明の言った通りに兵を動かさず、軍に深手を負わせてしまう。軍律を守るために、孔明は愛弟子を処刑したということから、泣いて馬謖を斬る、という故事成語ができたほど。どんなに今まで功績がある人であっても、間違いを犯したら、確実に処罰しなければならないという意味です。
このことがあって、孔明は姜維を大切に守っていたんですね。間違いを犯さぬよう、自分の真意が確実に伝わるよう。純粋でキラキラしていて、生命力にあふれている若き姜維。それが、どんどん病が進行し、弱っていく孔明との対比で素晴らしく、次世代の光に感じられました。最後、「バカが」が引き継がれていくのがいいですよね。

関羽雲長/安元洋貴
安元さんの関羽めっちゃ想像通り~~~というのが、第一声を聞いた感想です。どっしりしてて、声低くて、みんなの兄貴みたいな感じ。
張飛の天然ボケにはあえて無視だし、劉備に孔明が無礼な口を利いてきたときはシャーってなるし、好きですな。あと孔明にハエ斬らされてたのワロタw
あと、関羽と言えば、立派なお髭で有名ですが、その「髭を剃れ」と言う孔明www(実際には、髭をよこせ、と言ってました)
あと、関羽と張飛は名乗りがカッコいいんですよ!(死ぬ時の戦いでしか言うシーンがないのが悲しいですが…)

突撃ィ~~~~~~~!!!!

覚悟を決めた人の声ってこんなにもカッコいいのか。
中華で一番強かったよ、関羽。蜀の3人パートはいつも楽しく、孔明が張飛をからかって、関羽が呆れて”張飛もういいんだ!”と言ったりする様を劉備が見てたり、この4人は酒でも飲んで、ずっといてくれよぉ…と思うんですが、現実はそうもいかなく。
兵たちが夢の跡、というわけなのです。

張飛益徳/山口勝平
これは元が勝平さんなのでは!?というくらい勝平さんのです。
お調子者の演技がこれ以上、できる人っているんですかね?というほどの絵に描いたようなお調子者。関羽との会話は、兄弟漫才と呼ばせていただいております。
孔明に面白いように遊ばれる演技がとっても自然で素晴らしかったです。
”5万の半分はよく分らんけど、たくさん!!!”そして、愛情をこめて”チビ”と呼んであげる(笑)孔明の言っている言葉の意味はよく分からないけど、髄系反射で”ハイッ”ってめちゃくちゃいい声で返事しちゃったりね。
もちろん、関羽と同じく戦の時の名乗りがカッコいいんですよ。勝平さんって工藤新一に代表されるクールイケメンももちろん、素敵なのですが、真骨頂はこういうお調子者ですよね。単細胞(褒め言葉)目を細めてニコッて笑うのが脳裏に残ってます。きっと孔明もそうだったのかな。
出番少ない割に、すごく印象に残ってるんですよね~

劉備玄徳/下野紘
いやっ、ちょっと待って!

すごい油断してたら後ろから刺されたんですけど!!!(萌え的な意味で)

えっ…下野さんこんなに三国志と親和性あったんですか!?
まず、衣装がめっちゃ似合ってたんですよ!
長髪のエクステつけてて、こう…なんていうんですか、中国の皇帝っぽいやつ!!(語彙…)あとで写真で見てくださいね。
最初出てきたときの「劉備玄徳でございます」のカメラ目線がめっちゃ素敵♡
こういうのは配信ならではの演出ですよね。カッコイイ~~~~
劉備は、のし上がるために出自を創作してたりするんですよね。「劉備玄徳の名、とっくに地に落ちている」とか言い方が割り切っててすごい。
関羽、張飛が孔明のことを批判的に捉える中、のし上がるために力を借りたいと素直に言ってくるところ、皇帝になる男は違うなと。てか、下野さんやっぱ普通に高貴な感じでますよね!?
曹操を倒すことに躍起になる孔明に「お前さんは曹操しか見てねぇ」ってぽつりと言う劉備がいいのよ。うっ、頭が…(BL脳)
葦は臭い作戦とか劉備が教えてくれたのよ…うっ、頭が…(2回目)
「バカだったよ、この孔明を雇ったくらいだからな」とか言い方!言い方!!!(大切なことなので2回目)そりゃ性格の悪い孔明も涙が出ちゃうよね。
あと、劉備も涙は母親の腹の中に忘れてきた、という癖に泣く(涙ぐむ)しね。劉備からも「バカが」を返されるところとか、最後の「悪い孔明は私があの世へ連れて行く。もう、自分を虐めるな」の台詞がもう、もう、うわぁぁぁぁぁぁ~~~~ってなってしまいました。
最後、死にゆく孔明の脳裏に現れた劉備が「おい、野郎ども、先走るんじゃねえやい!」と言ってくるところが、もう最高で、蜀の3人衆よ永遠に…と思いました。
元々、劉備すごい好きなキャラなんですが、下野さんのおかげでもっと好きになった♡
劉備は1幕と2幕で衣装がちょっと変わりましたね。2幕では皇帝になったので金ピカの羽織り物をお召しになってました。こちらもお似合いでした。

司馬懿仲達・曹操孟徳/山寺宏一
あの諸葛亮孔明のライバルたるもの、山寺さんでないと務まらないですよね!という感じのこちらも負けない好敵手。
曹操はかつての孔明が軍師になりたいと申し出たものの、相手にされなかった。このことが、孔明の軍師としての力を発揮させる一因になったと思います。まあ「お前さんは曹操しか見てねえ」のでw
司馬懿は、初っぱなから息子の司馬昭と竹林の刑に遭ってたりするんですが、よくも耐える。彼も負けて勝つ!を根気よく待ち続けた男。最初の竹林を馬で走るところは馬に鞭を入れながら笹の葉に当たって「アイタァ!」を入れるんですが、タイミングはアドリブなのかなぁ?山寺さん、めっちゃ上手かった。
今まで、まだまだと思っていた息子の司馬昭が立派に成長し、父の思考を読んで、さらに助けにきてくれるところとか、息子の成長を感じる司馬懿の演技よかったです。
あとは、血気盛んな息子をいさめるところとかね。とことんバカにしてくる孔明の策に感情的に乗っかることなく、冷静に判断する。でも、そんな司馬懿がやっぱり息子が絡むと冷静さを失ってしまうというのが、人情の妙ですよね。そこを利用してくる孔明は、やはり”人の心がない”と言われてしまうのでしょうが…
嫌なやつだけど、実力を存分に認めている、という点で、二人の間にはただ憎いという関係ではない、感情があったのだと思います。
どの三国志でも見たことあるシーンですが、司馬懿が「昭~~~~~」と息子を思って叫ぶ姿はよいものですね(何)

司馬昭・荀彧/島﨑信長
最初は父親の腰巾着か?と思われた司馬昭が物語終盤に向けて成長し、ラストでは孔明の後継者である姜維と対峙するなど、魏側の次世代の象徴となった司馬昭。血気盛んで、曲がったことが大嫌い(原○泰造かw)
それに象徴されるのが「怖くて戦場に来られないなら、これでも着て城の奥で震えてろ」とばかりに父・司馬懿に女物の着物が孔明から贈られてきたシーン。あまりにもバカにされている、自尊心なくして、父上はどうやって気を保っておられるのか、と激怒するシーン。視聴者側としては、めちゃくちゃ納得できる言い分なんですが、なにせ後ろで孔明がほくそ笑んでるっていうね…(笑)
ただ、最終的に息子を思うあまり、戦場に出てきてしまった父を逆に司馬昭が助けにくるのには感動しました。「父上の心を読んだのです、息子ですよ、私は」の信長くんの声がめっちゃキリッとしてて、カッコよかったのです。
あと、司馬懿と共に、孔明は死んだのか?生きているのか?と悩むシーンもよかったですね。配下から続々と集まってくる情報、どれも決定打に欠け、どちらともとれる状態。死してなお(まだ知られてはいないが)、魏に揺さぶりをかけてくる孔明の策。恐るべし。
最後、姜維と戦場で対峙し、お互いに名乗りを挙げるところが、もう叫び声に近い感じで、司馬昭の決意(父にばかり頼っていられない)を感じました。
荀彧は曹操の参謀役でした。そんなに印象に残ってないですね(スミマセン)

こんな感じで主要キャストの感想でした~
最後、緞帳が降りるときの配信カメラのアングルがキャスト陣を足からなめる感じで緞帳が降りきる最後の最後までキャスト陣の表情が見えたのがよかったです。
終演後の挨拶(紹介)MCは諏訪部さんでした。

最後にみなさんのSNSなどを。
お衣装など私の語彙が足りなかった部分を補完してくだされ~

みなさん、イメージカラーのエクステを付けてらっしゃるんですよ。
(下野さんの衣装の全景が欲しくて探し回った…青二プロさんありがたや)

私もあやふやになってるとこが多いので、もう一度、三国志を読んでみようかなと思いました。