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バリ日記4日目(3/5)

工房巡りの次の目的地は、キンタマーニ高原へ。バリ好きの弟夫婦の一押しのキンタマーニ高原。ちょっと名前が気になるけど、「ものすごく良い気が流れている」らしいので、楽しみにしていたキンタマーニ高原。

工房巡りでは、バリ絵画の工房を除くと想像していたウブドとは全く違う姿しか見られなかったけれど、キンタマーニ高原まで行く道すがら、道の両側にずらーっと木工細工のお店が並ぶ通りや、道の両側にガラス細工や照明のお店がひしめき合う通りを通った。これこれ、これが私の想像していたウブドだよ、と興奮する。

キンタマーニ高原は少し遠い。なので道中、ガイドのワヤンといろんなことをおしゃべりする。

おもしろかったのは、バリでは地方自治がものすごく進んでいるということ。というか、日本も戦前などはバリと同じく地域社会がもっとしっかりしていただろうけれど、今のバリは周回遅れで日本を逆に一歩リードした印象を受けた。

ワヤン曰く:
バリでは、国へ納めるよりも多くの税金を村に納める。村には宗教的、慣習的行事がたくさんあり、村長が指揮をとる。村長は投票制で選ばれ、カーストで選ばれるわけではないが、選ばれるためには宗教儀式、村の慣習だけでなく、村の発展に寄与するだけの先見の明と知識がなくてはいけない。

海外資本のリゾートなどがその土地に進出したいというときには、村長が検討した上で村人と何度も話し合って決定する。村にお金のゆとりができると、村の入り口に立派な門を作る。冠婚葬祭時は村人が総出でお手伝いをする。

村にちゃんと税金を納めていれば、米を作る田んぼを与えられ、それを代々父から長男へ引き継いでいく。長男が結婚すると、父は引退することになっている。お坊さんだけは世襲制だが、その他は比較的職業選択の自由がある。

などなど。

なんとなく思う。日本はとても便利で人々も一生懸命働いていて良い国だ。だけど、ワヤンの話を聞く限り、バリ島のほうが人間らしく生きている感じがするなあ……
ガイドのワヤンの話が興味深く、提携店巡りでヘトヘトになったことを入れても、このツアーに来て良かったとつくづく思う。

夫はワヤンにめちゃくちゃ馴染んでしまって、「バリに引っ越してきたら、外国人は村人になることはできるのか?」とか聞いてる。うお、夫よ、今度はバリに移住したいのか!?(彼は旅先で必ずその土地に移住したくなるという、不治の病を抱えている。でも、バリでは外国人も村人になれるらしい。平民カーストに入れてもらえて、税金を払えば田畑ももらえるそうだ。本当かな)

ワヤンの話はとても楽しい。けれど、だんだん偏頭痛がひどくなり、おまけに前日パリ・ダカール・ラリー状態でバイクに乗ったことが災いして腰痛もひどくなってしまった。なんだか体がかちこちだ。なので、次の目的地に着くまでに、私だけ車で少し寝ることにする。

ほんの少し寝ただけだったのに、目が覚めたら天気が全く変わっていた。どしゃぶりだ。弟夫婦一押しのキンタマーニなのに、日頃の行いが悪いからか、猛烈な雨。残念。

山沿いのテラス席があるビュッフェスタイルのレストランで昼食をとることになる。テラス席からはバトゥール山とバトゥール湖がかろうじて見える。白人カップルと、中国人らしいカップルがテラス席に座っている。すごいやる気に感心する。でも、雨がもうビョウビョウ吹き込んでくるし、頭も痛いままなので、私たちは店内席へ。弱気。

店員さんが優しい。頭痛も腰痛も酷いけれど、このうえお腹が空いて腹痛が出たりしたら困るので、もりもり食べる。すると、一気に頭痛も腰痛も治った。ミラクル!

気分が良くなったので食後にもう一度テラス席に出てみる。雨が少し小降りになっている。空気が冷たくて高原の風が気持ちいい。分厚い雲がときどき切れて、山並みや湖がくっきり見えるのが、奇跡みたいにありがたく思えた。

ガイドのワヤンはレストランに入る前に「ランチは自分のペースで食べていいからね。食べ終わったら店から出てきてくれれば、僕たちはすぐに気づくから」と言っていた。ガイド用の食事がレストランに用意されているらしい。しかし食後にレストランから出ていくと、ワヤンたちよりも先に物売りの人に気づかれてしまった。

わらわらと集まってくる人たち。この人たちにとってこれは仕事だ。だけど、私は物売りの人たちが超苦手。物は、本当に必要なものだけ持ちたい。哀れみの気持ちでものを買うのは良くないと思う。かといって、物乞いではない人にお金をあげるのもおかしい…。「ごめんなさい、いらない」「ごめんなさい、必要ない」と謝りまくって切り抜ける。ふー……

車に乗り込む。ドライバー・ワヤンの寡黙な運転が心強い。次は、ブサキ寺院だ。

(つづく) 

▼キンタマーニ高原。あいにくの天気だったけれど、空気は清々しかった。


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