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バリ日記7日目(2/2)

バリのホテル街の路地裏にさまよい歩き、地元の人に優しくされてほっこりしたので、さらに路地裏をほっつき歩くことにする。すれ違う人がみんな「ハロー」とにっこりしてくれる。バイクに乗っている人まで言ってくれる。

ガルンガンだからか、レースやシースルーの生地できたボディコンシャスな民族衣装・クバヤを着ている女性が多い。美しさに見入ってしまう。男性は白い半袖シャツにカラフルな巻きスカートのような衣装。頭にもバンダナのように白い布を巻きつけている。こういう民族衣装の若い二人がバイクに乗って通りすぎると、なんだかキュンとする。

路地裏を歩き回って、すっかりバリっ子気分になったので、ちょっと冒険して見ることにした。細い路地の中にある、洗濯屋さんに行ってみることにしたのだ。

その洗濯屋さんはホテルのすぐ近くにあるけれど、表通りからは看板しか見えない。お店に続く路地は暗く、ジメジメしていて、ちょっと入りにくい。でも、きっとこういうのも良い経験になるんじゃないかな。そう思って、まずは空いているかどうかを見に行くことにした。

路地に入って行くと、お店からはちょうど白人の大きなおばさんが出てくるところだった。ああ、観光客でもちゃんと受け入れてくれるんだ。

お店にいた店員さんは、私に気づくと、満面の笑みで「ハロー! ジャパニーズ?」と聞いてくる。お店といっても、民家の前に机を出しただけの簡素な作りだ。洗剤の清潔な匂いがする。

今日洗濯を出すことはできるか、いつ仕上がるのかを聞く。「今から出せば、今日の夕方5時にできるよ」と言われる。すごい! 早い! じゃあちょっと洗濯物を持ってくる! そう言い残してすぐにホテルに戻る。

ホテルに夫はいなかった。失敗する可能性も考えて、自分の分の洗濯物だけ袋に詰めて持って行く。結果的に、ここでの洗濯は大満足だった。ホテルで洗濯を頼んだ時の1/5くらいの値段なのに、すぐに仕上がる。お店のお姉さんがキュートで掛け合いが楽しい。夕方、夫の分も出しに行った。

うれしい気分でホテルに帰り、一人でホテルのナシゴレンを食べ、プールで泳ぎ昼寝をした。夫も帰ってきて、晩御飯はまたしても自炊。だって、鶏肉がおいしすぎるんだもん。好きなように調理して食べたい。

この日の夜はなんだか不思議だった。

犬や鶏の鳴き声は聞こえるし、人の話し声も聞こえてわさわさしている。でもなぜか静かな感じ。いつもは聞こえる近くのレストランからのライブミュージックが聞こえないからかな、と思ったのだけれど、それだけではない感じ。何か、待ち構えているような、息を潜めているような。

空気がねっとりと甘い。夢みたいな雰囲気。時間がゆっくり流れているように感じる。この日は他の部屋の滞在客も少なく、プールもしんとしている。夫とまたしても泳ぐ。思い立ってプールの際からホテルの写真を撮ったら、なんだか幻想的な写真ができた。

今日やったことを話し合う。二人とも、バリの人たちに優しくされたとわかって、満ち足りた気分で眠りについた。

すると、夜中に目が覚めた。同時に夫も目覚めたのを気配で感じる。「ねえ、何かこの部屋にいない?」「わたしもそう思っていた。何かいる」と、夫も応える。

怖い感じはない。何かただ、何かとてつもなく大きなもの、部屋よりも大きなものが、部屋の中を左から右へ横切っている、ような気がする。透明で、ゆっくりと歩く、大いなるもの。左腕から右腕にかけて、何かに撫でられたように静電気が走る。部屋も外もシーンと静まり返っている。

そんな感覚が1、2分続いただろうか。ポッと薄い灯りがついたのでサイドテーブルを見ると、スマホが触ってもいないのに起動していた。エアコンが音を立てて動きだす。外でも動物たちの鳴き声が聞こえ始める。そして、何かの気配も消えてしまった。停電だったんだ、でも、それにしては何か感じたよね。と、夫と言い合う。

この日はガルンガン。ガルンガンは世の中の善が悪に打ち勝った日で、神々や祖先霊が家々に降り立つという。神様がここにも通ってくださったのかなあ、なんて思った。

私たち二人に霊感はない。神秘的な体験も数えるほどしかしていない。感覚だけが証拠という客観性に乏しいものではある。けれど、私たちはこの日、神秘的な体験をした、ような気がしている。

▼クリーニング屋さん。

▼プールからの写真。


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