映画感想「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」

キャスト陣の演技はよかった。
特に1930年シーンで現地アシスタント満州人役の兼松若人。
1930年シーンの主役西島秀俊、軍人役の竹野内豊。現代の二宮和也、綾野剛。
二宮和也はジャニーズのアイドルグループ「嵐」の二宮さんです。2016年に吉永さゆりと共演した山田洋次監督「母と暮らせば」で日本アカデミー賞とった。

しかしこれ多分、小説の方が面白いんじゃないかなあ。読んでないからわからないけど。なんでかっていうと、映画ではすごくストレートな脇道のない、細かい要素がないわかりやすいストーリーに収斂させられてるから。ミステリ要素がご都合主義に見えた、でもこれ小説ではもっとギミック書き込んであるのでは?
映画は満州国の存在、植民地を日本が持ってたことを今の世に伝えるための映画としか思えなかった。
もちろん二宮さんの演じる佐々木充の心の動きについては、孤独から家族や周囲の温かみに触れて改心するっていうフェーズがあって、そこの感動要素はあるけど、ミステリ要素と並行させたせいでなんか薄くなってる気がする。満州での料理シーンが、めっちゃ長いんですよ。こんなに料理のシーン必要か?っていう。後ろの席の人が「料理シーン寝ちゃった」って言ってた。

カット割りで語るやり方とかすごく映画的でよかったなあと思うのでなおさら、なんですが、ストーリーのストレートさがつまらなさを生み出している気がしてならない。

あと、タイアップの使い方が天才的すぎるんですよ。
映画みた帰りにそのまま歩いて原宿のラストレシプカフェにいったんだけど、これは日清オイリオの宣伝で、二宮さんと西畑大吾(関西ジャニーズJr.)くんていう出演者二人がもともとCM出演してるんですよ。
二宮さんのもともと出てる花王のNANOX(洗剤)のCMもコックコートでやらせてタイアップしてる。
映画の中でひたすら綾野剛がチャーハン作ってるんですけど、見終わったらそれ食べたくなっちゃって。で、それはセブンイレブンでタイアップ商品が売ってるんですよ。
デリッシュキッチン(料理動画アプリで2位の位置にいる)ではオムライスとロールキャベツの料理動画をタイアップ。レシピはちょっと違いますがどっちも作中でキーとなる料理です。
ここまでタイアップやり切れるのってある意味天才だと思うんです。
この映画の企画者秋元康さんなんですよね。どこまでその辺りに絡んでるのか知りませんけど。

うーん。

二宮さんは日本アカデミー賞受賞後初作品で、しかも久しぶりの実年齢役だったと思うんです。本人は「賞をもらったことで、映画に出続ける責任が生じたし、作品も選ばなければいけない」ってインタビューで言ってるんです。確かに一定の質の基準をクリアした作品だと思います。演技も。うーん。

ここまで書いておいてなんなんですが、私は嵐ファンでしかも二宮担(=二宮ファン)なんですよ。私の好きな二宮和也はアイドル二宮なので演技者二宮は、なんかすごいんだね、くらいなんですが・・・

期待しすぎたのかもしれない。

自分の芸術に対する好みは「知らない世界を見せてくれるもの」で、この映画は表現的にも、ストーリー的にもそこに大きな衝撃はなかった。映画は数見ておらず、素養はないので技術的に見逃してる点が多いのかもしれませんが。
満州国についてはきちっと勉強したことないなと思ったので、なんか読もうと思って。それは収穫でした。
監督についてこの感想で全く触れないのは、そういう意味でなんか監督の力量は使ったけど、才能は使ってないと感じたからです。

あと制作がテレビ朝日なんですが、この映画の宣伝、二宮さんは自分のレギュラー以外ではテレ朝以外に出てないんですよ。普段、嵐好きなせいでテレビとなると日テレばっかみてるので番宣をそこまで目にすることがなく、事前の映像ネタバレが自分に対してほとんどなかったことが幸いでした。
同じくアイドルグループ嵐の松本潤が主演した「ナラタージュ」はもうひどかったですからね…。松本潤の出てた番宣番組みまくるハメになり、かなり事前に映像ネタバレされてしまった。
西島秀俊も、宮崎あおいも、番宣でバラエティでみてしまったせいで私にとっては満州国に馴染まなかった。綾野剛は現代だったしキャラクタも本人の感じと近かったからまだ馴染んだけど。

ストーリーではなく、周辺環境にとても考えさせられた映画でした。


補足。西畑大吾くんについて。彼の演技も馴染んでた印象です。
ジャニオタとして解説しておくと彼はもともと二宮さんの演技に憧れてジャニーズに入っていて、実際演技力ではジャニーズJrの中でも抜きん出た存在です。演技仕事で丸坊主になるのも3度目。

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