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音楽イベントの作り方(その3)報酬をどうやって計算するか?

正直、明確な相場がライブハウス界隈にあるとは思えない、というのが数年やった感覚です。もちろん、先方から提示される場合もあります。そこから交渉になる場合もあります。もっと他の価値を示して低くなることもあるでしょう。
「いくらくらいで出演していただけますか?」とまずは聞いてしまうことにしていますが、「自分で価値を提示しろというのか?」と怒られたこともありますし、「そもそも個人から出演依頼するのが失礼」と言われたこともあります。相場がなく、上は百万円単位から下はゼロ、マイナスまでふんわりした世界の中で、はっきりと意思表示してくださった方々には本当に感謝しかないです。

sayanu式 報酬計算式

さて、そんな中でも私が基準とする報酬金額の算定方法があります。
これは、考える上での足し算引き算のベースとするものです。

当日日当+練習時間(本番持ち時間×3回分程度想定)+交通・宿泊費+準備時間+バンドの価値

内訳を見ましょう。

当日分
アーティストの居住地の日当相当×人数(メンバー+スタッフ)
 都内だった1日1万円くらいかなあとか。

練習時間
 練習時間は複数人でのスタジオ練習を想定しています。音楽スタジオは都内で1時間5000円前後かかるものなのです。

準備時間
 練習以外の時間を想定。他の芸が入る場合やその公演でしか使わないような機材を調達してもらった場合などもプラス分を。

バンドの価値
これ、言葉にしただけで怒られそうですが・・・
相手に対して言う必要はないですよ。払えるか払えないかは別として意識を持ってこれを計算しておく必要はあります。

交通・宿泊費
 遠方であれば手配をどうするのか、要相談ですが基本的にはイベンターが全額負担だと思っています。私も飛行機・宿泊予約までやったこともありますが、アーティストによるので、お話してどうするか決めた方がいいです。
 地方公演であれば複数のイベンターさんで、行き帰りそれぞれ負担するとか、色々と分散させる方法はあると思いますが、どうやっても消えはしない経費なので快適に移動を提供するために、悩むところです。

さて、ここまでのリスト、ソロアーティストなら数万円に収まりそうですがバンドで真面目に合計すると最低でも十数万円にはなります。本来お支払いするのはそのくらいなんだと考えて良いと思います。引き換えに提供するのが主催の労力であり、プロモーション、集客にかかるコストだと認識しています。

報酬額を調整するに値する要素

お金としての「報酬」のほかに、メリットとして提供できると考えられるような下記のような場合です。

・アーティスト側から提案があった。
  安い額を提示していただいた
・ツアーで近場に来ているので、追加公演的扱いにしてもらった
  移動・宿泊代を他で負担していただける場合があります。他の公演とうまく相乗効果のある対バンや、今後に繋がるイベントができるといいですね。
・ショーケース扱いにしてもらった
  そのアーティストにとっていつもは見せられないお客さん、対バン、箱などを集めるイベントが組めた場合
・イベント趣旨に賛同して協力してくれた
  チャリティ目的や何らかの普及イベントなど

他にもアーティストさんとイベンターの関係性や、箱との関係、それぞれによってどんどん変わるのがこのあたりです。報酬額の標準がない、というのもここにも原因があるのではないでしょうか。

他人のお金は気にしない


 主催をしていると、いろんな方面から「いくらで運営しているのか」「いくらをアーティストに払ったのか」などの話題が降ってくることがあります。お金の流れをもともと透明にすると宣言してあるイベントでない限り、基本的にアーティストさんに払った報酬額そのものは外部には言わないのがマナーかと思います。上記のように、細かく、ナイーブな理由で報酬というのは決まっているからです。

明日はそもそも全体収支をどのように予測、計算するか、というのを公開したいと思います。
お金シリーズは長くなりますね。

※ちなみに今回は国内アーティストを対象として考えています。海外アーティストは根本的に異なります。
縁もゆかりもない方の記事ですがこちらが参考になるので興味がある方はぜひご一読を


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