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音楽イベントのはじめ方(その6)当日の流れ

ずっと書いてきたこのシリーズも最終回です。

じっとしてられるのは何分か?

狭い話ですがライブハウス界隈、特にバンドと弾き語りを想定して書きます。
お客さんとしてライブに来た際に、イラっとするのは「休憩短い」とか「椅子がぎゅう詰めすぎてつらい」とか「客の流動性も考えてくれ!」とかそういうことではないでしょうか。つまり快適性のこと。
だんだん使う全ての人にとって快適な方向に設計されたライブハウスやライブカフェが増えてはいるものの、やはりちょっと狭かったり、建物の問題だったりでちょっと難しいことが多いように思います。
そんな中で、このライブハウスでお客さんがじっとしてられるのは何分か?ということを”無理しないで”考えられるかどうかが快適さに直結しています。時間の計画を立てていると思わず詰め込んで詰め込んで休憩時間を削ってしまいがち(私だけ?)なのですが、とにかく無理しない計画を立てることが重要だと思っています。

持ち時間は、慣例的なものでライブハウスのバンド対バンで20分〜40分くらい(転換除く)、弾き語りで15分〜40分くらい、転換に10〜15分というところです。
この持ち時間が長いと、アーティストの事前練習が大変になりますし、短すぎると来場者のお客さんの満足度が下がります。
あんまりたくさんの知らないアーティストを一気に見せられてもつらいですよね。

一般的な順番設定は新人→大御所/人気者、で似たような順番になるのには理由があって、人気がある人を後ろにした方が前の出演者も見てくれる方が増えるからです。で、これを業界全体でやり続けると最後の人が一番偉いみたいになってしまっているので出る順番を指定してくる方もいらっしゃいますね。きっちり最初に要望を聞きましょう。

受付の難しさ


チケットを何で売ったかに完全に依存しますが、番号順呼び出しは本当に神経を使うところです。お客さんとしてこれにこだわったことがある方はよくわかると思いますが、ホールなどの席番号がある会場と違って、場所自由制をとるライブハウスの場合、前の方や好きな場所で見ようと思えば早く入場するしかありません。
イベントにお客さんがついてくだされば、協力体制も出来上がって優しくしてくれるかもしれませんが、誠実に対応し続けることだけがそれを形作るものです。
当日券対応や、当日支払いの場合は釣り銭が必要になります。
会場で貸してくれるところもありますが、イベント用に2万円分くらい(小銭5000円、あとは千円札)常に分けて持ってると楽です!
常に持っているものは小銭、白い紙、ガムテーム、マスキングテープ、油性ペン、赤黒ボールペン、蛍光マーカー、封筒。主催者セットと呼びたい。

手荷物問題


最近、駅のコインロッカーも使えたり使えなかったり・・・。小さな会場ではクロークスペースが取れないことがあります。でもやっぱり遠方から来てくださる方がいるような個性的なイベント、個人イベントでは多いですよね。
受付では荷札をちゃんと持っておいて預かれればやっぱり嬉しい。ちょっと忘れがちな細かい対応ですが、常に持っておきたいものです。
フェスや激混みライブハウスでよくあるゴミ袋制も、検討の価値があるかもしれません。

「逆リハ」


本番の順番の逆からリハーサルしていくこと。リハーサルの目的はアーティストの場所の確認と音の確認です。
が、逆にしてしまうと一番の大御所にものすごく朝早くとか、昼早くに来てもらってしまうことになったりするのでその辺は入れ替えることが多いかも。
リハーサル時間は箱と相談して、アーティストと相談して、と結構決定まで時間がかかる気がします。

本番


進行に気を配る!
個人的には正直(無駄に)細かく気を使ってしまうのでライブそのものをお客さんとしてちゃんと楽しめたことはほとんどないかもしれない・・・。
持ち時間を越してしまうような方には心を鬼にして巻いてくれ、と指示を出すのも主催。トラブルやトイレ列が終わらないなどの理由でタイムテーブルが崩れることも多いので、どこで調整がきくかは事前に箱スタッフさんと話しておきたいところです。

物販について


ライブハウスくらいの規模のアーティストだと稼ぐ主な手段なので最初からちゃんと一度スペースの広さと導線を確認しておいた方が良いです。お客さんにとってもそうですよね。たいていのライブハウスでは場所が決まってるのでそれを見て、狭いなこれはと思えば広げればいいです。
最近物販でチェキとかやる方も多いのでライブを見ているお客さんの邪魔にならないように、本当に動線には気をつけたい。

アンコール


アンコールの可否や開始を指示するのも基本的に主催の役目です。問題になるのは出演者がやれるかどうかということもさることながら、時間的に可能なのか、ということ。レンタル時間、終電時間、音止め時間。箱スタッフさんと、音響さんと、トリの出演者さんと、しっかり打ち合わせです。
アンコールなしと決めてた場合はバッサリ終わるのも重要。

お客さんの送り出し


全てが終わったら、物販が落ち着くのを待ってクローズ作業。お客さんとお話しするのも楽しいです。
最後の撤収前くらいまでに清算ができるように時間設定しておくとスムースです。箱の方も演奏が終わったら締め作業に通常は入ってくださると思います。
最後、追い出しってちょっとたいへんだったりしますが、レンタル時間もあるし、みんなの交通の問題もあるのであんまり気にせずクローズ作業して良いと思います。

箱の方と清算して、あとは出演者さんにお礼をお話しして報酬をお渡しして、本編は終了!
打ち上げに行けるみんなで打ち上げへ〜

音楽イベントを作るのは大変ですが、1つ1つがプロジェクト感があるのでこの時の開放感は感動的です。自分が反省しているのは、あまり回数を主催しない個人イベンター的には音楽イベントは祝祭の場ですが、出演者さんにとってはステージではあっても日常だということ。ちょっとうざかったかなあと思ったりしたことも無きにしも非ずです。ま、でも過去ですね。次何ができるかを考えましょう。

さて。このシリーズはこれで、終わりかなと思います。
こういう企画って「馴染んだ人がやれば良い。そこまでもきてない人がやるべきではない」みたいな認識が一部にあって、あんまりノウハウがネットにもなくて、始めた頃は本当に手探りでした。今は箱の経営的にそんなこと言ってる場合でもないし、お客さんからアーティストに直接お金を、そしてコミュニケーションを提供する機会ってやっぱり音楽の原点だと思うんです。ちょっとでもやる気があればぜひいろんな人に色んな企画をして欲しいです。それでこそ多様な文化が生まれると思います。音楽と音楽だけを組み合わせるだけがライブイベントでもないですし。


もう少し早く終われるかと思ってたけれど、ダラダラ続けてしまいました。
未来に見返して、業界変わったなあとか考える資料になればいいなあ。

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