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もっと TVのモンダイ点

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前からの続き。21世紀に入ったところです。けっこう今でも同じコトがあるようで…
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2015年3月の記事一覧

97.酒豪女性

 大阪府で全国初の女性知事が誕生した。選挙前からそうだったが、当選後もマスコミが太田房江知事を評価するエピソードとして必ず紹介するのが、
「ビール大ジョッキで3杯はイケる酒豪」
「かつて宴会で、進んでバニーガールの扮装をしたほどサバけている」
 という二点。
 言わずもがなだが、そんな事と彼女の能力とは何の関係もない。だけどやるんですね、この国のマスコミは。
 記憶では、確か土井たか子さんが社会党

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96.違和感芸

 ミュージカル嫌いの意見は次の二点だ。
①さっきまで普通に喋っていた人たちが、突然歌いだすのはヘンじゃないか。
②どう見ても日本人なのに赤毛のかつらをつけて「ジョニー」だの「イライザ」だのと呼び合うのはキモチ悪い。

 先日、新国立劇場で『アイ・ラブ・坊っちゃん2000』というミュージカルを観て来た。タイトルは夏目漱石の「坊っちゃん」から来ている。その名の通り日本の創作ミュージカルで、これは199

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95.穏やかな改善

 ご存知のように、現在日本の景気はあんまりよくない。ちょっとはよくなったんじゃないか、と言われつつもやっぱりよくない、けど少しはよくなってるのか? ……という、なんだかわからない状態。
 経済企画庁が出す経済報告というのがあって、去年一年間のそれは、まさにそういった現実を表していた。

99年年初「変化の胎動」
99年春「下げ止まり」
99年夏「やや改善」
99年秋冬「穏やかな改善」

 さすが作

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94.ゆずもどき

 新宿とか、渋谷とかで、夜になるとギターを抱えて歌っている若者たちがいる。先日、ある番組でこういったストリートミュージシャンたちを呼んで歌ってもらった。彼らはみんな「ゆず」のつもりなんですね。荒削りなストローク奏法のフォークギター。喉だけで張り上げる発声。ほとんどユニゾンのハモり。非常に日常的な詞の世界。
 ちょっと前まで、ああいう連中はみんな尾崎(紀世彦じゃないよ、豊の方)だった。世間を拗ねたよ

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93.一日署長

 有名人が一日署長をつとめる――という話題をテレビで見ることがある。警察署とか税務署とか消防署といったおカタイ所が、アイドルやグラビア系女優、あるいは野球やサッカー、相撲のプロスポーツ選手などを呼ぶ。特にオフシーズンであるプロ野球選手などこの時期には引っ張り凧のようだ。
 あれは何のためにやるんだろうか?

①その有名人に警察とか税務とかの能力があるから。
②署長なんて誰がやったってできるもんだ、

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92.Jからeへ

 2000年になったということで、なんだかやたらに新しい時代を意識したCMがテレビから流れている。そんな中で、よく見かける文字に気がついた。
「e」である。
 もちろん、きっかけは「e(E)メール」だろう。確かにここ数年の新しい流れであり、恐らく今後主流になっていく文化だろう。
 ここから派生して、やれ「eコマース」だの「eトレード」だの「eビジネス」だのという言葉がCMの中に登場してきたのだ。ど

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91.父の威厳商品

 この頃のパソコンのCMを見ていると、ぼくは唐突に、家庭における父権の危機を感じるのだ。

 ここで、話はパソコンではなく、突然カメラのことになる。
 ぼくが子供の頃カメラというものは、やれ絞りがどうたら焦点距離がどうたらその場合のシャッタースピードは……と、一枚の写真を撮るまでの手順が大変にややこしかった。今もマニア向けにそういった商品はあるが、たいていのカメラはボタン一つで簡単に写真が撮れる。

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90.序詞

「あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の……」
 なんかいい始まり方ではないか。琴の調べと鹿おどしの音が聞こえてきそうだ。いかにも正月っぽく、格調が高い。そう、これは百人一首の中の歌。道理でどっかで見たことあると思ったでしょ?
 ろくに勉強もしなかったぼくがどうしてこれを覚えているかというと、この和歌はここん所までは序詞(枕詞の長いやつね)で、たんにその後に続く「ながながし夜」の前口上にすぎない――

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89.Y2Kの秘密

「ビル・ゲイツって意外と頭悪いんじゃないのか?」
 と、最近ぼくは思っているのだ。
 こんなことを言ったら、世界中の人にツッコまれるだろうなぁ。だってあのビル・ゲイツですよ。パソコンのマイクロソフト社を作った人。ウインドウズで世界中を支配した天才。コンピュータの申し子……。
 しかしぼくは、年末にかけてすべてのニュース番組で取り上げるY2K問題を見ていて「頭悪いんじゃないか」と思ったのだ。

 余

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前作は予告にすぎなかった!?

 TV誌「ステラ」に連載されたコラムです。ここでは、西暦2000年掲載の一年分をまとめました。
 今となっては懐かしい世相や番組の記録から、十数年後の現代の予言、さらにいつの世も変わらないメディアと大衆の関係まで。これはメディア社会のクロニクルだ!(なのか?)

※通し番号は、前作「TVのモンダイ点」から続いたものです。前作もどうぞ。