130.美しい星だ

 あなたの周りにも、一人や二人はいるのではないだろうか。
「なに、それ?」
 と絶句するような、とんでもない色やデザインの洋服を好んで着ている友人が。時としてそれはシメサバみたいな光沢だったり、売れない寄席芸人みたいな派手さだったり、あるいは絵の具箱をぶちまけたようだったり……。
 一度や二度なら気の迷いということがあるし、また受け狙いというセンも考えられる。しかしそれが度重なると、
「そんなもの、いったい、どこで買ってくるんだ?」
 という新たな疑問までわいてくる。
 これはつまり、とんでもない色やデザインの洋服を、
①常に作っている人。
②常に売っている人。
③常に買っている人。
 の三者が存在するということだ。
 世の中には、常人とは違う美意識を持つ一団が必ず存在するんだなぁ、と感心してしまう。国が違えばもっとわかりやすいですね。我々がなんとも思わないモノを、
「ビューティフル!」
 と喜ぶ欧米人は多い。

 ここまではいいだろうか? 
 美意識の違いは国内においても存在するし、国外においてもある…という話だ。
 ならば、いわんや宇宙においてをや。
「美しい星だ! あの星をわがものにしたい」
 アニメの宇宙人は、たいてい宇宙船の窓に浮かぶ地球を見てこんな風に呟き、地球を征服に来る。
 たしかに、漆黒の宇宙に浮かぶ青い地球は美しく見える。でもそれは、地球人から見ての話なんだよね、たぶん。
 まったく美意識が違う(だろう)宇宙人が、なぜみんな「美しい」と思うんだ?

【モンダイ点】
◎もっとも、宇宙人が「汚い星だ」と歯牙にもかけなかったら、お話が始まらなくて困るのだが。

(ステラ/2000/10/25)

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