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花を買った。




花束みたいな恋はしてないけど、一輪の花を買った。
花が好きだ。理由は自分でもよく分かっていない。ただ綺麗だから好きなのかもしれない。
花屋でアルバイトをしていた高校生の時より、年齢を重ねた今の方がずっと花に詳しいし、好きという気持ちが強いのでは無いかと思う。
思うに、私は20代前半まで感受性が死んでいたので、何かを慈しむ気持ちが薄かったのかもしれない。若い人程感受性が高いと言うが、私はずっと昔からイルミネーションを見ても心は弾まなかったし、季節の移ろいに何も感じなかった。悲しい作品を見ても涙のひとつも出なかった。
唯一心が動くものと言えば音楽だけだった様な気がする。それは救いだったかもしれない。人に擬態する為に周りの反応に合わせてそれっぽい言葉の羅列を並べていた。
30代を目前にした今、突然花が美しいと思う様になったし、街のイルミネーションに心が踊る様になった。季節の移ろいを楽しめるようにもなって、悲しい作品を見たら悲しいなと思えるようにもなった。楽しいと思う気持ちだけは今でも死んでる気がするけど。
なんだかイキリオタクのような文言になってしまったけど、本当に何かを美しいと思う感受性が死んでいた事に最近になって気付いた。
高校生の自分に、そりゃ生きづらいよね。と言葉をかけてあげたい。
ずっと生きることに対して虚無感があったのは、何かを楽しむ余裕が無かったからなのかもしれない。今になって思い返せば、楽しい思い出なんてひとつも思い返せない。なんでだろう。

少なくとも花を一輪買って、嬉しいと暖かい気持ちになれる心が芽生えた事は大きな成長かもしれない。楽しいと思えることが増えたらいいな。

美味しかった

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