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2番手、生き残る

2018年10月20日しるす

先日、世界一高価なジンを飲ませていただきました。ウイスキーなどと違って一般的にジンは寝かさないそうですが、9ヶ月ものは香水にしたい良い香りだった。というか、コム・デ・ギャルソンの香水に似ていた気もする。26ヶ月ものは樽の香りがかなり移っててウイスキーみたいでしたが、それが世界で一番高価なジンなんだそうです。でも私は9ヶ月ものの方が好き。なんにせよ、今週は飲みすぎました。

「屑は無価値なようでも火を起こして燃やせる、カスになったらいよいよ本当に価値がない」と言われますが、私はこの10年ぐらいで、屑を経てカスになったなあと思っていたんです。昔は例えば電話番号がすぐ暗記できたり、もうちょっと冴えてた。気がする。あと健康な時は、寝て起きたらやる気も自然に湧き出てきた。気がする。
なんかもうお酒で頭が溶けたので覚えてないんですが、今週ごく普通の会話の中で、なぜそんなに諦めてるのと言われた気がするんだけど、根本的に自己イメージが「カス」で、更に時を経るにつれ、そしてお酒を飲むにつれ劣化してるので、諦めても仕方ないでしょうと、心の中で答えました。しかしそんなネガティブなことを突然口に出して相手を煙に巻く胆力ももうありませんので、ひとりで勝手に混乱して無口になるだけです。

自分に対する評価が絶望的な割には、生きてる限り生物は生きるべきだと開き直って、ちゃんと生きている。面の皮が厚いんだと思います。一番欲しいものがあるのに、生活やモラルや何やかやを言い訳にして真っ直ぐに相対することができない悲哀を、いつから感じているのでしょうか。

そんな昨今、もともとアイドル嫌いだったのに突然関ジャニ∞が気になりだして、何故かと言えば、書き下ろしの持ち歌なのにけっこうエグい歌詞を歌わされているのを知ったからなのでした。「キミのために生きようか」とまで思った相手に「例え俺が2番手でも まっそりゃしょうがない」(「イッツマイソウル」1:07〜)という、彼らが歌うにはあまりに自己言及的なフレーズ。本来なら2番は間違いなく上位カースト、でも1番は目指すべくもない。だからといってやめられないから、自虐してまでも生き残ることを選ぶ。その姿は軽い振りして実は真剣に恋をする男性と言う以上に、色々諦めてときに腐ってもみた彼ら自身であり、カッコいいともまた違うんですが、アイドルの王道を行けないがために2番手、三の線、その他求められればなんでもやる彼らに、曲調以上のブルーズを感じました。

そんな中、今週初めてお会いしていきなり5時間お酒をご一緒したカッコいい同性の方が、「世界一の"2番手"でありたいと思ってて」と言っていて、1番にならない生き方を目の前で見せてくれたので、まだまだ2番手にも遠い自分には、やるべきことはたくさんあるなと思いました。前向きでもない、諦めでもない道が、2番手を極めた先にあるのかもしれない。世界一高いジン、それは値打ちがあるけど、2番手こっちの方が良いねと言う人もきっといる。

ことほどさようにお酒は沢山のことを学ばせてくれます。断ってはならない、残してはならないという家訓にしたがい、たとえ頭が溶けても、良い2番手を目指して、これからも飲んでいきたい。

#ジン #お酒好きキャラ #エッセイ #日記

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