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山上徹也被告が信じた鈴木エイト氏の陰謀論が破綻している決定的論拠【詳細版】


1.世界で唯一「安倍元総理と統一教会はズブズブの関係」を説明できるのは鈴木エイト氏だけ

自民党と統一教会・勝共連合の関係は政治史に興味のある人なら当然誰しも知っていたことです。だから安倍元総理が暗殺された直後、政治ジャーナリストや政治記者は誰も山上徹也被告が安倍元総理を狙った動機を説明することができませんでした。
そこに突如、紀藤正樹弁護士のテレビ朝日スタッフへの口利きでメディアに現れたのが鈴木エイト氏です。
そして、″エイト氏だけが語れる″ 「安倍元総理と統一教会はズブズブの関係」という自説を展開していきます。

安倍晋三という政治家と統一教会との関係性、特に第二次安倍政権発足後の両者の関係を継続して追及し、報じてきたのは私だけだった。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」

安倍晋三元首相銃撃事件の背景に統一教会との関係があったと報じられても、その内容を詳らかにできる言論人は私しかいなかった。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

事件の背景に安倍本人と統一教会との関係があることが報じられても、その実態を詳らかに証言できる言論人が私一人だった。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」


2.山上被告が信じた鈴木エイト氏の陰謀論とは

自民党や岸信介元総理と統一教会や勝共連合の関係は、日韓戦後史に於いて虚実入り混じった様々な話が語られてきました。その中には明らかな陰謀論もあり、特に安倍政権以降はネット上で荒唐無稽な陰謀論が盛んに飛び交い、世情のアベガーとも重なりかなり悪質な投稿もあったようです。その陰謀論の渦中にあり陰謀論を発信していた中心人物の一人が鈴木エイト氏です。
統一教会に強い恨みを持つ山上徹也被告は、反統一教会活動をしているエイト氏にシンパシーを感じていたのか、エイト氏の陰謀論を盲信し殺害の対象を安倍元総理に向けるという最悪の結果になってしまいました。

では、山上被告が信じた「安倍は統一教会シンパ」「安倍と統一教会はズブズブの関係」「安倍は第2次政権以降、統一教会に近づいた」とするエイト氏の陰謀論とは一体どのようなものなのか?果たしてそのストーリーは合っているのか?エイト氏の主張する内容を時系列で見ていきましょう。

2-1.安倍は第2次安倍政権以前は統一教会と親密な関係ではなかった

安倍晋三と統一教会の関係が最初にメディアに取り上げられたのは二〇〇六年のUPF大会「祖国郷土還元日本大会」に、官房長官時代の安倍が祝電を送ったというものだ。この前年にも安倍はUPFの創設大会に祝電を送っている。また教団内部資料の記述から、統一教会の「反ジェンダー」策動において、安倍晋三との間に共鳴関係があったことが判明している。だが、この時点での安倍は、まだそれほど教団とは近しい関係性にはなかったと思われる。
しかし、それから六年を経て第二次安倍政権発足前後に、安倍晋三と統一教会の距離が一気に縮まり、両者は密接な関係となった。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」

同年5月に自民党本部8階ホールで行われた「過激な性教育・ジェンダー教育を考えるシンポジウム」では責任者と司会進行を安倍側近の萩生田光一が務め、安倍と山谷がパネリストとして登壇していた。このジェンダー・バックラッシュにおいては安倍と統一教会の連動性が窺える。そして、この時期にUPFへ祝電を贈ったことは何らかの見返りだった可能性もある。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」



2006年に安倍元総理がUPFに官房長官名で祝電を送ったのは事実ですが、エイト氏が主張するような ″見返り″ ではありません。
保守議員なら過激な性教育(包括的性教育)や、行き過ぎたジェンダーフリー教育に反対するのは当然のことで、何も統一教会の思想に共鳴して行ったものではありません。

詳しくはこちら↓をご覧ください。


統一教会が日本で伝道を始め政治に近づいた頃、勝共連合が創設された頃から統一教会は一貫して自民党支持です。安倍元総理が2012年12月になって今更、統一教会に接近しなくても統一教会票は自民党に入ります。
では何故、鈴木エイト氏が安倍元総理が統一教会に接近したのを2012年12月発足の第2次安倍政権以降としたのか!?何故、第2次安倍政権以降に設定しなければいけなかったのか!?

ふふっ笑
詳しくはこちら↓の考察をご覧ください。
『自民党の統一教会汚染』の疑問点・矛盾点②(鈴木エイト氏が安倍元総理と統一教会の蜜月関係を2013年からと設定した訳)


山口の地元事務所が独断で送ったものとはいえ安倍元総理は2006年にUPFに祝電を送っていました。しかし、エイト氏は2005年・2006年の祝電については余り取り上げず、トランプ元大統領との兼ね合いで送った2021年9月の動画メッセージを「安倍と統一教会との関係の集大成」「安倍は統一教会との蜜月関係を隠さなくなった」などと、殊更に強調し結果、山上徹也被告を誤認させるに至りました。
2005年・2006年の祝電と2021年の動画メッセージにどのような違いがあるのでしょうか。
2021年の動画メッセージをエイト氏が殊更に強調するのはエイト氏が統一教会を約25年近く追ってきたという自身の成果、ジャーナリスト()としての評価を得るためのアピールだと感じます。
また、安倍元総理は2021年の動画メッセージも当初はUPFからの依頼に難色を示していました。しかし、トランプ元大統領が動画メッセージを送るとUPFに口説き落とされ承諾したものです。
安倍元総理もトランプ元大統領の存在がなければUPFからの依頼を断っていたかも知れませんね。


2-2.安倍は第2次安倍政権以降、憲法改正の長期政権を目論み統一教会に接近した

2012年12月、政権を奪取した安倍晋三は悲願である憲法改正の実現に向け、長期安定政権を目論んだ。そこで(中略)安倍は目先の国政選挙や改憲運動を進めるために、最も関係を持ってはいけない相手からのアプローチを受け入れる。教団サイドと距離を置いていたはずの安倍は、自身の政治的野心と引き換えに危険な取引を結んでしまう。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


鈴木エイト氏の言う ″危険な取引″ とは何なのか?
エイト氏の陰謀論「安倍元総理は第2次安倍政権以降、統一教会に接近し、両者は裏取引を結びズブズブの関係になった」のストーリーはこうです。

裏取引の疑惑
(略)第2次安倍政権発足以降、2013年参院選での北村経夫(現・参院議員)への組織票依頼など様々な裏取引が行われた疑惑がある。
「全国区の北村さんは、山口出身の政治家。天照皇大神宮教(「踊る宗教」とも)の北村サヨ教祖のお孫さんです。首相からじきじきこの方を後援してほしいとの依頼があり、当落は上記の『踊る宗教』と当グループの組織票頼みですが、まだCランクで当選には遠い状況です。参院選後に当グループを国会で追求する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」
2013年夏の参院選直前、統一教会が全国の信者に出した内部通達である。
また、2016年、学生団体SEALDsのライバルを標榜する保守派の大学生グループが突如現れ、安倍政権を支持する街頭演説やデモ行進を全国各地で展開した。UNITEと名乗るその集団が統一教会の2世信者たちであり、彼らの活動に自民党安倍政権の意向があるのではないかという疑惑も追及した。
こうした歪んだ関係が2021年9月、教団フロント組織・UPF(天宙平和連合)の開催したオンライン集会における安倍のビデオメッセージ出演(リモート登壇)に繋がった。
この一連の流れを知らない人には、その関係を“印象”以上のレベルで語ることはそもそも不可能である。
両者の関係性の推移を前提にして問題点を検証しない限り、真相には辿り着けない。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

第2次安倍政権発足以降の国政選挙における特定候補への組織票依頼や、2世信者組織「UNITE(ユナイト)」を利用した活動など様々な裏取引が行われた疑惑がある。それらが2021年9月、教団フロント組織・UPF(天宙平和連合)が開催した「神統一韓国のためのTHINK TANK 2020 希望前進大会」における安倍のビデオメッセージ出演(リモート登壇)に集約し、その映像を見た山上被告による襲撃事件へと発展して行ったと考えられる。この一連の流れを検証しない限り真相にはたどり着けない。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

両者の間にはギブアンドテイク的な取引が多数行われた形跡がある。安倍側からは、特定候補者に対して「首相じきじき」に組織票による支援を依頼していた。また教団会長と総会長夫人を首相官邸に招待したほか、安倍側近の官僚である下村博文文科相(当時)が、教団名称を変更する際に管轄省庁へ圧力をかけた疑惑(下村は否定)、多くの自民党国会議員の教団系イベントヘの派遣など、様々な便宜を図ってきた疑惑がある。教団サイドからは、組織票による支援だけでなく選挙時の運動員・スタッフの提供、二世信者組織を使い安倍政権支持を主張し街宣を行う印象操作・世論誘導工作疑惑などが挙げられる。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」


先述の通り、統一教会は日本で伝道を始め政治に近づいた頃、勝共連合が創設された時から一貫して自民党支持です。安倍元総理が第2次安倍政権以降に統一教会に接近し ″危険な取引″ を結ばなくても自ずから統一教会票は自民党に入ります。

鈴木エイト氏が「安倍元総理が統一教会に接近したのは2012年12月発足の第2次安倍政権以降だ」とした理由については、こちら↓の考察をご覧ください。
『自民党の統一教会汚染』の疑問点・矛盾点②(鈴木エイト氏が安倍元総理と統一教会の蜜月関係を2013年からと設定した訳)


気付かれましたか?エイト氏は「統ー教会と安倍晋三元首相のズブズブの関係を明確な論拠で語ることができるのは私以外にいません」と断言するわりに、その論拠を全て「疑惑」としています。
取材も裏取りもせず、確証も得ずに妄想で適当に『やや日刊カルト新聞』というブログサイト・Xに投稿していたのでしょうね…。そして山上徹也被告はそんな妄想を真に受けてしまった…。何とも愚かしい限りです。


2-3.安倍・下村の圧力によって変更された教団名

文科省関連の政治家と統一教会・勝共連合との昵懇の関係はその一年後、ある禁断の果実を落とすこととなる。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

安倍側近の官僚である下村博文文科相(当時)が、教団名称を変更する際に管轄省庁へ圧力をかけた疑惑(下村は否定)

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」

筆者のもとに知り合いの編集者からある情報がもたらされた。文化庁を外局として所管する文部科学省の下村博文大臣(当時)が文化庁に統一教会の名称変更を強引に認めさせたと永田町で噂になっているというのだ。そこで下村と統一教会との関係を調べると、同教団系の日刊紙『世界日報』に直近の2年間で3回もインタビューや座談会記事が掲載されており、同紙の月刊誌『Viewpoint』にも転載されていた。文科大臣執務室で世界日報記者のインタビュー取材を受け、世界日報の木下義昭社長(当時)らと鼎談する下村、世界日報に国会議員が登場することはさほど珍しいことではないが、2年の間に3回も登場したのは下村だけだ。
この名称変更の直後、下村は文科大臣を退任した。永田町界隈で噂になった通り、下村が文化庁に対し統一教会の名称変更申請が認証されるよう圧力をかけ教団に便宜供与を行ったのだとすると、その責任は限りなく重い。(中略)
教団名変更に至った策動について、教団内では下村とつながった木下義昭・世界日報社長ルートと、萩生田光一とつながった太田洪量・国際勝共連合会長のルートとのせめぎ合いがあったという。結果としては下村―木村ルートが奏功したことになるが、いずれにしろ、統一教会が政治家工作によって名称変更に漕ぎ着けたことに違いはない。

出典:鈴木エイト/ハーバー・ビジネス・オンライン「自民党安倍政権と統一教会。教団名変更認証に安倍側近閣僚が関与か?<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第3回>」/2019年1月24日


事実無根です。
安倍元総理や下村博文大臣(当時)が文科省に圧力をかけ教団名が変更された事実はありません。
詳しくはこちら↓をご覧ください。


2-4.安倍・官邸の意向で結成・活動した勝共ユナイト

2016年初頭、安倍政権と問題教団は国民を欺く新たなプロジェクトに手を染める。手駒として使われたのは従順な2世信者だった。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

 2016年、学生団体SEALDsのライバルを標榜する保守派の大学生グループが突如現れ、安倍政権を支持する街頭演説やデモ行進を全国各地で展開した。UNITEと名乗るその集団が統一教会の2世信者たちであり、彼らの活動に自民党安倍政権の意向があるのではないかという疑惑も追及した。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

  第2次安倍政権発足以降の国政選挙における特定候補への組織票依頼や、2世信者組織「UNITE(ユナイト)」を利用した活動など様々な裏取引が行われた疑惑がある。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」


事実無根です。
安倍元総理や官邸の意向で、勝共ユナイトが結成・活動した事実はありません。
詳しくはこちら↓をご覧ください。


2-5.安倍は官邸に統一教会トップ夫婦を招き翌月の選挙対策を練った

その情報は、教団内部のあるルートを通じてもたらされた。(中略)2016年6月上旬、安倍首相が統一教会・家庭連合の徳野英治日本会長夫婦と李海玉総会長夫人を首相官邸に招いたというものだった。(中略)そこで何が話し合われ、統一教会会長は安倍首相に何を報告したのか。13年の参院選で安倍の依頼による北村経夫への期日前組織票が全国の信者に支持された際、信者には「選挙終了後に徳野会長が安倍総理に会いに行く」との話が伝わっていたことを書いたが、その会談はやはり実現していたのだ。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


事実無根です。
安倍元総理が官邸に統一教会会長ご夫妻を招待した事実はありません。
詳しくはこちら↓をご覧ください。



同時期の記事なのにエイト氏が統一教会会長の奥さんの名前を、『やや日刊カルト新聞』(=『自民党の統一教会汚染』)では李海玉氏とし、Xでは宗龍天氏と記載していることが気になるところです(笑)役職付きの奥さんの名前すら正確に掴めていないことが分かります。


2-6.2017年以降、加速する安倍と統一教会の癒着構造

2017年、自民党及び首相官邸と統一教会の癒着構造は加速する。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

引き続き安倍一強の状態が継続した。ここから政権と統一教会との関係がさらに顕著となっていく。衆院選の大勝で改憲へひた走る自民党安倍政権と、そのバックアップ部隊として連動する教団との連携がいくつも露見したのだ。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

2017年10月に行われた衆院選、そこから年末にかけて統一教会と政治家との関係が一層可視化された。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


2-7.第4次安倍第1次改造内閣(2018年)は統一教会内閣

この数年来、同教団への貢献度が閣僚人事に影響しているかのような任命事例が続いており、中でも環境大臣のポストは統一教会枠のような扱いとなっていた。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

統一教会系議員の抜擢が目立つ人事となった。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


2-8.第4次安倍第2次改造内閣(2019年)は ″異常″ な統一教会内閣

これまでの安倍政権の組閣では数人の統一教会系議員が閣僚に登用されたが、この閣僚人事では“異常”と呼んで差し支えないレベルで同教団への貢献度が高い議員が並んでいる。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

この閣僚人事については統一教会に近い議員を閣僚に登用したとも見られるが、閣僚待機組の中堅議員のほとんどに教団が触手を伸ばしていたとも言える。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


2017年以降の鈴木エイト氏は、安倍元総理や自民党と統一教会の ″癒着構造″「いくつも露見した」「一層可視化された」としていますが、個別具体的な事例は一切提示していません。
◯◯議員が統一教会や統一教会の政治・ボランティア団体のイベントに出席した・祝電を送った、その議員が安倍内閣で登用された、というただその事実のみをもって「安倍と統一教会のズブズブな関係は一層加速した」と言っているのです。
一言で言うと、アホかっ!!!って感じです。

政治家は、地元の支援団体・支援者・支持者からイベント等への出席・祝電の依頼があれば、その団体が指定暴力団・反社会的組織でない限りどこにでも行くものです。政治家とはそういうものです。

多くの自民党国会議員の教団系イベントヘの派遣

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」

エイト氏は自民党議員の統一教会、統一教会の政治団体・ボランティア団体の出席が、安倍元総理や菅義偉元総理の指示で ″派遣″ されていたと思っているのです。
公明党や共産党の議員は確かに党本部の指示 ″派遣″ でイベントや講演会に参加します。しかし自民党はそうではありません。
自民党はいわば個人事業主のようなものです。選挙区の支援団体・支援者・支持者から要請があれば、議員各個人の判断で出席をしているのです。エイト氏は先ずここが分かっていないのです。
まして統一教会は2009年にコンプライアンス宣言を出し高額献金・霊感商法などの問題も過去のものとなっていました。その団体のイベントに政治家が出席して何が問題なのでしょうか。

アベガーメディアも本当はエイト氏の妄説を馬鹿げたことだと分かっているくせに、アベガーをしたいがためにエイト氏の与太話に乗っているのだから、オールドメディア離れが起こるのも致し方ないと思います。


2-9.安倍退陣

歴代最長内閣となった任期の割には「これといったレガシーがない」などと指摘されたが、少なくとも統一教会との共存共栄を築いた”負のレガシー”はあったと言える。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

安倍政権の約8年。目先の国政選挙や憲法改正に向けた世論誘導のため、この歴代最長政権は最も手を組んではいけない相手とギブアンドテイクの関係を続けた。国のトップが自らの政治的野心のために「反社会的」団体と取引したことは「桜を見る会」問題をも凌駕する深刻な事態だ。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」

第2次安倍政権発足以降の約8年間、政権首脳が率先して問題教団との関係を構築した。その姿勢を見た国会議員・地方議員は、罪悪感を抱くことなく教団や関連組織と“付き合い”を続けた。これらの政治家は表向きには教団の問題性を認めておきながら、裏では関係を持ってきた。これは国民への裏切り行為に他ならず、清廉さが求められる政治の世界にこのような政治家が跛履する素地を作ったことは安倍政権の弊害の―つだ。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


2-10.安倍のUPFへの動画メッセージは統一教会とのズブズブな関係の集大成

それまで私は、様々な媒体で安倍と教団との取引疑惑を追及してきた。教団組織の体制庇護と引き換えに、裏で政権を支える各種工作を行うという取引だ。教団内部文書や内部情報を基に調査・取材を重ねて傍証を積み重ねてきたが、ついに配信映像という動かぬ証拠で両者の密接な関係が証明されたことになる。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染」


「UPFを褒め称えた安倍晋三元首相」
「韓鶴子総裁を絶賛」
「恥ずべき日米の元首相が揃い踏み」
「韓鶴子に敬意表す」
「安倍晋三前首相の″統一教会詣で″」
「安倍晋三、統一教会との蜜月を笑顔がカミングアウト」
「韓鶴子総裁を称賛」

山上徹也被告は安倍元総理がUPFに送った動画メッセージを見て殺害の対象を安倍元総理に定めたと供述しています。
鈴木エイト氏の記事やブログ、Xなどを追いネットの陰謀論にハマっていた山上被告にはエイト氏の上記にピックアップした文言がどのように映ったでしょう…。そして、どのように感じとったでしょう…。

当初はUPFからの依頼に難色を示していた安倍元総理ですが、親友であるトランプ元大統領も動画メッセージを送るとUPFに口説き落とされ動画メッセージを送ることに承諾しました。
安倍元総理の動画メッセージではエイト氏が言うような統一教会やUPF、韓鶴子氏を絶賛・称賛するような発言はしていません。

そもそも、UPFは宗教行事などは一切行っていない国連のNGO団体です。その国連NGOに元総理が動画メッセージを送ったからといって何が問題なのでしょう。
統一教会とは距離を置いていた安倍元総理。安倍元総理もトランプ元大統領の存在がなければUPFからの依頼を断っていたかも知れませんね。つくづく残念に思えます。

3.鈴木エイト氏の陰謀論が破綻している理由

 こうした歪んだ関係が2021年9月、教団フロント組織・UPF(天宙平和連合)の開催したオンライン集会における安倍のビデオメッセージ出演(リモート登壇)に繋がった。
 この一連の流れを知らない人には、その関係を“印象”以上のレベルで語ることはそもそも不可能である。
 両者の関係性の推移を前提にして問題点を検証しない限り、真相には辿り着けない。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

第2次安倍政権発足以降の国政選挙における特定候補への組織票依頼や、2世信者組織「UNITE(ユナイト)」を利用した活動など様々な裏取引が行われた疑惑がある。それらが2021年9月、教団フロント組織・UPF(天宙平和連合)が開催した「神統一韓国のためのTHINK TANK 2020 希望前進大会」における安倍のビデオメッセージ出演(リモート登壇)に集約し、その映像を見た山上被告による襲撃事件へと発展して行ったと考えられる。この一連の流れを検証しない限り真相にはたどり着けない。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

両者の間にはギブアンドテイク的な取引が多数行われた形跡がある。安倍側からは、特定候補者に対して「首相じきじき」に組織票による支援を依頼していた。また教団会長と総会長夫人を首相官邸に招待したほか、安倍側近の官僚である下村博文文科相(当時)が、教団名称を変更する際に管轄省庁へ圧力をかけた疑惑(下村は否定)、多くの自民党国会議員の教団系イベントヘの派遣など、様々な便宜を図ってきた疑惑がある。教団サイドからは、組織票による支援だけでなく選挙時の運動員・スタッフの提供、二世信者組織を使い安倍政権支持を主張し街宣を行う印象操作・世論誘導工作疑惑などが挙げられる。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」


山上徹也被告が信じた鈴木エイト氏の陰謀論「安倍元総理は第2次安倍政権以降、統一教会に接近し、両者は裏取引を結びズブズブの関係になった」
しかし、このエイト氏のストーリーって

教団名変更に安倍元総理や下村大臣(当時)が圧力をかけた事実はない
●2016年の勝共ユナイトの結成・活動は安倍元総理や官邸の意向ではない
教団会長と総会長夫人が官邸に招待された事実はない
●自民党は公明党や共産党と違い、党本部の命令・指示で議員をイベント等に ″派遣″ することはない
●2021年9月のUPFへの動画メッセージは親友であるトランプ元大統領との付き合いから送ったもの

これだけ事実無根の虚偽・エイト氏の誤認で構成されているのです。構成される土台が事実無根・誤認である以上、エイト氏の主張するストーリーは成り立たない、破綻しているということになります。
そして、そのエイト氏の陰謀論ストーリーを信じ、安倍元総理を殺害の対象にした山上被告は間違っていたという結論になります。


4.山上被告を信じ込ませたのは鈴木エイト氏!?

山上徹也は鈴木エイトの記事を読んでいた。山上とのメッセージのやり取りで最も重要なポイントは、彼が私に問い合わせた内容そのものではない。山上徹也が私・鈴木エイトの活動や書いた記事をすべてチェックしていたことにある。
・「やや日刊カルト新聞」を従前からずっと見ていた。
・「やや日刊カルト新聞」を始め鈴木エイトの日ごろの活動をチェックしていた
山上のツイッターアカウントは私のツイートをリツイートしていたり、私が「ハーバー・ビジネス・オンライン」に連載していた「政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係」や、私のコメントが掲載されたニュースなどもリツイートしていた。それだけでなく彼は「やや日刊カルト新聞」を読んでいたという。この事実が意味するものは重い。山上が安倍晋三をターゲットとした根拠、安倍が統一教会と只ならぬ関係にあったと判断した根拠は、主に私の書いた記事、私の調査報道で指名した証拠によるものだったということだ。
彼が「ハーバー・ビジネス・オンライン」「やや日刊カルト新聞」を読んでいたということは、安倍と統一教会との関係を最大限時系列に沿って、リアルタイムで“正確”に捉えていたということになる。つまり、単に二〇二一年九月のUPF大会での「安倍晋三のビデオメッセージ」を見たというだけではないのだ。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」

山上が安倍元首相を「統一教会シンパ」だと思うに至った根拠に関しては、私が報じてきたこの一連の裏取引の存在を、どこまで山上本人が把握していたかに尽きる。だが、この点については私の記事を読んでいた山上がすべて把握していたことは明白である。

出典:鈴木エイト「『山上徹也』とは何者だったのか」



まぁ山上徹也被告もどこまでネットの陰謀論、鈴木エイト氏の陰謀論を信じていたかは分かりませんけどね。
エイト氏が自身と山上被告を強引に結び付けることで飯のタネ、ジャーナリスト()としての自身の成果・名声に繋げようとしているきらいもあります。
山上被告がそんなにもエイト氏のファンでエイト氏の妄説を盲信していたのなら、拘置所へのエイト氏の面会希望にも、何通もエイト氏が送っている手紙にも少しは反応しても良さそうなものだと思うのですが。
山上被告が安倍元総理を狙った理由は今後の裁判で明らかになっていく、いやなって欲しいです。


5.山上被告の″思い込み″″勘違い″ではなく鈴木エイト氏の″思い込み″″勘違い″だった

少なくとも、安倍と教団との関係性は単なる山上被告の「思い込み」や「勘違い」ではなかったという“事実”は繰り返し提示していく必要がある。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」


鈴木エイト氏の主張する陰謀論が成立しない以上、山上徹也被告が殺害の対象を安倍元総理に向けたのは自ずと間違っていた、という結論に至ります。
 ″思い込み″ や ″勘違い″ は山上被告の ″思い込み″ や ″勘違い″ ではなく、エイト氏の ″思い込み″ や ″勘違い″ なのです。
エイト氏の妄言を信じて凶行に及んだ山上被告は本当にバカだと思います。


そらそうでしょうね。貴方の妄想ストーリーですから。そら貴方しか語れる人はいませんよ。

そらそうでしょうね。貴方の発信する情報を真に受けて山上被告は殺害の対象を安倍元総理にしたのですから。悉く合致するのは当然でしょ。

安倍晋三と統一教会との関係性においては、2006年にUPF集会へ祝電を送ったことが報じられてから、「2021年のビデオメッセージ」に至るまでの15年間に欠けていたミッシングリンクを私が繋げたことは確かだ。それがなければ事件後にここまで事態が動くことはなく、そもそも安倍が狙われなかったのかもしれない。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

山上が安倍晋三という人物を「苦々しく」思っていた根拠、統一教会との関係性を確信した根拠は2021年9月のビデオメッセージに至るまでは、おそらくその殆ど全てが私の記事の発信だと思われる。となると、当然のことながら今後の山上被告の公判では事件の背景、動機面における蓋然性や合理性の裏付けとして私が追及してきた安倍への疑惑の角度が焦点になるだろう。

出典:鈴木エイト「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」


襲撃事件から1年8ヶ月経っても、いまだに「安倍元総理と統一教会のズブズブな関係」を明確な根拠も以て示さない鈴木エイト氏ですが、エイト氏は虚偽の陰謀論を繰り広げ、統一教会に恨みを持つ山上徹也被告の増悪感情を煽り、勘違いさせ凶行に走らせた責任、関係のない安倍元総理の命が奪われた責任についてどう落とし前をつけるつもりなのでしょう。

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