Sayuri

英文学部卒業後、医療メディアで勤務中。日常の呟きや、友人へのインタビューを主に載せています。中国吉林省生まれの日本育ちです。
固定されたノート

はるか、27歳、歯科衛生士。彼女の夢見る世界とは

「患者さんからいただく感謝の言葉が何よりもうれしい」

まっすぐな瞳でそう呟く彼女に、18歳の頃の冷めた表情はない。

はるか、27歳。高校からの同級生であり友人だ。都内で歯科衛生士として働いている。

「永遠に続く愛なんてないよ」

女子高生に似つかわしくない言葉が、形の良い口から吐き出される。18歳のはるかは極めて冷静で現実的な女の子だった。棘を持つ美しい薔薇のように、惹きつけ、惑わし、躊躇な

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大人を癒す島、ハワイ。

先日、結婚式とハネムーンを兼ねてハワイに行った。これが初ハワイだったわたし。それまで何となくハワイ=パリピのための島だろうと勘違いをしていたが(ひどい)実際に見て感じたハワイは、信じられないくらい豊かな自然と、温かい日差し、おだやかな人々にあふれていた。

7時間のフライトを超えて辿り着いた別世界

成田を21時頃出発し、ホノルルには朝10時頃到着した。ラウンジでギリギリまで仕事をして飛びだったせ

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祖父のベッド

昨年の夏、中国に住む祖母や親戚を訪ねた。

北京空港から飛行機でさらに2時間。中国の北部に位置する吉林省・延吉市がわたしの生まれ故郷である。

その日は母方の祖母の家を尋ね、お土産の羊羹をふるまい、祖母の出してくれたブドウを食べた。

あたたかな日がさす部屋で、母と祖母が楽しそうに話をしている。

母の表情は娘時代に戻ったように見えた。

お母さんが嬉しそう、そんな安心感を覚えたら急な眠気がわたし

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コーヒーのわたしから紅茶のわたしたちへ

朝起きると夫がキッチンに立ち、コーヒーをいれている。

その香りにつられ目が覚めて、寝ぼけ眼で駆け寄る。

なんちゃって。ウソである。ただの空想だ。

CMや映画で見たようなそんな風景に昔は憧れていた。

しかし、理想と現実は程遠い。

私たち夫婦は(特に私)眠ることが好きだ。かっこ悪く言うと、朝がとても弱い。

毎朝私より15分も早く起きる夫に心の中で賛辞をおくりながら、「あと5分」と

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人はなぜ失ってからその大切さを知るのだろう。戻すことのできない時間がもどかしく、普遍的なものなど無いのだと実感する。ただ、戻れないこそ、ふと立ち止まったときの追体験は記憶そのものよりも輝かしい。美しく利己的に歪曲され解釈された思い出は、時に慰めに、時に師に、時に生きる力になる。