見出し画像

「PR/広報の基本をもう一度」 トナリノ勉強会 vol.1 に参加してきました!

「そもそも広報って何なんだろう?」と考え始めた矢先に、
タイムリーにも「そもそもPR/広報とは何なのか?」というテーマで
勉強会が開かれるというので、参加してきました。

ふりかえって思えば、そもそも広報って…などと考え出したのは、
広報担当者としてこうあるべきなんじゃないかと思っている広報と、
実際に広報というものが世の中でどう思われているか、
何を期待されているかというところにギャップがあったからでしょう。
この勉強会での学びは、そこのモヤモヤを上手く言語化してくれて
これから、どちらへ向かっていったらいいのかを示してくれました。

勉強会の主催者はトナリノ広報部
企業のPR・広報を支援するライター編集者のコミュニティで、
今回が初のイベントです。

勉強会はまず、コミュニティを主宰する大島悠さんによる
イントロダクションからスタートしました。
テーマはPRのルーツと基本。

広報領域で仕事をしていても、PRの起源をたどるなんていうことはなかなかしないものです。でも、歴史を知ってみると分かってくることがあります。

PRというと一般に持たれがちなイメージに
・自己PRなどのPR
・広告記事の冒頭に表記される【PR】
・プロモーションやパブリシティ
・お金のかからない広告
などがあります。

お金のかからない広告…私も過去にそんなことを書いてました。

でも、そうじゃないんじゃないか、
それはPRというものを一面的に見ていないか、
と大島さんは問いかけます。

PRの歴史は浅く、19世紀のアメリカが発祥とされています。
当時、政府が公共サービスの国営化を目指しており、
民間の鉄道会社や電力会社では、顧客の支持を集めるために、
世論形成のような広く理解を求める活動が必要とされていました。

従業員から地域住民まで、企業に関わる人たちと、
良好な関係を築いていくために生まれたPublic Relations。

それがなぜ、広告のようなイメージを持たれるようになったのかというと、
ひとつ前の時代にPRが広告に近い役割を担っていたからです。

関係者に広く知らしめるための技術は
当初、為政者の主張を広めるプロパガンダに近いものがありましたが、
やがて、大量生産大量消費社会が訪れると、
消費を喚起するための道具として、使われるようになります。
多くの人に伝えれば、バンバン売れた時代でした。

戦後、PRが日本に入ってきた時に、「広報」と訳されましたが、
そこで「関係づくり」のニュアンスが抜け落ちてしまったことも、
PRが狭く捉えられるようになった原因ではないか、
と大島さんは指摘します。

けれども、PRはまた次の転換点を迎えました。
情報化が進み、企業が情報発信の手段を持つようになったのです。
今ではマスメディアに頼らなくとも
直接、パブリックにメッセージを伝えることができます。

これからの時代の広報のためには新たな視点をもつべきではないかと
イントロダクションは締めくくられました。

そこで、あえてフォーカスしたのが、メディアリレーションズ。
満を持して登壇したゲストスピーカーは
株式会社PR Table/コンサルタントの小林祐太さんです。
大手PR会社出身で王道のPRどまんなかを経験してきた小林さんが、
次の時代のPRにおけるメディアリレーションズを語ります。

かつては華やかなりしメディアリレーションズでしたが、
今では相対的に評価が下がっています。
メディアとの関係づくりはPRの一部でしかない、
あるいは、Webの台頭で4大媒体の力が落ちており、
マスメディアでの露出を獲得する技術は必要ない、
といった文脈でとりあげられがちです。

けれども、メディアリレーションズの基本的な考え方は
他のステイクホルダーとの関係づくりにも応用できるのではないか、
と小林さんは言います。

メディアリレーションズの基本的な考え方として
紹介されたのは次の3つ。

社会性:
企業ではなく、社会を主語にして語る、いわば世の中ゴト化する翻訳

時事性:
なぜ今なのかに答えられる、先進的でもなく当たり前でもない半歩先の情報

不確実性:
掲載時期や内容はコントロールできないものであるという理解

メディアには権力を監視するという大きなミッションがあります。
決して、企業の広告装置ではありません。
それを踏まえた上で、
ニュース価値のある情報を提供していくことが重要です。

自ら発信手段を持ったがために、
企業側には意図通りに出ない点がより理解されにくくなっています。
が、メディアを通じて発信するからこその価値もあります。
一社が語っても世論にはなりませんが、
数社が集まれば社会に対する議論を呼びかけられます。
記者が、自社では見つけられなかった価値を
発掘してくれることもあるかもしれません。

いかにメディアを攻略して露出させるかに腐心するのではなく、
社会に伝えるメッセージを伝えるパートナーとして
メディアと付き合っていく。
これからの時代の広報におけるメディアリレーションズは、
メディアとの共同創作ではないかという答えでした。

編集・ライター向けとのことで公開されたイベントでしたが、
参加者は企業の広報担当者が半分、編集・ライターが半分。
最後はそれぞれの立場からの質疑もあり、大いに盛り上がりました。

今まで同業の人と出会う機会がなかったのですが、
同じような悩みや課題感を持っている人がこんなにいるのだと知り、
とても勇気づけられました。
そして、その人たちと広報が誤解されていると嘆き合うのではなく、
これからの時代の広報を広めていこう、どうしたらいいか考えていこう、
というポジティブな議論をするというのが新鮮でうれしい体験でした。

2019.7.4 一部修正

追加でもらった補足資料もおもしろかったです!

PRの歴史の詳しい連載
https://blog.pr-table.com/pr_history_01/

メディアリレーションズ3.0のスライド
https://medium.com/pr-table-inc/yutakoba02-3ef36a09348e

2019.7.10. リンク追加

質疑応答で出てきた広告換算を説明したページにたまたまヒットしたので、忘れないように、こちらにメモ。
https://www.atpress.ne.jp/service/pr_guide/ad_conversion/
探したら、効果測定に関する情報は他にもかなりあるのかも。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?