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広報の効果をどうやって測るかという話

広報の担当者なら必ずや気になる話で、
何時間でも?話せると思われるこのトピック。

最近、意識していたら、この手の情報があちこちから入ってきた。
そして、今も効果測定についての悩み相談を受けている。
私もどうにかして自分なりの一定の答えを出したいので、
調べたり考えたりしたことをここにまとめてみたい。

そもそも、どうやって計るのかが話題になるのは、
うまく測れないからだ。

「うまく」測れないの、「うまく」には2つの意味がある。

ひとつは「測定方法の正確性」の問題。
たとえば、広告換算値で言うなら、
広告をしていない媒体は載せたとしたらいくらという計算ができない。
実際には広告が値引きされていたら、定価では効果を高く見積もってしまう
といったようなことだ。
WEBサイトで言えば、解析ツールの設定やWebの構造上の問題で、
追いたい数字が一部しかとれないというような時もある。

もうひとつは「結果の代表性」の問題。
たとえば、広告換算値で言うなら、
仮に、広報がうまくいってまとめサイトやSNSで取り上げられて話題になっても数字に表れない。
宣伝効果だけではなくて、社員のやる気や採用のしやすさなどの、イメージアップの効果も数字にならない。
などがある。
WEBサイトで言うなら、
PV数だけを見ていると、一見さんが増えたのも、リピーターが増えたのも
同じように評価してしまうといったようなこともある。

前者の場合は、美容目的でダイエットをしている時に
「体重計が壊れてる」「測る時間がまちまち」みたいなことで、
うまく測れてないということだから、
道具や測り方を直せば問題は解決することになる。

後者の場合は、
「体重が減ったのは筋肉が減って脂肪になっただけだ」とか、
「体重だけだとヒップラインがあがったことが評価されない」とかで
うまく測れてないということだから、
目的にあった、別の指標を用意してきて
測りたい結果にフィットする複数の指標で表せば解決する。

でも、それでは解決しない。
「そもそも、体重がとか体脂肪とかで身体の美しさを測れるの?」
みたいな問題が残るからだ。

そもそも広報の成果って、数字で測るもんじゃないよね?
なんのために広報をやってるの?という根本的な話。
広告と違って、動いたら確実に掲載されるわけではないし、
すぐに成果が出るものでもない。
どれだけ知ってもらったか、どれだけ好きになってもらったか。
地道に積み重ねていくことで、お金で買えない効果が出る。
売上アップに結びつけるためだけの活動でもない。
もし売上のためだけにやるんだったら、広報じゃなくて販促だ。

ただ、測るもんじゃないんだったら、
測らなきゃいいじゃん、というわけにもいかないのが困ったところ。
うまく測れないけど、測りたいから、問題になってるわけで。

なら、なんで測りたいんだっけ?と考えてみると、

1.効果をアピールしたい
予算どり、人事考課、業者選定などをするのには、
どうしてもやったことへの評価をしなくてはいけない。
そして、誰もが納得できる評価をするためには、
数値的な指標があると便利だ。
特に、広報領域ではない人が評価をする場合は
広報活動の質について云々することが難しいから、
訂正的な内容よりも、数字に頼ることになる。
その評価者に対して、広報担当者はアピールしたい。

2.効果を検証したい
自分がやったことに意味があったのかを振り返るには、
何かしらのフィードバックが必要になる。
5年後10年後、なんなら100年後の効果を考えるにせよ、
その道筋のなかで一歩進んだということを知る、
何かしらの手がかりが必要だ。
これが役に立つと信じて続けていても、
あんまり成果が出ないと同じ方向に進み続けるのは難しい。
自分が合ってるのかを、広報担当者は知りたい。

この2つが主な理由かと思う。

となると、問題は少し変わってくる。
1の場合は、正確に測ってもしかたない。
できるとしたら、おそらく、広報で何を目指していて、
担当者としてどう貢献すべきなのか、
広報活動の目的を改めて確認した上で、
数字の指標と定性的な質の評価を組み合わせて、
お金をかけたことが実になってると実感してもらうこと。

2の場合も多分そんなに変わりはない。
いつか何かの役に立つからと闇雲にやるのではなくて、
今やってることは何のためなのかをはっきりさせる。
まずは商品名の認知度をあげる、
次に、他のとちがって何がいいのかを知ってもらう
といったようにストーリーをつくって、
それぞれに「え、何?と聞き返されないぐらい」
「よくある●●じゃなくて、△△と思われてる」
のように、どんな手応えを得たいのかを考えておくこと。

数字が出ればいいんだよ、
広報の効果とか知ったこっちゃないよ、
あんたのやってること、役に立ってんの?
という圧力は凄まじい。
正直、今までだったらモヤモヤしながら屈してた。
すいませんでした、適当な数字だしますから、
これ使ってくださいと。
どうせ出さないといけないんなら、こういうテクを使うと、
数字あがってる感出せるなと。

でも、今、私が外部の下請けさんじゃなくて、
道理の通った選択ができる専門家になりたいんだったら、
それをやっちゃいけないんだろうと思う。
浅薄な私ごときが偉そうにご意見していいんだろうかとか、
言っても蹴散らされて凹むだけだろうとか、考えるけど、
別に誰かを困らせたいわけじゃなくて、
広報になると思えることを担当者としてやりたいだけ。

言うだけ言ってみていいのかもしれないな。
どうやって測るかの答えじゃないけど、
うん。これで私の結論は出ました。


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