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似てますか?

 あまり上品な行いではないと思うが、周りの人が誰か有名人に似ていると、すぐにそれを口にしてしまうことがある。
 僕自身は、誰かに似ていると言われたことはあまりない。大学生のころ、後輩に「村野武範に似てると言われませんか」と聞かれたのが初めてだったか、祖母に「お前は吉幾三によう似とる」と言われたのが先だったか。

 昨日、蔚山の飲食店で食事を終えて出るとき、若い人がスマホの画面を見せながら何か言ってきた。見るとスキンヘッドの男性が写っている。どうやらオーケストラの指揮をしているようだ。

 俺がこの人だっての? とんでもない! 笑いながら手を振ったが、その若者は承知しない。「だって、ほら」とばかりにスマホを見せる。一緒にいた僕の仲間がそれを見て、「久石譲かな」と検索して、自分のスマホに正面の写真を出した。作曲家として名前は知っていても顔を見るのは初めてだったし、もしそれまでに見たことがあったとしても自分と似ているなどとは絶対に思わなかっただろう。その韓国人の若者も納得してくれたようだが、今度は「一緒に写真を撮ってくれ」という。それならば、おやすい御用だが…と苦笑しながらツーショット写真を撮られた。写真は、そのとき僕の仲間が撮ったもの。

 想像するに、あの若者はジブリ映画の大ファンなのかもしれない。それでテーマ曲を多く手がけている久石譲氏も大好きで、店の中で僕を見かけ日本語で談笑(バカ笑い)していたから、もしかして、と思ったのだろう。あの写真を友人に見せて「ほら、この日本人、ヒサイシジョウに似てるだろ」と自慢するんだろうか。その友達が「あれ、この人は蔚山と浦和の試合のとき取材に来てたぞ」とか言ってくれたらうれしいが、あり得ないな。

 ということで僕の顔を知らない人には想像がつかないだろうから、プロフィル写真に、似ていると評判の似顔絵をはっておく。久石譲さんの写真と比べてみておくれ。

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