ビザ

10月23日の広州恒大戦取材のため、中国渡航のための短期報道ビザを取りに東京の中国ビザセンターに通うこと3日目だ。

短期報道ビザは、まずこちらが相手(この場合は広州恒大)に、こいうう奴が取材に行きたいと言っている。胡散臭い人間ではなく身元もちゃんとしている奴だ。という取材申請書を出す。広州恒大はそれを取りまとめて中国サッカー協会を通じて、こんな奴らが取材に来たいと言ってるからビザあげてね、とかなんとかいう書類を中国大使館に流す。中国大使館からその連絡を受けて、中国ビザセンターでは本人の申請があったらビザを発給するという段取りらしい。

 行ってその場で「ハイ」とくれるわけではなく、申請の書類を出すときと取りに行くときの2回行く必要がある。取りに行くときは代理でもいいが、申請は本人でないといけない。
 普通はたしか申請して4日後ぐらいにもらえるはずだ。「はずだ」と少し曖昧なのは「普通」で申請したことがないからだ。ACLの試合は水曜日か火曜日。記者会見が前日にあるから僕はなるべく前々日の夜までには現地に入ることにしている。記者会見の時間が急に変わることもあるので、前日に入ったのではそれに出られ可能性があるからだ。そうすると、中国入りは月曜日か日曜日。土曜日が休みだから金曜日にはビザをもらっておく必要がある。じゃ、4日前の月曜日に申請に行けばよさそうに思えるが、さっき言った中国サッカー協会から中国大使館に「こういう奴らにビザ出してやって」という連絡がなかなか来ない。どんなに早く取材申請の書類を出しても、ビザセンターに連絡が行くのが早くて渡航の前の週の水曜か木曜になるのだ。そうすると「普通」では間に合わない。
 しかし、ここに何とも「ありがたい」特急申請という制度がある。これだと翌日、事情があるときには当日の夕方にビザがおりる。居酒屋なら3人は飲めるくらい、新幹線なら大阪に行けるくらい(特急だから、こっちのたとえの方が適切だな)の料金がかかるのだが、飛行機の便に間に合わなければ意味がないのだから、それを支払っても早くして欲しい身としては「ありがたい」ものなのだ。クラブ(広州恒大)→中国サッカー協会→中国大使館の連絡も特急料金がないものかと今思ったが、その時点では「緊急性」を感じられないだろう。

 今回はわりとスムーズみたいだよ、というレッズ広報部からの情報を受けて、いつもより早い水曜日(15日)にビザセンターに行った。木曜日でもいいのだが、木曜日は午前中にMDP577号(10月18日・大分戦)の印刷前最終チェックがある。ここでけっこうミスが発見されるので、できればこの時間帯には何も入れたくないのだ。水曜は水曜で最終入稿日だが、それは前日頑張れば何とかなる。

 てなわけで15日の水曜日に中国ビザセンターに行った。東京にあるから9時のオープンに合わせて行くには、いわゆる通勤電車に乗ることになるが、僕は学生時代から満員電車にほとんど乗ったことがない。あの、手を離しても鞄が落ちず、自分の意思とは全く関係なく周りの人を押してしまい、ときには意思に反して痴漢まがいの位置関係になってしまい、さらには慣れていないから自分の降りる駅で開くドアから遠くに漂流してしまい降りられないという憂き目に遭うかもしれない満員電車はできれば避けたい。
 だから朝の6時前後に浦和を出て、7時ごろにビザセンター最寄りの駅に着き、チェーンの牛丼屋で朝食を摂り、ビザセンターのあるビルの1階にあるチェーンのカフェで仕事をしながら、9時のオープンを待った。
「恐れ入りますが大使館からまだ連絡が入っていません」
 半ば予想された答えが返ってきた。今日申請できればラッキー、というぐらいの気持ちで来たのだから、そうがっかりはしなかった。
 で、翌日も、まったく同じ朝の儀式をやって、ビザセンターを訪れた。しかし、まだ大使館からの連絡はなかった。ビザセンターではとりあえず申請書類を受け取ってくれた。大使館から連絡があり次第、手続きしてくれるという。それはありがたかった。次は受け取りにくるだけでいいのだから。
「向こうの団体(広州恒大または中国サッカー協会)に催促してみてください」とも言ってくれた。レッズの広報によると、日本サッカー協会から中国サッカー協会にはいつも早くしてくれるようにお願いしているし、今回もまた催促してくれたらしい。

 で、きょう金曜日になった。今日もらえないと、予定している月曜日朝の飛行機には乗れない。
 3日間、同じ牛丼屋で朝食を食べ(メニューは毎回違う)、同じカフェでビザセンターのオープンを待っている(飲む物も毎回変えた)。昨日も一昨日もMDPの原稿を書いていたが(巻末のコラムは、いつも印刷日の朝に書いているのだ)、今日はこれを書いている。
 こんなに長く書けるんだから、さいしんのコラムにすれば良かったか。でもテーマがな。

 さあ、そろそろ8階に行くか。                                                                                

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