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泣きたい夜には歌詞を聴け【泣ける曲7選】

本来、音楽と涙はセットだと思う。
感動的な音楽は、熱狂をまとって感動を呼び覚ますものだと。

ちょっと前のスタンダードな教育を受けた多くの人は、


「男が泣くなんて情けない」


ぼくは時代のスタンダードとは、なるべく距離を置いていたので、とうとう音楽を聴いて泣くおじさんができあがってしまった

本記事では、音楽を聴いて涙をおじさんであるぼくが、絶対泣ける7曲を紹介したい。



0.涙の効能はサウナやCBD以上?!

ちなみに、あまり男の子には知られていないことだが、涙には意外と効能がある

ぼくが考える涙の効能は、以下のとおりだ。

・リラックス効果
・浮遊感
・ストレス緩和
・不眠の解消
・切り替えスイッチ

サウナよりも涙だろう。
CBDよりもCRYだろう。

似たような効能の体験は充実しているが、この国では「長の子は泣いてはいけない」という謎の強迫観念が支配的だ。結果として、男の子には炭治郎のような長男性がどこか求められる。長男は、頼られるし尊敬されるけど、弱音を吐ける場所がない。結果的に疲弊していく。どこにも誰にも頼ったりくつろげる場所がないなら、音楽に見をもたげてみるのはどうだろう。

音楽を聴く時の作法

大人になって見上げなくなった星を見上げるような気持ちで、究極にリラックスできる環境を用意してほしい。
風呂でもいいし、ベッドでもソファでも、自然の中でもどこでもいい。
とにかく、ほわ〜んとのんびりした気持ちで、以下の中から1曲選んでたくさん聴いてほしい。
1曲を1回聴いたら終わりというのは、そのアーティストに失礼だ。
アートは消費するものではなく、吸収するものなのだ。
まずは、歌詞を見ながら再生してほしい。歌詞が流れるようなUIのSpotifyは最強だ。
それから、PVを見てほしい。紹介した音楽の中には、YouTube上にない動画もあるのであしからず。

1.King Gnu——BOY

『BOY』は、承認と自己受容の楽曲だ。
PVを見ることでその理解は深まる。

歌詞を堪能しながらこの曲を聴く。
出会うコトバとオトのうつくしさに触れてほしい。
この繊細な言葉選びとリズムと楽曲の完成度と作品へのリスペクトがありながらKing Gnuという独自の世界観もしっかりと残っている、そんな常田大希の天才性が垣間見える。
というタイアップとしては、常軌を逸したクオリティの一曲だ。
もちろんタイアップ先で『王様ランキング』も不朽の名作なのだが、そのよさを何倍にも引き立たせているのがこの曲なのだ。

美しすぎる井口の声が響く。
こんな承認の言葉があるだろうか。
そして、ぼくは以下の歌詞が大好きだ。

「誰とも違う美しさで笑っておくれよ」
「息を切らした君は誰よりも素敵さ」


ちなみに、『BOY』のB面も超カッコイイ。
・「少年じゃ居らんないぜ」
・「愛を欲しがって 足りないと嘆いてキリが無いの 無い物強請り」
とA面の『BOY』のスタンスを否定する言葉が散りばめられている。
常田には、バランス感覚を大切にするところがあり、それがKing Gnuの歌詞の深みを醸成している。


2.Creepy Nuts——Bad Orangez

この曲は、R指定の昔亡くなった親友のために歌ったレクイエムらしい。
くわしいことはよく知らないが、「らしい」という次元の話だ。

正直、ぼくはラップで泣くとは思っていなかった。
ラップは所詮、韻と韻を無理やりつなぎリズムは一致していても意味まで届かないメディアだと思っていたからだ。

しかし、大誤算だった。
R指定という脅威の天才が紡ぐ言葉は、リズムだけでなく意味も乗っかる。
シニフィアンとシニフィエもにんまり。ソシュールも認める才能である。

この才能に魅入られてから、ぼくのラップ曲熱が発火したのだ。
30歳になって初めてラップにハマってしまった。

泣ける楽曲ということは、それだけ何度も何度もリピりたくなる魅力に溢れた曲なのだ。


3.BUMP OF CHICKEN——K

歌詞が絵本のような物語になっている。
藤原基央は。こういうおとぎ話みたいな世界観の感動を生み出す天才だ。

平成5年生まれアラウンドのアラサーは、BUMP OF CHICKENの直撃世代だ。
だから、この感動を紹介しないわけにはいかない。

歌詞が物語になっていて、
その登場人物に感動して涙が出る。

この体験ができるだけでもすごいと思うのだが、そこに藤原基央の優れた言語感覚が相乗される。

※YouTubeのPVは公式ではなくセカンドクリエイトとも違法アップロードとも言える微妙なURLです(笑)


4.崎山蒼志——橙

夏油に日本一寄り添ったアーティストだ。
夏油とはアニメ『呪術廻戦』に登場する、キャラクターで闇堕ちするダークヒーローだ。
令和の闇落ちの代名詞として誕生した夏油は、2023年最も世の中を震わせたキャラクターだろう。
夏油の優しさの部分だけを抽出して、言葉にした。
この曲は夏油の内面世界をこれ以上にないほどに表しているぼくは考える。
究極のタイアップだ。
この逸材ははっきり言ってヤバイ。
10年後もっとも楽しみな2002年生まれである。そう、まだ22歳なのにこの深みである。
いやぁ叶わないね。天才過ぎる‥

5.星野源——地獄でなぜ悪い

星野源と聞くと、入院していた過去というイメージが想起される。
あの優しい源さんの笑顔の過去を覗いてみると、ただただ存在の気高さに頭が上がらなくなる。

入院したベッドはさぞ孤独だっただろう。
死がとなり合わせの病室で訪れる孤独を作品にしたのである。

この曲はこんな始まり方をする。

病室 夜が心をそろそろ蝕む
唸る隣の部屋が開始の合図だ

地獄でなぜ悪い

病室は、人によっては街の中にあるのにもっとも地獄に近い場所かもしれない。
星野源は、きっとそういうところにいたのだろう。
そして、そのキツさを逃れるためのエロパワーと妄想がこの楽曲なのだ。

星野源というアーティストの人間としての美しさにあふれた、その魅力にきっと撃ち抜かれるにちがいない。

ちなみに、そのエピソードは、こちらの本にも書かれている。
ただのタレント本と舐めてはいけない。油断してると、涙を拭き取るティッシュが枯渇する。


6.Official髭男dism——Pretender

ぼくの美学として、いい男の条件はいい失恋ができることだ。
そこで行くと、今この国で最もカッコイイ失恋の仕方はこの歌詞に書いてある。

世の中、あまりにも成功体験の誇示が溢れてしまっている。
お金をたくさん稼いだおじさんがシューズを買ってくれる動画が再生数を稼ぐ時代だ。
ショート動画の隆盛による、この国を覆うさもしさの蔓延は深刻さを象徴している。

そんな時代の中で、ぼくはカッコイイ負け方を知ることはとても重要だと思う。
地に足つけた自分だけの成功を人生の中で獲得するためには、カッコイイ負け方を勉強するしかないのだ。
だから、失恋の傷はこの傷で癒やして自分だけの人生を歩めるようになってほしい。

7.ずっと真夜中でいいのに。——脳裏上のクラッカー

前々から思っていることだが、ずっと真夜中でいいのに。の歌詞の文学性がたかい。
ACAねの作詞能力が高すぎるので、夜行性音楽というひとつのエポックを確立している。
多くの人の熱狂を掻き立てる理由がよくわかる。

なりたい自分となれない自分
どうせどうせが安心をくれた

この歌詞のすさまじさを読んでいるあなたにわかってもらいたい。
人生の上手くいかさな、そのもどかしさ、隔靴掻痒をこれほど上手に言い表す。黒帯級の言葉選びだ。




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